空區地車の力学 11.空區の地車について②
空區地車は住吉最古の地車
神輿(みこし)は神社が管理するのでいつ作られ、誰の寄付でいつ作ったかの記録が残りますが、地車は氏子がその時の村の勢いで作ってしまうため記録があまり残っていません。また毎年何かしら手が加えられるので改修の記録もありません。
現存する地車は明治以降に製作されたものが大半です。本住吉神社の地車では、茶屋區の地車が1838(天保9)年の作で、現存する最古の地車のひとつですが、1979(昭和54)年に大阪の天王寺から購入した大阪型の地車を神戸型に改修したものです。神戸型の地車で現存最古の地車は、空區の地車で1887(明治10)年のものと言われています。しかし、その後の研究で、形は違うのですがそれ以前の1835(天保6)年作の地車が空區に存在した文献が見つかっていることから、空區地車最古が定説になっています。
※神戸市HP引用
神戸型は「外ゴマ」
台木の外側にコマが付く「外ゴマ」は神戸型独特のものです。また、前の匂欄部分が引きだせるようになっており、ここを舞台にして落語や即興劇など「俄狂言(にわかきょうげん)」が演じられていました。俄狂言とは、素人が、宴席や街頭で即興に演じたこっけいな寸劇で江戸中期から明治にかけて流行したことから空區地車にもステージが付いたと考えられます。
ではなぜ神戸型は「外ゴマ」なのでしょうか?
神戸市東灘区は六甲山系の麓にあり、東西に細長い坂の街です。その坂の街の地車ですから倒れにくいこと。さらにコーナーリング性能と小回り性を向上させるため、トレッドを広くとる方法として「外ゴマ」にしたと思います(正式な理由を知る方は教えてください)。
ちなみに山田區は阪急電車よりも以北にあるため、ほとんどが坂道。そこでコマも鉄のワッカがはまったものに加え、オプション仕様で木製のコマに木を打ち付けた「つぐコマ」があります。こうすることで、下りの坂道でもスリップしにくく、雨の上り道でも地面をグリップして進みます。
だんじり祭りのルーツは京都の祇園祭
祇園祭を模して近畿各地で始まったので地車は近畿に約1000台あるといわれています。神戸市から阪南市にかけての大阪湾一帯には約800台の地車があります。
順位別に見ると
一位 岸和田市 約80台
二位 大阪市 約75台
三位 堺市 約70台
四位 東大阪市 約55台
五位 神戸市 約40台
そして、近畿地方の地車のルーツといわれる淡路島には約300台もの地車があります。
※だんじりが百倍楽しめる本(木村清弘著)から引用
住吉の地車が良くわかる「住吉だんじり資料館」
住吉の地車をもっと知りたいのなら「住吉だんじり資料館」がおススメです。西區の先代地車や刺繍幕の展示をはじめ、だんじりシアターでは本住吉神社の宮入映像が見られます。
神戸公式観光サイトhttps://www.feel-kobe.jp/facilities/0000000785/
地車は未来永劫、継承されていく
地車の改修や補修は氏子が行なっています。新調する場合も氏子がお金を出し合います。そして地車を曳くのも氏子です。