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【ネタバレ】ワンピース1060話 徹底考察! 「ルフィの夢の果て」は〇〇の夢だった!

「ルフィの夢の果て」の真相とは


2022年9月19日発売の週刊少年ジャンプ
ワンピース1060話において、ついに「ルフィの夢の果て」が一味全員に明かされました。その内容はまだ伏せられていますが、仲間一人一人それぞれのリアクションが描かれたことで、長年謎であった「夢の果て」の真相にかなり近づいたのではないでしょうか。
実は、今回私が1060話で「それがおれの夢の果てだ」と言っているルフィを見て、尾田栄一郎先生の姿がふと思い浮かびました。
ある種の違和感のようなものでした。


そして、その違和感をもとに「夢の果て」に関する色々な場面を振り返ったところ、実にそうとしか思えないような結果が浮かび上がってきたのです。
この考察は、理由を一から全て説明しています。
そして結果に関しては、詳細を事細かく再現しています。
よって無駄に長いものになっています。

また、私はガチ考察者ではありませんので、知識不足を露呈しているような部分も多々あるかと思います。
もしかしたら、この考察自体が既出であるかもしれません。

しかし、私の思うところを一生懸命お伝えしようと思いますので、その旨ご了承いただき、最後までお付き合いいただければ幸いです。

  • 【第一章】誰も知らないルフィの目的

  • 【第二章】新時代と夢の果て

  • 【第三章】前言撤回です

  • 【第四章】キャラ設定と夢の果て

  • 【第五章】ワンピースと漫画

  • 【第六章】エースとサボとルフィ

  • 【第七章】シャンクスとルフィ

  • 【第八章】多角的なリアクション

  • 【第九章】全てのヒント

  • 【第十章】夢の果て

以上の内容で考察させていただきます。
それではどうぞ、お楽しみください。

【第一章】誰も知らないルフィの目的

「ルフィの夢の果て」の考察としては
「大宴会説」「大運動会説」「世界の全ての人と友達説」などなど、色々な説が飛び交っているわけですが、
まず最初に、みなさんに質問です。

ルフィの目的は海賊王になることですか?
「ルフィの夢の果て」は海賊王になった後の「もう一つの目的」だと思いますか?


言わずもがな、ワンピースというのは漫画です。漫画であり、物語です。
映画、ドラマ、アニメ、小説、舞台など、物語と称される作品は無数に存在しますが、全ての物語に共通して存在するのが「目的」です。「目的」の内容は様々で、恋の成就であったり逆に失恋であったり、幸福であったり逆に不幸であったり、平和であったり逆に破滅であったり。
そして、物語が壮大になればなるほどその「目的」もそれに比例して壮大なものになる傾向があります。
「目的」というのはそれ単体で物理的に存在する「物」ではありませんし、ましてや「目的」という「生物」が存在しているわけでもありません。あくまでも物語の中の「キャラクター」が進む方向を示している目印のようなものであり、「目的」と「キャラクター」は必ずセットになっているのです。

例えて言えば、「ハリーポッター」においては
主人公であるハリーがヴォルデモートを倒し、世界を救うことが目的です。

「ロード・オブ・ザ・リング」においては
主人公であるフロドが指輪を捨て、冥王サウロンを滅ぼし、世界を救うことが目的です。

「ドラゴンボール」においては
主人公である悟空、悟飯、悟天などがフリーザ、魔人ブゥなどを倒し、全宇宙を救うことが目的です。

では、「ワンピース」においてはどうでしょう。
主人公であるルフィが、ティーチや世界政府を倒し、海賊王になることが目的です。で、その後「夢の果て」を叶えるのも目的です。

普通に考えて、おかしいのです。目的を達成した後の物語は普通エピローグです。
ハリーは結婚し、フロドはエルフと共に行き、悟空はウーブと闘います。
この部分はエピローグまたはオチというやつです。
一つの物語に「目的」が二つ存在することは絶対にありません。
あるとすれば、物語が全く違うシリーズ入った場合のみです。
一見、「目的」が二つあるように思える物語も存在するとは思いますが、どちらかが本物でどちらかがフェイクなのです。
目的は必ず一つです。

1060話現在では、「海賊王になること」の延長線に「夢の果て」が存在するような表現がされていますので、一見「方向性」は同じなのだから両方目的ってことでいいじゃん。て思いがちですが、それは違います。

目的とは到達地のことですから、名古屋から上りの東海道線に乗るのであれば、横浜に行きたいのか、東京に行きたいのかは、決まっていないといけないのです。東京に行きたいのであれば「横浜に寄ってから東京に行く」ですし、横浜に行きたいのであれば「横浜に行きたかったけど、結果として東京まで行った」になるのです。「どこに行くか」というのが「行動理由」であり、物語のキャラクターにはかならず「行動理由」が必要なのです。少なくともワンピースという冒険物語において、「上りの東海道線に乗りたい」は「行動理由」にはならないのです。


ではいったいルフィは東京横浜、どっちに行きたいのでしょうか?
「それがわからないからワンピース読んでるんじゃん!」
確かにそうなのですが、それが異常な事態であるということを私は申し上げたいのです。

物語において、「目的」「行動理由」「キャラクター」はセットになっており、絶対描かれなければならない要素であるにもかかわらず、ワンピースではこれが極めて曖昧な状態になっているのです。極めて特異な状況なのです。

もう一度聞きます。
ルフィは海賊王になりたいのですか?
それとも「夢の果て」をかなえたいのですか?


