喫煙すな

 初めてタバコを吸って以来、度々吸うようになった。
5月に誕生日を迎え、それから少し経って、生まれて初めてタバコを吸った。喫煙者の同期2人と遊んだ際に、私が「経験として吸ってみたいので吸い方を教えて欲しい」と頼み、それに2人が応じてくれたのがきっかけだった。当時は飲酒してフワフワしていた且つ軽めの喘息持ちなので、かなり恐る恐るだったが、どうやらそこまでしんどくはならないようだった。吸う前に比べれば少しだけ息苦しくはなるが、ほんのその程度だった。半年前の出来事なのであまりハッキリとは覚えていないが、その日の日記には「初めてタバコを吸ったがよくわからなかった」と記されていた。
 うちの家系の喫煙者は祖父1人のみ。それもかなりのヘビースモーカーだったのだが、数年前、癌を患ったことをきっかけにピタリと辞めたため、今現在は私の知る限りでは0人だ。地元の友達にも、恐らく喫煙者はいない。同期の友達は半数程が喫煙者だが、母数が少ないため人数で言うとそこまで多くはない。
祖父が吸っていたのは、私が小学生の頃だっただろうか。リビングに広がる煙に心地良さこそ感じていなかったものの、周りの身内が嫌がる程に嫌でもなかった記憶がある。その後もNSCで新たに出来た友達が喫煙者だったりして、いつの間にか「好きな人が吸うタバコ=好き」と私の中で定義されていた。

 話は逸れるが、私は大分と寂しがりな方だ。どれだけ予定が詰まって忙しくしていても、休みの日にはなるべく友達と遊んでいたい、というか誰かが傍にいて欲しいと思う。然し、それと同時にカッコつけでもあるので、気を許した相手であっても頻繁に遊ぼうと声をかけることも出来ない。友達も本当に少ないので、意を決して数名に声をかけても全員に断られることもある。そんなどうしようもなく寂しい時に、タバコを吸っているのだ。そうすれば、指や服からタバコの臭いがして、まるで他人がいるかのように思えるから。タバコを吸い始める理由なんて「カッコイイから」の一択でしかないだろうと思っていたが、そうでもなかった。なんなら吸い方がダサかったら恥ずかしいなと思って、現状ほぼ1人でいる時にしか吸っていない。というか、私としてはタバコ自体を好んでいるわけではなく、あくまで"人といる感"が欲しいだけなので、人といる時には吸う理由がないのだ。
深夜1人、真っ暗な部屋のベッドでうつ伏せになって、カーテンの内側に入り、頭上の窓を開け、ベランダに向かって煙を吐く。街灯の明かりがベランダの磨りガラスにぼんやりと透け、間接照明代わりになる。傍から見るとただのチルガキでしかないが、私は至って真剣なのだ。タバコを吸っている間は、ぼーっとしていることもあれば、音楽を聴いていることもあるし、2口で火を消すこともあれば、ギリギリまで吸うこともある。寝る少し前のこの時間が、毎日繰り返される退屈な日々の中での不定期イベントと化し、特に好きな時間になりつつある。

 ただ、最近になって1つ問題点が出てきた。この1ヶ月くらいで頻度が月2~3本から週1~2本に増えたことによって、今吸っているタバコの臭いに慣れてきてしまい、肝心の"人といる感"が薄れつつあるのだ。もはやタバコ臭くない布団の匂いの方が人の匂いっぽいなとすら思う。「普段自分の匂いが全然わからない人間で良かったな」とぼんやり考えながら眠って、眩しい朝日とけたたましく鳴るアラームで目覚めたら、重たい体を起こしてバイトへと向かっている。
 いつまでこんな日々が続くのだろうかと、時々思う。現状「寂しい」以外に特に不満はないが、その寂しさが重く伸し掛かる。"インドア"、"お金が無い"、"府外に住んでいるので気軽に会えない"といった友達が殆どなので、遊びにも誘いづらい。尤も、インドアでお金が無い点は私も同じだが。しんどい時に話を聞いてくれる友達はいても、オンラインゲーム以外の遊びに応じてくれる友達は少ないのが地味に辛い。ゲボが出そうだ。いっそのこと恋人でも出来れば、私の人生ももっと色鮮やかになるのだろうか。...作れるのならばとっくに作っているが、いないということはそういうことなのだろう。挙句、こんな気持ち悪くてダサい文章をダラダラ書いているうちに、いつの間にか日が落ちて、部屋も真っ暗になってしまった。貴重な日曜日を無駄に過ごした。最近は夜になるのが早くて好きだが、夜になると冷えるのは勘弁して欲しい。というか、この文章を気持ち悪いだとかダサいだとか卑下してカッコつけているのが一番ダサい。sageたとてこれも私の一部分なのだから、何の言い訳にもならないというのに。あーあ。もうダメだ。全部ダサいわ。終わり方も分からんし。最悪や。かっこよくなりたいよ...。はよ風呂入ってネイルしよ...。

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