完璧な存在である中也が持つ"いびつさ"

※この記事はアニメ文豪ストレイドッグスの考察です。

考察をするとき、キャラを叩いてみてヒビができればそこを探るし、つついてみて少しでも動けばそれを捉えるというのが私のやり方なのだが、中也に関しては何をしてもなかなか動じない。

絶対的な力と絶対的な精神力があり、頭のてっぺんから足のつま先、さらには骨の髄に至るまで彼は絶対的強者なので、考察する要素があまり出てこない。まさに鉄壁で完璧な男。

確率で例えると、70%や98%であれば色々な議論ができるが、確率100%のものは議論の余地がないのと同じような感覚。

15歳のときですら、すでに絶対的な力とメンタルを持っていて、おそらく生まれながらにして強者たる存在なんだろうなと思う。

ストブリでさえも、彼の弱い部分はほとんど垣間見れなかった気がする。毅然としていて揺らがない。表面上で取り繕ってる強さじゃなくて、骨の髄から染み出してる強さ。メンタル強すぎてとても眩しい、それこそ太陽のような絶対的な存在。ほころびのない完全な球体。

その中でもほぼ唯一見つけた彼のいびつさみたいなものがある。それは彼がいつどのようなときに自分の力を使うかを自分で決めていないという点。

中也が15歳の最後に森に忠誠を誓うことにしたのは、自分は手札を持ってるだけで、手札をいつどこで切るかを決める存在が自分には必要だと気づいたからではないかと思う。
中也はいわば最強で究極のナイト(騎士)。だがナイトにはキングやクイーンからの指示が必要だ。
仲間のためや自己防衛のために手札を切ることはあっても、攻めの手をどう打つかは自分で決められない。

中也が自分で決められない理由は、決して彼の考える力が足りないうんぬんという話ではなく、おそらく中也は自分が何者で、自分の力は何のために存在するのか答えを出せていないままだからなんじゃないかと思う。
答えを出すのをやめて、究極のナイトとしての義務を果たすことに全力を注いでいるのが今の状態。

一方で、太宰は15歳のときから中也は自分で決めることができると言っているし、双黒として戦うときも中也に意見を聞くし、汚濁の決定権は中也に渡している。

今後の中也の成長パターンとして、ナイトからの脱却というシナリオを考えると、妄想が膨らんで面白い。

彼が自分で決めないのはある意味「自分の存在意義」という自分視点にこだわっているせいとも考えられる。自分の力がなんのために存在するかわからないから、力の使い道を自分で決めないことにしてる。
だけど今後、異能力や異能力兵器、戦争、そういったものに関する情報がどんどん明らかになってくる中で、中也は自分がどんな世界を理想とするのか徐々に明確にしていける可能性がある。
理想とする世界を思い描けるようになれば、その世界の実現のために自分の判断で攻めの手札を切れるようになっていけるかもしれない。

自分→世界への意識の転換。そしてナイトからの脱却。これが完了してようやく太宰の願掛けが成就する、という仕組みになってたら乙だなと思う。

といいつつ、最後まで一貫してナイトでいるのもかっこいいので、どちらの中也も見たい。
できれば色んな(明るい)if世界があってほしいなと願っている。


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