これが物語序盤ならまだしも、最終章に至る25年間もの間我々は、この特異な状況に何の違和感も持たず、やれクイナは生きているだの、やれクロコダイルは元女性だのと、アホ面下げて一喜一憂し続けて参りました。なぜでしょう、、、
ズバリ!完全に尾田先生にしてやられたのです。

〔出ました!オダオダのミスリード〕

「海賊王におれはなる!」


この耳タコフレーズに我々は騙され続けておりました。
全ての読者がルフィの目的のほぼ全てが海賊王になることだと思い込まされてしまったのです。
さらに「夢の果て」という言葉のイメージから、ルフィが海賊王になった後に「もう一つの目的」を達成させようとしているかのような錯覚を抱かされていたのです。


まずここで考えなければならないのが、
尾田先生がひた隠しにしている「夢の果て」の正体が、本来既に描かれていなければならないルフィの行動理由であった場合です。
目的地は海賊王のさらに向こう側にあります。
つまり東京へ行きたかった場合です。
仮にこれをパターンT(東京なので)とします。

「夢の果て」とはルフィが海賊王になることで築かれる「ルフィの描く理想の未来」であるということが想像できます。フィルムレッドで言うところの「新時代」になるのでしょうか。

世界を救うためにヴォルデモートを倒したハリー
世界を救うためにサウロンを滅ぼしたフロド
全宇宙を救うために魔人ブゥを倒した悟空たち
と同じように

「夢の果て」を実現させるために海賊王になるルフィ

これが本来あるべき姿の「目的」「行動理由」「キャラクター」の因果関係です。
物語として、シンプルでとても分かりやすくなります。

お分かりでしょうか。ルフィにとっては「夢の果て」が本来の目的で「海賊王になる」ことはそこに至る手段になります。
端的に言えば、物語の構造上、ルフィの心の中では「海賊王」よりも「夢の果て」の方が比べ物にならないくらい、はるか上位に存在していることになります。
おそらく海賊王になることで得られる「何か」よりも、はるかにずっと素晴らしい壮大な、あるいは崇高な、ことによると全世界に影響を及ぼすような「何か」をルフィは思い描いているはずなのです。
ルフィなら「何か」をやってくれそうな気がしますよね。

次に考えるのは、
海賊王になることルフィの「行動理由」であった場合。
つまり横浜に行きたかった場合です。東京にはついでに行っただけです。
これをパターンY(横浜なので)とします。

この場合は簡単な話です。
「夢の果て」は、本来の「目的」である「海賊王」になった後のストーリーになるわけですから、単なるエピローグ。
つまり「夢の果て」の正体はオチです。
ここまで伏線を張り巡らせたわけですから、とてつもなく大がかりなオチであることが容易に想像できます。
伏線王による渾身の一撃であることは間違いないでしょう。
これも楽しみですね!

【第一章の結果】


★オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
ルフィの目的は海賊王になることであり、ルフィと麦わらの一味はその目的のために命をかけて戦っている。ルフィが海賊王になることが、一味の各々が持つそれぞれの夢を叶えることに繋がっているからである。そしてルフィが海賊王になった暁には、ルフィにとって本当にやりたいことである「夢の果て」を実現するであろう。それが大宴会なのか大運動会なのか、楽しみで仕方がない。

★物語としてあるべき姿
ルフィの描く理想の未来が「夢の果て」である。それを実現させる為には海賊王になることがマストであり、ルフィがそれを目的として行動している物語がワンピースである。今まで口には出さなかった「夢の果て」を心に秘めているからこそルフィという男には魅力があり、一味の仲間や麦わら大船団、その他大勢の登場人物、さらには我々読者はルフィに引き付けられるのである。
ただし、「夢の果て」が単なるオチである可能性を忘れてはいけない。


【第二章】新時代と夢の果て

前章のパターンTにおいて「新時代」という言葉を使わせて頂きましたが、これは劇場版ワンピース フィルムレッドにおいて「新時代」を作るために「海賊王」になると、ルフィ自らが明言しております。


今のところの最新情報である1060話においても、「海賊王」になることの延長線上に「夢の果て」が存在していることが分かっているため、「新時代」が「夢の果て」そのものであるという見方が強くなっています。


では「新時代」という言葉から連想されるモノについて考えてみましょう。
まず、最も注目しなければならないのはスケールの大きさです。
「時代」とは国や社会などにおける、ある一定の基準で区切られた相当に長い年月のことです。
ここでルフィが一つの国とか、一つの島とかをイメージしているとは思えないので、全世界を現在とは違う何かに変化させようとしていると考えられます。極めて壮大な話です。

ここで「新時代」とセットで考えたいのが、「ダチが腹いっぱいメシ食える世界」です。カイドウに言い放ったセリフですね。


要するに現在は「ダチが腹いっぱいメシ食えない世界」であって、ルフィはそれを「変える」、と言い切ったわけです。お玉が腹いっぱいメシを食えないのはワノ国ですが、ここではハッキリ「世界」と言っています。完全に「新時代」とシンクロしている印象を受けます。


ルフィはニカであり、ニカといえば「自由と解放」です。


おそらくワンピース読者の99パーセントの方が、ルフィが世界中にいる不遇な人々解放し、自由で平等で開かれた世界を作り上げ、まさにそれを「新時代」と呼ぶのであろう。と、イメージしているのではないでしょうか。少なくとも私はそう思っていますし、さすがにこれは間違いないでしょう。


サボ、エース、ルフィが各々の夢を語り、兄弟盃を交わしたあの日から、ルフィの心の中には世界中の不遇な人々を開放し、自由で開かれた世界を作ろうという、まるで正義のヒーローのような崇高な考えが秘められていたのですね、、、
てそんなわけあるかい!!!!!

