HMC8に行ったよ

 ニンジャスレイヤーのファンになってそこそこ経つけどHMCに行ったことがなかった。単純に子持ちで夜遊びができないからだ。ところが先日のHMC8の日は子供が泊まりがけで出かけていたために、ちょっと無理をすれば行けるということに気がついた。なのでちょっと無理をした。

 それはそれとして私はクラブというものに行ったことがない。ロックフェスやライブはあるが、クラブ……イメージが湧かない……とんかつDJアゲ太郎とビートマニアぐらいだ……
 なのでしこたまビビり倒していた。行く前にまったく違う目的で人と会っていたのだが、赤ワインを入れていったぐらいだ。そのせいか秋葉原では激しく迷子になり、プレハブのような不動産屋のドアを開けることになった。

 MOGRAという名前は知っていて、友人がよくアニソン系のイベントに行くときにツイートしていたから、オタク丸出しで行ってもいいだろうと思っていた。
 開けたら異空間だった。壁一面に貼られた色紙、その前で行われるショドー大会、広がるボードゲーム、マネキンのように美しく立っているブルーブラッド=サン、音楽は聞こえるが……このぐらいの音量? あれブースはどこだ?
 エジンバラだったら追い出されるレベルで首を左右に振り所在のない田舎者ムーヴをかましていたが、奥のほうにドアがあるのを発見、降りることにした。最初の印象は「あっこっちのほうが涼しいじゃん」だった。

オワァ……なんじゃこりゃ……あっあそこにフェイタル=サンが居る。これは踊るものなのか……? 踊る……ノるとは……踊ったことなんかないぞ……いやあるけど、十年ぐらい前に大学のサークルのあれで……とりあえずこう体重移動をする感じで膝をアレするやつだ。それでときどき肩を揺らす感じの…………難しいな、間違えてないか。間違いとかあるのか。つーか曲すごいいい、何かけてるかセトリがあればいいのに、いやあっても見えないこの暗さ。いや曲チョーいいな何なのか全然知らんけど揺れるわ、歌詞知ってたら絶対に歌ってしまっている。スゴイ、思わず動くとはまさにこのこと……これアレだな、照れてるほうが逆に恥ずかしいやつだな!?

 上の心境は大体3曲ぐらいの間に生じたもので、おそらくタイムテーブル的にもちよ=サンのときにこういう感じになりました。よく分からないけど分からないなりにめちゃくちゃ楽しくなり、ハハァ、これはなるほど古来から宗教的儀式で音楽が重要になるわ、と納得した。
 荷物が激重だったので一旦休憩したところで、フォロワーさんと会い尋常じゃないほど喋り倒す。オタク女の本領発揮。このご時世、もはやそこに萌えポイントを見出すことすら危うく、毎日ツイッター凍結に怯えているヤク中の……あの……あるんすよ……作品が……

 朗読劇は一斉に床に座り、非常に緊張感のある空間だった。小説というのは文字、そこに音声がついたらドラマCD、絵がついたらアニメ。だけどこれは言葉と音声と空間で成り立っていて、朗読者である和刃=サンは、そこに居るのに、存在としてはない(ということになっている)、というのが、いい意味で奇妙で面白かったです。
 私はポエトリーリーディングが好きで、そういうライブに行くこともあったけど、あれはそこに話者を感じる。その詩を作る、読むに至った経緯や心情というのが必ずある。けれどこれは(もちろん和刃=サンが何も考えずにエピソードを選んだ、ということではなくて)そういう一切が削ぎ落とされていて、でも聞いてる自分はこの話を知っていて、作品とか表現の新たな形だなぁと思いました。
 にんぱくのときも聞いたんだけど、ハコが小さいからか余計にそう感じた。

 魔の三時間は聞いててとても良かったです。上の階で色紙を書いてたんですが、「作業用BGMにめちゃくちゃいい」「メドレーのまま音源が欲しい」としきりに言ってました。書いてたって言ったけど別に私は書いてなかった。
 途中でふらっとフロアに行ってまた踊ってる最中、なんというか恥を捨ててありていにいうとエモい気持ちが高まりすぎて愕然としてました。

あ〜これm-floがcome againで「踊り続けさせて ねえDJ want you come again」って言ってたのとかmihimaru GTが気分上々↑↑で「Hip-Pop ピーポー かけてよミラクルnumber」って言ってたのとかtofubeatsが「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」って言ってたのとかニンジャでいくつも出てきたクラブの描写とか全部全部全部これじゃん!!!全ッッッ然なんっも、なんも知らんかった!!!!!そりゃこうなるよな楽しいのに寂しいし祈るし浮かれるし帰りたくないしずーっと踊っていられたらなぁ〜〜〜〜

 で、本当はリーサルウェポンズのときにはもう出ないといけなかったのですが、どうにも帰りがたく、せめて1曲だけでも聞かないとダメだ、ここが私の人生の分かれ目だぞ!ぐらいの気分になってしまったのです。昼に赤ワインを入れた以外はずっと水だけなのに、めちゃくちゃハイになってた。
 あと、階段にもうポンズが居たので。それもびっくりした。あっそこから来るのか!って。「ぼく肩叩かれたんですよ!」って隣の人がウキウキ言ってたので、完全にアイドルだ……と思ったし、私も入ってきたときにファンサを求めてしまいました。黄色い声って出したくて出るんじゃなくてマジで自然に出てしまうんですね。
 1曲目の「サイボーグメカニンジャ」だけ聞いて帰りました。聞いてっていうか歌った。あのフロアであの人数が拳振り上げて「サイボォ〜〜グ、メ〜カニンジャァ〜〜!」とか言ってる状況がおかしすぎて、今にしてみると(既知の人が多いとは言え)ノせる力がすごいなと思いました。一曲だけなのにすごく楽しかったです。

 帰り際に駅に走りながら、クラブが違法にならないのはすごいと思った。楽しいことって大体違法になるか重めに課税されるじゃないですか。こんなに楽しいのに3000円かぁ……私の中の3000円の基準が「西松屋の子供服4着」と並んで「HMC8のあの面白さ」になりました。
 運営ならびにDJの皆さん、お話してくださった方々、初心者丸出しでも居心地のいい空間を作っていたMOGRAさんやお客さん、ザ・リーサルウェポンズのお2人、何よりこういう集まりの発端として色んなクラブや音楽を作品に取り入れたボンモーとほんチに、改めてたくさんのラヴとリスペクトをという感じで、もうなんか書くのめっちゃ恥ずかしくなってきたんで終わります。次行けるかわからないんですが面白かったです! 絶対忘れないイベントになりました。