こだわり

娘の良恵は持ち物にはこだわりを持っている。
財布、水筒、自転車、筆箱、何でも水色。
『水色がすきなの?』とちょっと呆れて聞くと、
気に入った物に囲まれている方が快適なんだと答える。
84歳の母は梅原という苗字なので、食器等『梅』の柄の物を好んで集めている。

私は、物に対するこだわりがない。
『お母さんはだから結婚も失敗するんだよ』
良恵に言われて、返す言葉がない。

大好きな人と一緒に生きる事、大好きな物に囲まれて暮らすこと、心地いい空気を吸って、大好きな音楽聴いて豊かな気分になること、誰だってその方がいい。だけど、心にゆとりがなかったんだ。

『良恵、お母さん離婚したのが最大のこだわりなんだけど』 かなり極端な言い訳だ。
『それって、たんにお父さんを嫌いって事でしょ』

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