〔エグいて!オダオダのミスリード〕

まず、エースとサボに「夢の果て」を語った幼少期の単細胞ルフィは、世界中の不遇な人々のことなど知らなかったはずです。天竜人や奴隷のことも、悪政に苦しむ国の人々のことも。
まぁ例え知っていたとしても、そこで見ず知らずの他人を思いやるような思慮深い夢を語る余裕があったとは思えませんし、そもそもそんなタマではありません。

しかし今のルフィの中には間違いなく「新時代」という壮大な目的があります。これは確定事項です。
「夢の果て」を語った幼少期のルフィには無くて、今のルフィにはあるのですから、冷静に考えれば「新時代」は「夢の果て」ではないのです。

【第二章の結果】

★オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
ルフィが海賊王になることによって訪れるであろう「新時代」こそがルフィの真の目的「夢の果て」である。だが、この壮大で崇高な目的「新時代」と、ルフィの本当にやりたいことである「夢の果て」がどうしても結びつかない。基本的にルフィはバカだからである。だから「夢の果て」の正体を解き明かすのは非常に困難である。

「新時代」とは
「新時代」は「夢の果て」なんかじゃありません。
ルフィはバカだけど、今までの冒険で不遇な人々をたくさん見てきました。
ルフィはバカだけど、自分が海賊王になればその人々を救えることを確信しました。
ルフィはバカだけど、新時代を作って不遇な人々を救い出したいと考えるようになりました。
ルフィはバカだけど、成長したのです。
「新時代」という新たな目的を見出したのです。

【第三章】前言撤回です

突然ですが、前言撤回します。
「夢の果て」を叶えるために「海賊王」になりたいと思っていた幼きルフィ少年は、仲間との冒険で世界を知ることで、「夢の果て」を叶えるために「海賊王」になり、「新時代」を作りたいと思うようになったのです。

「海賊王」「新時代」「夢の果て」はそれぞれ違う到達地だったのです。
つまり、横浜→【新宿】→東京だったのです。
なんと、第一章がまるごと間違いだったということになります。
そこでもう一度、第一章を振り返ってみますが、物語としてあるべき姿を私はこうのべました。パターンTです。
ルフィの描く理想の未来が「夢の果て」である。それを実現させる為には海賊王になることがマストであり、ルフィがそれを目的として行動している物語がワンピースである。今まで口には出さなかった「夢の果て」を心に秘めているからこそルフィという男には魅力があり、一味の仲間や麦わら大船団、その他大勢の登場人物、さらには我々読者はルフィに引き付けられるのである。

それではパターンS(新宿だから)を仮に考えてみましょう。
ルフィの描く理想の未来が「新時代」である。それを実現させる為には海賊王になることがマストであり、ルフィがそれを目的として行動している物語がワンピースである。今まで口には出さなかった「新時代」を心に秘めているからこそルフィという男には魅力があり、一味の仲間や麦わら大船団、その他大勢の登場人物、さらには我々読者はルフィに引き付けられるのである。
要するに、「夢の果て」が「新時代」に変わっただけで、ちゃんと物語としてあるべき姿になるのです。

そしてパターンY
ただし、「夢の果て」が単なるオチである可能性を忘れてはいけない。
これは到達地点が横浜であった場合として記したものですが、到達地点が新宿に変更された場合も、やはり東京はエピローグです。

つまり本物のパターンSはこうなります。
ルフィの描く理想の未来が「新時代」である。それを実現させる為には「海賊王」になることがマストであり、ルフィがそれを目的として行動している物語がワンピースである。今まで口には出さなかった「新時代」を心に秘めているからこそルフィという男には魅力があり、一味の仲間や麦わら大船団、その他大勢の登場人物、さらには我々読者はルフィに引き付けられるのである。
そして「夢の果て」は伏線王が最後に仕掛けるとんでもないオチである。
極上の物語を完成させつつ、がっつりオチまでついているというフルコースになりました。

これが「海賊王」「新時代」「夢の果て」の関係性であると私は考えます。

第一章で私はこうも述べました。
物語において、「目的」「行動理由」「キャラクター」はセットになっており、絶対描かれなければならない要素であるにもかかわらず、ワンピースではこれが極めて曖昧な状態になっているのです。極めて特異な状況なのです。
パターンS
であった場合、現在のルフィの行動理由は「新時代」で確定します。しかしそれはまだ明確に描かれておりません。少なくともそれを描いてしまうと「夢の果て」の正体がプロローグ(オチ)であると、察しがつきやすくなります。隠す理由の一つと考えられます。
実際のところ、主な理由は他にあると思っていますが、、、

〔そうきたか!オダオタのミスリード〕

てっきり「海賊王」の一歩先にある目的が「夢の果て」であると思っていたわけですが、同一線上の二歩先に「夢の果て」があったっていいわけです。

【第三章の結果】

★オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
「ワンピース」の正体に加えて「夢の果て」の正体という超ド級の爆弾がさく裂する最終章、その衝撃に備えて我々はシートベルトを締める必要がある。

★「夢の果て」は目的じゃなかった
「夢の果て」は超特大のオチである。これは紛れもない核弾頭である。正直言ってシートベルトを締めていたとしても命の保証はない。

【第四章】キャラ設定と夢の果て

この章では、尾田先生の作り出すキャラクターについて考えてみようと思います。
一言で漫画といっても、ストーリー、キャラクター、セリフ、コマ割りなどなど、さまざまな要素があるのですが、物語を面白くするために最も重要なのがキャラクターだと言っても過言ではありません。

我々がワンピースにのめり込む一番の理由は、尾田先生のキャラ設定が神だからであり、そうでなかったら誰もこんな複雑極まりないストーリーについて行けるはずないのです。

ここで、主人公、モンキー・D・ルフィというキャラクターを思い浮かべてみます。

肉が好きで、宴が好きで、ロボが好きで、ビームが好きで、冒険が好きで、短絡的で深く考えず、時に自己中心的で、マイペースで、言い出したら聞かなくて、負けず嫌いで、仲間思いで、トモダチ思いで、思い立ったらすぐ行動する、とにかく海賊王になりたがっているヤツ

といったようなことを連想されると思います。一見分かりやすいキャラに見えますが、要約してみるとこなります。
子供っぽくてわがままだけど、情に厚い、海賊王になりたがってるヤツ
という感じ…どう思いますか?

ロジャーと何がどう違うのでしょうか?
シャンクスと何がどう違うのでしょうか?
ティーチと何がどう違うのでしょうか?
キッドと何がどう違うのでしょうか?

