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歯を持って、揺さぶってやる

ってな脅し文句を英語でドラマで聞いたことがある気がする。
歯が浮き上がるような感覚、耳のあたりから上のいりいりするような感覚、マスクにかぶれてひりつく頬。髪留めも帽子もメガネもマスクもつけているのが辛い、歯医者皮膚科眼科内科整形外科はては美容皮膚科にも相談してきて無駄だった、もう何年目になるだろう。ある歯医者には奥歯を抜くべき、そうすると浮き上がってくる下の歯も抜いてプレートうんぬん、と言われて絶望したっけ。髪の毛が重いのかしら、とばっさり髪を切った時もあったけど、不快感は改善しなくて、獅子舞みたいに立ち上がる髪に苦戦することに。
ストレスや疲れは関係してる、悪いサイクルを断ち切るために戦う。
顎を痛めないように常に歯は噛み合わせないようにしているのに顎が強張って噛むのがだるい。食べる量が減ると体が疲れやすくなる。とりあえず栄養のサプリメントを取るけど、つまらないよ。
翻訳家村井さんのエッセイを読んで、目が泳ぐ。あらゆる意味で精力的に家族のために動き、知的な仕事で稼ぎ、大黒柱は旦那さん。立派なわんこや元気な双子のお子たちの話より、根本的な在り方がすごい。目が回る。なんか、ストウ夫人みたいじゃない?
とふらふら彷徨い出た気持ちで久しぶりの図書館で仕留めた、日本の主な文学賞ほぼ総なめしているのに絶版多すぎな作家笙野さんの最近の本を開いてしまい、今度はまさしく歯を掴まれて揺すられるような読書体験。経済的にも社会的にも追い詰められる様を書いてるのに、こんなに読ませる筆力圧倒的だけど、無神主義と宣言してる部分でなんかふっと気持ちが切れた。
読む、という行為は自由に飛べるからいいよね。私はぱらっとまず全体に目を滑らして、引っかかったキーワードから前後左右に読み広げてく。読みきるのは早い。どんな本でもそんな感じ。誰にも指図はされない。映像や舞台の鑑賞にそんな自由はない。

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