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職場研修用:初心者でもできる文献検索ツールや英語論文の翻訳方法


みなさんこんにちは!

 この記事では論文を読む必要性が分からない、英語が読めなくて(+_+)、英語の論文が読めないという方に読んでいただきたく作成しました。職場での部下や後輩への勉強会などにも使用していただければと思います。

コンテンツは以下の通りです。 

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英語論文の翻訳の前に、研究とはどのようなプロセスがあるのか、なぜ論文を読むのかについてから述べたいと思います。

研究というのは主に3つの視点から考えることができます。

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研究を使うということ

 みなさんが業務を行っていると、特殊な病気や複雑な病態をもった患者さんに出会うことがあり、個人の経験では中々解決しないことが多いです。それを解決するために、様々な文献を読み、対象の患者さんと治療方法を意思決定しながら進めていくため研究を学び、使っていくことが必要です。

 しかし日本で出ている論文だけで臨床の問題を解決するにはまだまだ足りないのが現状です。世の中には様々な研究が星の数ほど出ています。世界中でみると数千という論文が全世界で毎年出ており、それだけ新しい知見が出ているということです。そういった情報を取り入れるためにも英語論文を読解していく能力が必要です。

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研究を作るということ

 研究は日常の臨床における疑問(CQ:クリニカルクエスチョン)を元に仮説を立てます。研究計画書を作成し、倫理審顎にデータ収集を開始します。そしてデータ収集後は統計解析などを通して結果の考察を行います。

研究を作るということについても、英語論文を読んでいく必要性があります。仮説に沿って文献検索をしていく(レビューする)ことで、自分が考えている仮説と同じような研究はないか、新規性はあるのかを判断し、研究を進めていくため、全世界から幅広く集めるには英語論文をしっかり読めることが必要になってきます。

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研究を伝えるということ

 実際に行った研究は世に出さなければ社会に貢献できません。方法としては学会発表や論文投稿などがあります。研究を公表するにあたって、正しい手続きで行われたことが分からなければいけません。各研究方法についてのガイドライン等も出ていますがすべて海外のものなので、しっかり英語で読み解く必要があります。

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次に、文献を読む必要性についてです。

まず1つは自分の中にある知識だけで臨床を行おうとすると、自分の経験だけに偏った知識になってしまいます。そのため自分の中の知識を常にアップデートし、最新の知見を得るために世に出ている文献を読んでいくことが必要なのです(*^-^*)

2つ目に論文の多くは執筆者が多くの時間をかけて文献をレビューし、導き出したものなので、調べたことが凝縮されています。論文を読むことで執筆者が何年もかけて得た知識や情報を数日で学ぶことができるため非常に効率がいいと思います。

3つ目に世の中には多くの学ぶことがありますが、文献を読むことでそれを効率よくテーマに沿って学ぶことができると思います。

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文献と言っても種類が様々です。

よく学術誌やジャーナル等に原著論文と呼ばれるものがあります。これは第3者からの査読を受けており、ある程度学術的にも信頼できる内容と言えます。新たに論文を作成する際や、学会発表時にも引用文献として十分に使用できます。

 次に学術誌の中でも特集記事が組まれているものも多く、総説論文と呼ばれるものもあります。特集記事や総説論文は他者が行った研究を、テーマに沿って著者の独占で選択しているため査読がありません。そのため論文作成時に引用する際にも、序論で引用していく程度のほうがよいです。ただし論文作成となると、情報の信頼性としても査読を通しておらず、幅広くレビューされていないことも多いため注意が必要です(*´▽`*)

 教科書も種類によっては原著論文を引用しているものもあれば、まったく引用文献を用いていないものも散見されるため、その著者の業績や教科書に示されている引用元がどの程度あるのかを確認する必要があります。

 インターネットでは公的機関のHPが発信しているものはある程度信頼してもよいと思います!ただし、個人が発信しているブログやSNS等の発信内容は信頼性に欠けるため、あくまで幅広い分野から一時的に情報を確認する程度にしましょう!

次に文献検索サイトです。

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J-stageは電子ジャーナルの公開のノウハウを持たない協会に対し、インターネット上で学術誌を公開するシステムとノウハウを無料で提供しています。自分も日本語で論文を探す際にまずはJ-stageを利用していくことが多いです


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 Cinii(さいにい)は国際情報学研究所が運営する学術データベースです。学術論文、博士論文、学会、協会の刊行物等が検索できます。一部無料ですが、有料なものも多いため、自分が使う際はテーマに沿って検索するときの一つの手段として利用し、見つかって有料であれば他を当たる方法で行っています。

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メディカルオンラインというものもあります。国内で発行された医学関連ジャーナル等はだいたいそろっている印象ですが、基本的に有料なので、個人で使っていくには中々手が出にくいところではあります。

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 海外の論文をみるならPubMed(パブメド)は外せません。アメリカが運用している無料の検索サイトでアブストラクト(抄録)であればすべて無料で見ることができます。無料公開されているものも多く、テーマによっては無作為ランダム化比較試験(RCT)も無料で読めたりします。基本アメリカの論文が中心ですが初心者には十分かなと思います。

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 コクラン・ライブラリーは、国際的な医療評価プロジェクトで、コクラン共同計画の成果であるシステマティックレビューを中心としたデータベース集になります。EBM(Evidence-Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)に有効なツールです。現在アブストラクトは閲覧可能で全文は無料で読めるものもありますのでぜひ利用してみてください。

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 Googleが提供している検索サービスです。あるキーワードで検索したいと思ったときに、Googleで検索するよりも論文等を検索しやすいです。日本語でも英語でも検索可能なので、慣れない人はまずこちらから利用しても良いと思います。

英語論文の検索方法

それでは最後に英語論文の翻訳方法です。自分が使用しているツールとして「Shaper」と「DeepL翻訳」です。

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 英語論文をPDFでダウンロードして翻訳にかけようとすると改行が不自然な形で発生し、翻訳にかけてもうまく翻訳できなかったりニュアンスが異なっていたりすることが多いことが悩みでした。

その問題をこの「Shaper」というツールが解決してくれます!

これはPDFのコピーによる改行によって生じる微妙なニュアンスの違いの修正が可能なツールです。

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 もう1つは「DeepL翻訳」です。これはドイツで開発された翻訳ツールで、google翻訳よりも精度が高く、微妙なニュアンスの翻訳の精度も高いです。

 文字数制限が5000文字であるため、論文など長い文章の翻訳をする際は何回かに分けて行う必要がありますが、色々使用してきましたが、無料でできる翻訳ツールとしては現段階で一番いいと思います。

実際に使用する方法

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みなさん参考になりましたでしょうか?

 この方法を使えば新人や初学者でも簡単に英語論文を読み、知識をアップデートできるのでぜひ実践していきましょう!

 ※ただし、翻訳機能を使うと英文を読む能力自体は身につかないので、実際に英文を書いたり英語で発表するなんて人は、あまりお勧めできないかもしれないので、うまく使い分けていただけると良いと思います!




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