何度も申し上げているように、ルフィの行動理由は明確に描かれていませんが、それどころか海賊王に絡む主要キャラクターの行動理由が軒並み謎であることがおわかり頂けると思います。

例として挙げた4名とルフィを合わせた5名は、「海賊王」という目的が同じなわけで、本来であればその「行動理由」の違いによってキャラクターを描き分けるべきであるのに、我らが尾田っちは、見た目やセリフ、行動パターンの違いだけで見事にキャラクターを描き分けているのです。

もう一度言います。
全員とも何がしたいのかよく分からないにもかかわらず、
全員とも個性あふれる分かりやすいキャラになっているのです。
どれだけ控えめに言っても神業としか言いようがありません。

普通、キャラクターというものは、何がしたいのかがはっきりしており、我々は「○○がしたい」人だから、こういう人間性なんだ。というふうに、そのキャラクターの人間性を認識します。
しかしルフィは、極めてルフィらしい行動と、極めてルフィらしいセリフでのみ構成されています。なのに我々は何がしたいのよく分からないルフィというキャラクターの人間性を明確に認識しています。
もはやキャラクターというより、本物の人間を見ている状況に酷似していると言っていいでしょう。

いったい何が言いたいかといいますと、尾田先生による、キャラクターの性格や性質の設定、そしてそれが表現される際の整合性が尋常ではないということです。

そしてそれが意味するものとは、ワンピースのキャラクターのセリフやリアクションには絶対に偽りが無い、ということです。

個人的には尾田先生が、最もこだわっている部分なのではないかと考えています。そうでなければただの天才です。

〔ただの神!オダオダのミスリード〕

神話オマージュとか歴史オマージュとか、語呂合わせとか、
伏線王が、作中にばら撒く様々なヒントには時にフェイクが混じっていたりするわけです。我々はそのヒントの量と多様性に混乱し、何から手を付けていいか分からなくなってしまった、夏休みの宿題を前にした小学生のような状況に陥らされているのです。
リアクションという、最大最強のヒントが投下された以上、この先最終回まで「夢の果て」に関するヒントは投下されないであろうと思われます。
つまり、このリアクションによって全てが語られているのです。

【第四章の結果】

★オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
「夢の果て」の正体のヒントは非常に少なくて、まるで雲を掴むような話である。どうせ最終回まで分からないのだろうし、これからまた少しずつ色々なヒントが投下されるであろうから、気長に待つとしよう。

★この先「夢の果て」は最終回まで一切触れられない
ルフィが「夢の果て」を語った時の状況は既に描かれている。それを聞いた者、エース、サボ、白ひげ、おでん、ヤマトの5名に加え、1060話において一味全員とシャンクスの反応が描かれた。以上の各場面では必ず真実が語られているはずである。もうこれ以上ヒントは投下されない。ヒントは出そろったのだ。

【第五章】ワンピースと漫画

この章はちょっとお遊び考察っぽいのですが、私はいたって真面目です。
まず、第四章で述べたルフィのイメージを振り返ってみましょう。
肉が好きで、宴が好きで、ロボが好きで、ビームが好きで、冒険が好きで、短絡的で深く考えず、時に自己中心的で、マイペースで、言い出したら聞かなくて、負けず嫌いで、仲間思いで、トモダチ思いで、思い立ったらすぐ行動する、とにかく海賊王になりたがっているヤツ

私個人的に、どうも違和感があるのです。
「肉が好き」これは食の好みの問題です。
「宴」「冒険」「仲間」「トモダチ」ここらへんはシャンクスの影響だと考えられます。
「短絡的」「自己中」「マイペース」「言い出したら聞かない」「負けず嫌い」「すぐ行動」これはいわゆる性格の問題です。ウタが「負けず嫌い」の原因の一つだったりはするかもしれませんが。

問題は「ロボ」「ビーム」です。

これはフランキーが登場した時に違和感を覚えた方も多いと思いますが、「海の戦士ソラ」の「絵物語」が登場したことによって一応は払拭されました。
要するに、ルフィが何を見て、何に憧れて「ロボ」や「ビーム」が好きになったのか、ということです。「海の戦士ソラ」には合体ロボが登場するらしいので、そういう類のものを見たのであろうことは間違いないのですが、、、

前章で私はこう述べました。
尾田先生による、キャラクターの性格や性質の設定、そしてそれが表現される際の整合性が尋常ではない
つまり「ロボ」「ビーム」に憧れる少年の心のメカニズムが、どうもしっくり来ないのです。

私は尾田先生と同世代の人間です。
私の「ロボ」「ビーム」への憧れが起因するものといえば、
「ガンダム」であり「ザブングル」「ダンバイン」「エルガイム」「ボトムズ」「Zガンダム」などなど、かろうじて「マジンガーZ」「グレートマジンガー」「ゲッターロボ」もリアルタイムでした。うっすら覚えてる程度ですが。
つまりアニメです。
おそらく尾田先生も私と似たようなものを見て「ロボ」「ビーム」に憧れたクチでしょう。
しかし、残念ながらワンピースの世界線にはアニメが存在していないと思われます。我々の認識するテレビ番組のようなものが無いので、当然アニメも無いでしょう。
私的にはアニメ「絵物語」の距離感がとてつもなく大きく感じるのです。
要するに「絵物語」というものに違和感を感じるのです。

そしてこの「絵物語」というものは、世界経済新聞に掲載されていたということなのですが、そこにも違和感を感じます。
ルフィ、ウソップ、チョッパーは「ロボ」「ビーム」が大好きです。フランキーに至っては完全にかぶれているくらいに過剰反応しています。
この状況は、我々が生きている日本という国の、我々世代が経験してきた古き良き時代に極めて似ていると思います。
だから、この手の類のヒーロー物語が「海の戦士ソラ」だけだとは思えないのです。様々な「ロボ」や「ヒーロー」が存在していなければ、このような状況にはならないと思うのです。
また、「海の戦士ソラ」が大人気だから多くの人が知っているのはわかりますが、だとしたら余計に、売れるためにはなんでもやる風潮がある世経ですから、きっと他にもこういう「絵物語」があるはずなんです。
そして、いつもとは言わないまでも、今でもこの手の類の「絵物語」を掲載することはあると思うのです。
ルフィは「ロボ」「ビーム」が今でも大好きです。それは紛れもない事実です。なのにルフィは新聞を読みません。

幼少期、グレイターミナルには新聞なんてものは山ほど転がっていたでしょうから、見ようと思えばいくらでも見ることができたとは思います。
しかし絵物語は連載物です。好きなものにはとことんのめり込むタイプのルフィがゴミの山から拾って、断片的に読むような物語にハマるでしょうか。ここまで「ロボ」「ビーム」が好きになるでしょうか。
そういう部分で、ルフィの性質と表現に整合性を感じないのです。
ルフィというキャラクターの行動にも違和感を感じるのです。

〔モルガンズもびっくり!オダオダのミスリード〕


いやいや「ロボ」とか「ビーム」というはギャグ要素だからさ!

