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やっぱりhideが好き。

 「やっぱり猫が好き」も好きだが、とにかくhideが好き。
 hideのソロ楽曲は色褪せない。hideを知らない今の若い子に聴かせても通用するのではないかと時々思うのだ。
 個人的には日本で一番早いデジタルロックの始祖ではないかとも思っている。マニュピレーターのI.N.A.との共同プロデュースにしろ、今から30年近くも前に時代を先取りした音楽を作っていたのは驚きだと思う。
 
 hideの楽曲を初めて真剣に聴いたのは、hideが亡くなってからかなりの時が過ぎた2007年頃だったと思う。そもそもXなどのビジュアル系が苦手だったもので、hideのことは正直気にもしてなかったのである。
 それがだ、私の音楽の好みを熟知している友人が、これは絶対に好きになるよ。と勧められたのです。しかし正直その時でもまだ、そんなには好きにならなかったのです。
 
 本格的に聴き始めたのは2016年頃、実にhideが亡くなってから18年後である。なんのきっかけで再度聴くことになったのかは忘れてしまったのですが、聴けば聴くほど音の作り込みが凄くて、ヘッドフォンを最新の物に買い替えた時など今まで聴こえなかったギターの音が隠し味的に録音されていたりと、聴く度に驚きがあったのです。
 
 音楽も魅力的だったのですが、その人となりも非常に興味をそそるものでした。優しく思いやりもあり、友達を大切にすると思えば、一方でかなりの酒飲みでおまけに泥酔するとタチが悪い。それでいて誰にも嫌われない。なんて凄いキャラクターなのでしょう。hideへの興味はどんどんと膨れていきます。
 
 ちょうどその頃、I.N.A.が書き下ろした「君のいない世界 〜hideと過ごした2486日間の軌跡〜」が発売されたり、ドキュメンタリー映画「HURRY GO ROUND」が公開され、映画館が苦手なのにも関わらず勇んで観に行きました。とにかく色々なことを知りたかったし、知ったことを知らない人に伝えたかったのです。
 
 僕らの世代でもビジュアル系が好きな人は男女ともに相当数いると思うのですが、その逆で、毛嫌いとまでも行かなくても敬遠して聴いてない人も多いと思うのです。
 化粧をしたミュージシャンが女の子たちにキャーキャー言われてる音楽みたいなイメージが少なからずともあると思う…。
 実際、私もそんな感じで避けていました。hideのソロはXのサウンドとは全く違うので、イメージだけで聴かなかったのはあまりにも悔しい限り。
 
 そんな理由で遅まきながらhideを体験したわけですが、何度も言いますが、自分以外の音楽好きの人達にもカッケーよと声を大にして言いたいのです。そして皆に聴いてもらいたい。
 
 また、彼のアルバムや宣伝に使うビジュアルアートが、これまた格好良いのですよ。ど派手なピンクの髪に、ちょっとパンキッシュなポップな衣装、黄色の下地にハートマークを散りばめたモッキンバード。もう、センスの塊と言っても過言ではないでしょう。
 
 hideの音楽は多様なバックボーンや新しいものを作りたいという気持ちがまるで見えてくるようです。当時ではまだごく一部のテクノやエンジニ系のミュージシャンしか使ってなかったDTMをいち早く取り入れてたアーティストとうい事も知られてないのではなかろうか? たしか、本にはロスと東京でデモデータを送信しようと試みていたというような記述があったと思う。
 
 それと忘れてはいけないのがzilchの存在でしょう。hideの世界戦略バンドとしてあの時代に邦楽と洋楽の垣根を越えようとしていたのですから。個人的にはソロ作品よりもzilchをもっと聴きたかったというのが私の本音かもしれません。確実に音楽世界が変わっていた気がするのです。彼がいま、本当に生きていたらどんな音楽地図に世界は鳴っていたのでしょうか??

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