川合大祐「スロー・リバー」1

 川合大祐さんが2021年4月9日に第二句集を出します。書肆侃侃房さんより「リバー・ワールド」です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4863854536/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_MVSVADFECPQ4B9W1J2HV
 ですが、今回は第一句集のスロー・リバーを観賞していきたいと思います。発売までのカウントダウン的な楽しみ方をしていただけると幸いです。発売前日まで一句観賞を投稿していきます。ではまず句集の最初の一句目を観賞します。

ぐびゅら岳じゅじゅべき壁にびゅびゅ挑む
 クライミング直前の気持ちであろう。ぐびゅら岳とは現存する山の名前ではないはずだ。川合大祐が挑む山の壁は存在しない壁であると思う。壁を乗り越えるために、山を壁を作りだしたのだ。この壁は平地にも、またエベレストにもなり得る。つまり川合大祐が自在に変更可能な困難さであったはずだ。しかし、一句目にこの句を置いたことで決意を新たにし、見えない相手に挑むその気持ちを不安定ながら、オノマトペと575の定型に託したのだろう。突端に居る者の孤独をも感じる。この山は、壁は果てしなく高い。それは確実だ。

川合大祐「スロー・リバー」あざみエージェントより
https://www.amazon.co.jp/dp/4906849261/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_T1PBCFB38CP6833WKH7K
(了)

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