とおっしゃる方もおられると思いますが、
主人公であるルフィの性格や性質の設定、そしてそれが表現される際の整合性は絶対であると、私は強く思うのです。そして伏線王はギャグ要素に真実を盛り込む確信犯だというこを忘れてはいけません。

【第五章の結果】

★オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
「海の戦士ソラ」は世界中にファンがいる、まるで我々の世界で言うところの「ワンピース」のような絵物語である。ルフィもまた幼少期からそれを愛読することで「ロボ」や「ビーム」に憧れるようになったのである。

★「絵物語」とは
「絵物語」とは100歩譲って「漫画」である。
絵本のようなものとか、小説のようなもので「ロボ」や「ビーム」の素晴らしさが伝えられてたまるものか!「ロボ」をなめるな!「ビーム」をなめるな!アニメでないとしたら、どう考えても「漫画」以外ありえない。
つまりワンピースの世界線には「単行本」が存在し、ルフィはそれを読んでいるに違いない。ワンピースには漫画文化が存在しているのである。

【第六章】エースとサボとルフィ

第一章から第五章までお付き合い頂き有難うございます。
ここで、前半戦の結果をまとめておきましょう。

  • 「夢の果て」は超ド級のオチである

  • 「夢の果て」に関するヒントは全て描き尽くされている

  • ワンピースの世界線には単行本が存在する

以上の三点を踏まえた上で次に進みます。
ここから先は衝撃的な考察になりますのでご承知下さい。
引き返すなら今です。

上記にもありますが、第四章でヒントは出そろった、と述べました。
いよいよそのヒントを検証していきます。

まずはエースとサボ。585話で夢を語り合ったシーン。
それぞれのセリフを振り返ってみます。

まずはサボ
「広い世界をみて おれは それを伝える本を書きたい!!」
「航海の勉強なら何の苦でもないんだ!!」


続いてエース
「最高の”名声”を手に入れる!!それだけがおれの生きた証になる!!!」
「世界中の奴らがおれの存在を認めなくても どれほど嫌われても!!!」
「”大海賊”になって見返してやんのさ!!!」
「おれは誰からも逃げねェ!!! 誰にも負けねェ!!! 恐怖でもなんでもいい!!」
「おれの名を世界にしらしめてやるんだ!!!」

そしてルフィ
「ししし…!!」
「そうか よーし」
「おれはなァ!!!」

で「夢の果て」を語るわけですね。
ここでまず考えなければならないのは、サボエース二人のキャラクターの性質とセリフの整合性です。

まずはサボです。
サボは貴族の家に生まれ、地位と財産を守るために育てられ、自分らしく生きることを否定されてきました。その環境から「自分らしく生きること」がサボにとっての存在意義となっていったわけです。
サボは父親の絵を描いて、それを父親に渡していましたよね。破り捨てられましたが。サボには表現者としての性質があるのだと思います。何かを創作し、それを誰かに伝えることに喜びを感じるタイプの人間であると考えられます。

この性質と窮屈な世界から解放されたいという願望から、この夢に至ったわけです。冷静に自分を見つめ、方向性を見出しており、とても賢いサボらしい夢だと思います。

次にエースです。
エースは、ロジャーの息子として生まれ、存在自体を否定されていると感じながら生きてきました。そして自分自身も自分の存在を肯定できない状況になっており、結果としてエースの悲願は自分が自分の存在を肯定したいというものになりました。それはエースが命を落とす直前までずっと続いていたことが分かっています。
これに関しては、話し始めると終わらなくなるので詳細な見解を述べるのはやめます。
ただ、エースのセリフがかなり支離滅裂であることが強く印象に残ります。何故ならば、エースの望んでいる大海賊像が、エースが自己肯定できない原因であるロジャーの姿そのものだからです。この時のエースはそれに気付かずに言っているのでしょうが、実際問題、頂上戦争においてエースが命を落とす直前になって自己を肯定できた理由は、この時語った夢とはまるでかけ離れたものであったことはご存じの通りです。エースが本当に心から求めていたものは、こんな夢ではなかったのです。


では何故このシーンではこのような夢を語ったのでしょうか。
おそらくは、そう思い付いたからだと考えるのが自然だと思います。
かねてより、エースとサボは海賊になることを目標にしてきたわけですが、サボに比べるとエースは正直言ってバカです。自分を冷静に見つめ、本当にやりたいことを見つけることなど出来ません。
そして何より、反骨心が服を着て歩いているような人間です。
絶望的な承認欲求ともいえる大きな心の闇を抱えながら、一切の救いを求めず、世界に抗うことが生きる原動力となっていたエースにとっては、それ以外思い付かなかったと考えるべきでしょう。


さて、それではルフィです。
ルフィはフーシャ村で生まれたのかな?
7歳の時にシャンクスに出会って、その後ガープによってダダンに預けられます。そこでエースとサボに出会いました。
7歳まではいったい誰に育てられたんでしょうか?

ていうか、そもそもですね、
この時のルフィに夢とかあったんですかね、、、

〔泣く子も黙る!オダオダのミスリード〕


ルフィはよく大事な場面で「自由」という言葉を発しますが、ルフィの育った環境はサボのように閉塞感を感じるようなものではなく、むしろ逆に自由過ぎる環境だったように思えます。
エース同様に犯罪者の息子であるわけですが、ルフィがドラゴン自体よくわかっていないわけですから、エースのような疎外感を感じる道理もありません。
「一人になるのが辛い」と泣いていましたが、そんな環境に放り込んだガープを恨んでいるかといえば、そんな風でもありません。

シャンクスに憧れて、海賊になりたいというのは分かります。
しかし、7歳のルフィ少年からは、何か大きな不安とか不満とか、自分の存在意義に関わるような心の闇とか、そういうものはひとかけらも感じないのです。将来自分がどうなりたいかを心に秘めているとは、どうしても思えないのです。

この先、ルフィの過去編によって7歳になるまでの壮絶な過去が描かれる?
そんな後出しジャンケンみたいなことはまずないでしょう。
ヒントは出そろっているのですから。

考えてもみてください。
冷静に自分を見つめて、本当にやりたいことを見出す行為は意外と難しいのです。エースにできないことが、ルフィにできるわけないじゃないですか。
ただでさえルフィはバカなのに、もっとバカである7歳のルフィは、目の前のことで精いっぱい
だったに違いないのです。実際問題、エースの過去編のルフィは、そう描かれているじゃないですか。

【第六章の結果】

★オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
サボやエース同様、心の内を「夢の果て」として語ったルフィ。
しかし、いかんせんルフィという変人が言うことであるから、他者が聞くと、まるでトンチンカンであるのが「夢の果て」である。

★兄弟盃における衝撃の真相
同じバカであるエースが、それしか思い付かなかった夢を語ったのと同様にルフィもまた、それしか思い付かなかったのである。
「ししし…!!」
「そうか よーし」
この時のルフィの表情が全てを物語っています。
フィルムレッドで描かれた幼少期のルフィにみられる顕著な性質。
「負けず嫌い」が発動したのです!!!

【第七章】シャンクスとルフィ

第六章の結果を補足します。
つまりですね、サボの夢とエースの夢を聞いたルフィが、売り言葉に買い言葉的な形で、自分の夢を上書きしてきやがったのです。
ルフィが本当にやりたいことというよりは、サボとエースの「意思を受け継ぎ」、さらにそれを超えるトンチンカンな夢。それが「夢の果て」であると私は考えます。
まだいまいちピンと来ない方も多いと思いますが、もう少しご辛抱下さい。

さてそこで、賢明なみなさんは大きな矛盾にお気付きになると思います。
そう、シャンクスです。

シャンクスは「夢の果て」を知っています。
「ロジャー船長のあの言葉」は「夢の果て」と同じであることは疑う余地がありません。
しかし、ルフィがシャンクスと別れたのはサボやエースと出会う前の話です。時系列的に矛盾が生じてしまいます。

兄弟盃の後にルフィがシャンクスに再会していることはまずありません。
ルフィがシャンクスに手紙を送ってそれを伝えるようなこともないでしょう。
もし「夢の果て」がサボとエースの売り言葉に対する買い言葉であるならば、シャンクスはいつ、どうやって「夢の果て」を耳にしたのでしょうか。

ここが今回の考察における最大の難関であり、確かな裏付けが見当たらない部分ではあります。
しかし、ある共通点に気付くことで、可能性として充分に考えられるシチュエーションが浮かび上がって来るのです。

ここでまた、前章を振り返ってみるのですが、
サボが心に闇を抱えるようになった、そもそもの原因は、高貴な家柄の生まれであったことです。
そして、
エースが心に闇を抱えるようになった、そもそもの原因は、親がゴールド・ロジャーであったことです。
つまり、生まれながらの境遇が彼らの行動や言動を導く形になっているわけです。そういう整合性がとれています。

ではシャンクスという人物の境遇を考えてみましょう。
シャンクスとは、どうやらフィガーランド家という家柄の生まれであるらしいことが判っています。五老星の口から出た名前ですが、そのシチュエーションから相当に位の高い家柄であることが容易に想像できます。
そして、ゴッドバレー事件の後にロジャーに拾われ(拾われたのかどうかはよく分かりませんが)、ロジャー海賊団に育てられました。まさにロジャーは育ての親になるわけです。
つまり、高貴な家柄に生まれ、ロジャーを親に持つという、サボとエースの境遇を合わせ持ったような人物。
それがシャンクスという男なのです。

私はこの共通点が偶然のものとは思えません。

当然、サボ、エース、シャンクス、ともに性格や性質は全く違いますので、境遇が共通しているからといって行動や言動が同じになるとは思いません。考えてみれば、シャンクスはフィガーランド家の人間ですが海賊船で育ったわけで、初めから広い世界で解放的に生きています。つまりサボとは真逆です。
また、シャンクスはロジャーを船長として、また育ての親として心から慕っています。むしろロジャーに育てられたことを誇りに思っているのです。だからエースとも真逆です。

境遇が共通しているにもかかわらず、環境や心情がことごとく真逆であることもまた、怪しいなんてもんじゃありません。

しかもですよ、あろうことか「おれは自分の船を持ったら、時間をかけて広い世界をみてまわろうと思ってる」と、バギーに対してまるでサボのようなことを言っているのです。
これはもう疑いようがありません。

シャンクスがルフィを思い出すシーンで、夕日を背にしたシャンクスが、何かを読んでいるルフィと楽し気に会話しているコマが描かれ、それが「夢の果て」を語っている場面ではないかと言われていますが、私もまさしくその通りだと思っています。
ここでシャンクスは、ルフィに語っているのです。
サボとエースの夢にそっくりな自分の夢を。

そしてこの場面でもやはり、発動してしまったのではないでしょうか。
ルフィの「負けず嫌い」が!


【第七章の結果】

★オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
ルフィはバカだけど、極めて真っ直ぐな性格であるが故に、いったんコレだ!と思ったらソレをずっと心に秘めているのだ。だからあの時シャンクスにソレを語ったのと同じように、サボやエースにも心に秘めていたソレを、さも自慢気に語ったのである。ソレが「夢の果て」の正体である。

★夕日で語る場面を想像で描写してみた(長文失礼します)
何気ない会話の中で、おもむろに素直な疑問をぶつけるルフィ
「なぁ シャンクスはどうして海賊になったんだ?」
「どうしてと言われてもなぁ もの心ついた時にはもう おれは海賊だったんだ」
とシャンクスはおどけたように答えた
「うそだ! そんなことあるもんか!」
またいつものようにからかわれていると思い、ふくれっ面になるルフィ
「うそじゃないさ 証拠だってあるぞ」
「証拠?」
シャンクスはおもむろに、数枚の紙きれを取り出してみせ、こう言った
「航海日誌だ、、、これは最近のものだが 昔、”ある海賊”に習って以来 おれはこれを書き続けている」
いつになく真面目な顔つきで語り始めたシャンクスを、少し不思議そうにルフィは見つめた
「この航海日誌には 今までおれが旅してきた 世界中の国々のことや おれがガキの頃から見てきたもの 覚えていることの全てが書いてある
おれが出会った偉大な海賊達のこともだ」
「偉大な海賊?」
その言葉はルフィの目を輝かせるのに充分すぎる効果を果たした
それを待っていたかのようにシャンクスはすかさず切り出した
「中でも かつてのおれの船長は ズバ抜けて凄かった
その船長は 誰からも逃げず 誰にも負けず 世界の奴らがその男の存在を認めなくても どれほど嫌われても 命をかけて仲間を守り 最後まで自分の信念を貫き 世界にその名を知らしめたんだ!!」
楽し気にシャンクスは続ける
「いいか ルフィ おれはその船長の意思を受け継ぎ 新しい時代を築きたい 
そして その意思に恥じない航海を終えることができた時
偉大な海賊達と おれが生きた証として
この航海日誌を 本にしようと思っている
ルフィは少し眉をひそめて、「何か」を考え始めた
そんなルフィを見て、シャンクスは最後にこう言った
「この村はいいところだ おれには故郷が無い おまえがうらやましいよルフィ」
いつかこんな故郷に帰って その本を自分の子供に読み聞かせるような
そんな穏やかな未来を夢見ている 自分の本心を少しだけ思い出しかけたその時、「何か」を考えていたルフィが口を開いた
「うーん むずかしいことは よくわからねぇ
ただ おれは、、、」
ここで「負けず嫌い」が発動される運びとなるわけです。

【第八章】多角的なリアクション

この章も前章の補足から入らせて下さい。
シャンクスの語ったことと、サボとエースの語った夢では、だいぶ意味合いが違うのですが、理解力の足りないルフィにとってはほぼ同じように聞こえたのでしょう。

つまり兄弟盃でのルフィの内心はこうです。

「あれ?サボとエースが言ってること、どこかで聞いたことあるぞ」
「そうだ!シャンクスだ!!!シャンクスと同じこと言ってる!!!」
「おれ、あの時なんて言ったっけ?」
「あ、そうだ!思い出した!!」

となるわけです。そして
「ししし…!!」
「そうか よーし」
「おれはなァ!!!」

につながるわけです。

バカで負けず嫌いのルフィが、勝ち誇ったように自信満々で、迷わず即答できたのは、近い過去に同じ経験をしていたからであって、決して心に秘めていたからではないのです。

いやいや、そうは言っても今のルフィにとってはその「夢の果て」がかなり大事なものになってるわけじゃん。
そんな「負けず嫌い」から思い付いた、その場しのぎみたいな「夢の果て」にいつまでもこだわってるっていうのが変じゃない?

と感じる方もいるかもしれませんが、

変じゃありません。何故なら「夢の果て」はサボとエースの意思を受け継ぐ内容で、さらにそれをルフィの「負けず嫌い」でヴァージョンアップしたものだからです。そのヴァージョンアップの仕方がトンチンカンだから「は?」となるだけで、エース亡き今、ルフィにとってはもの凄く大事な「夢の果て」なのです。

あまり考えたくありませんが、この考察を構築していくうちに、シャンクスはある程度覚悟しているのですが、サボの命も心配になってきてしまい、正直当たって欲しくない気持ちになっていたりします。


さて、第一章から第七章まで長々と、ルフィが「夢の果て」を語った背景について考察して参りましたが、ここからはそれを聞いた者のリアクションを考察します。

とりあえず「夢の果て」「船長のあの言葉」を聞いた全員のリアクションを、全て書き出してみましょう。

白ひげ:「は??」
「グラララララララ!! 何言ってやがるロジャー!! ガキでもあるめェし!!!」

おでん:「は??」「おれは固まっていた 今日二度目のド肝を抜かれた 何なんだコイツは!!」

シャンクス:涙を流して笑っていた

ヤマト:「ぼくは 笑わないよ…!!!」「それは”海賊王”が言った言葉だ」

エース:「は??」「…お前は…何を言い出すかと思えば…」

サボ:「は??」「あはははは 面白ェなルフィは!!」「おれ お前の未来が楽しみだ!!」

ゾロ:「は?」

ジンベエ:「ん?今…何と?」「ワハハハハハ!!」「この船に乗ってしまったからにゃあ 他人事じゃないのう!! 大変な船長についてしもうた」

ナミ:「えェ??」「あんたらしいけど…」

ブルック:「ヨホホ♪ 面白すぎます それ!!」

ウソップ:「おい」「いやいや お前…!!」「お前な!!そんな事できるわけねェだろ!!」「んな事考えるか!?フツー…」「全然言ってなくて構わねェが…ムリだし!!」

フランキー:「わはは いいな それ最高だ!!」「そりゃ”海賊王”にくらいならねェとムリだな!!」

サンジ:「だははは」「おいチョッパー 頭診てやれ!!」

ロビン:「…」「3人は何て?」

チョッパー「わあ~~~…!!」「それいいなー!!ルフィ!!」「その夢いいな~~~!!!」

という感じですね。合計15名になります。
全体的にまとめてみると、「物理的には不可能ではない、でも普通では出来ない、子供が考えそうな夢」といった感じになります。
それにしても、リアクションが極端すぎるというのがどうも考察を困難にしている節があります。

全肯定する者もいれば、全否定するものもいれば、ワンクッションおいて肯定するものもいれば、感動するものもいれば、ただ固まる者もいる。
最終的にはほとんどが肯定するのですが、よく観察してみると、肯定の仕方もまたバラバラです。

ここで私は思うのです。
これはおそらく、人によって、「その文言」を違う角度でとらえているせいではないかと…

人によってフォーカスしている単語が違うとか
同じ言葉でも、人によって受け取り方が違うとか
本来の意味を理解している人と、理解していない人がいるとか
そもそも、全く違う視点でものを言っている人がいるとか

例えば
「今日ぼくは、朝ごはんを食べました」
という文言を誰かが言ったとします。
「へぇ、そんなんだ。別に興味ないけど
と思う人もいれば、「今日」という単語にフォーカスして
「いつも朝ごはんを食べない人なのに、今日は食べたんだ。めずらしい!
と思う人もいれば、「朝ごはん」という単語にフォーカスして
「昼食はとらないのに、朝ごはんは食べたんだ。ダイエット中?
と思う人もいれば、「ぼく」という単語にフォーカスして
ぼく?この人女性だよね、もしかしてヤマトファン?
と思う人もいれば、自分の状況と比較して
「おれは寝坊して食べれれなかったよ。ハラヘッタなァ~
と思う人もいれば、
what did you say?
と日本語が分からない人もいれば、完全に違う視点から
今日も地球は平和でよかった
と思う人もいます。

おそらくこういう状況が、極端な形で発生しているのではないかと思うのです。

〔今日も元気に!オダオダのミスリード〕

我々はずっと「夢の果て」の正体が「大宴会」とか「大運動会」とか、一つの単語あるいは非常に短い文言で、何か固有の「物」とか「イベント」とか「行為」とかだと考えていたため、「赤いボール」を「青いボール」という人と「赤くて四角い物」という人がいるような状況だと思ってしまっていたのです。
実は以外と長い文言であって、少なくとも注目を集めるであろう言葉が二つ以上は入っているのではないかと思うのです。そして「今日も地球は平和でよかった」というような、完全に別の視点でとらえることができる文言である可能性があるのです。次の章ではそこを詳しく分析してみます。

【第八章の結果】

オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
ルフィという男を漢字二文字で表すとしたらそれは「単純」である。
漢字三文字で表すとしたらそれは「単細胞」である。
ルフィは難しいことを考えない。いや、考えることができない。
難しいようなことを言うルフィは、もはやルフィではない。
だから7歳のルフィに考えられるようなことは「単純」なものであるに違いない。

★「夢の果て」の言葉の長さについての真相
確かにルフィは難しいことを考えることができない。
ルフィは「単純」である。
しかし、大好きなエース、大好きなサボの夢に心踊らされる様もまた「単純」である。
それに大いに触発され、負けじと大口を叩く様もまた「単純」である。
たとえルフィが長ったらしいようなことをグダグダと言ったとしても、その行動が単純なものである限り、ルフィはルフィである。 

【第九章】全てのヒント

ここでもう一度まとめます。

  • 「夢の果て」は超ド級のオチである

  • 「夢の果て」に関するヒントは全て描き尽くされている

  • ワンピースの世界線には単行本が存在する

  • 「夢の果て」はルフィの「負けず嫌い」が生んだ割と長い言葉


第十章は結論になりますので、考察はこの章が最後になります。
あと少しなので私も頑張ります。

では第九章で述べたように、注目を集めるであろう言葉別の視点という観点から、もう一度リアクションを振り返ります。

とにかくこの中に全てのヒントがあるはずです。

一人ずつ順番に見ていく前に、
「夢の果て」のリアクションの王道みたいになっている「は??」について考えてみましょう。ここにヒントが無かったら逆に詐欺です。
「白ひげ」「おでん」「エース」「サボ」「ゾロ」がまず最初にこのリアクションをしています。この面々に共通する印象とはどんな感じでしょうか。私は「強いヤツ」という印象を受けます。いわゆる猛者、または猛者予備軍といった感じがします。
海賊王になるためには、尋常ではない「強さ」が必要であり、それがどれだけ険しい道のりなのかを肌で感じられるタイプであるような気がします。
つまり、ここでの「は??」には
お前、強くなる気あるのか?
といった意味合いが含まれるように感じます。
要するに「強さ」と逆の意味を連想させるような言葉が用いられているのではないでしょうか。
例えば「弱さ」「賢さ」「面白さ」とかが想像できます。

ではここから順番に見ていきます。
まずは、白ひげおでんです。
最初は「は??」となった二人ですが、すぐに笑い始める白ひげに対し、おでんはまだ固まっています。
この二人の差とはなんでしょう。
ロジャーという男を昔から知っている白ひげと、この時初めて知ったおでんとの差のように見えます。
この時のおでんは確かに世間知らずだっからという理由もあるのでしょうが、固まるというリアクションはおでんだけです。
例えば、このような見方は出来ないでしょうか。
その言葉の表す、本当の意味をに理解しているかどうかの差。
つまり本当の意味を理解して固まっていたおでんに対して、本当の意味を理解していない白ひげはすぐに笑い始めた。
一応一つの考え方として心に留めておいて下さい。
そしてやはり白ひげのセリフにより、子供が好きそうなものを連想する言葉が入っている可能性がありそうです。
「運動会」「動物園」「おもちゃ」「絵本」「ロボ」「ビーム」のようなものですかね。

次のポイントは、シャンクスヤマトです。
ヤマトは涙を流しています。ただ「ぼくは笑わないよ」と言いながら顔は笑っています。
つまりシャンクスはヤマトと同じようなリアクションであったと思われます。
言葉とかの問題ではなく、「ロジャーと同じ」という全く別の視点からリアクションしているわけです。だからシャンクスは猛者であるにもかかわらず「は??」とはならないのです。
いずれにせよ、これは内容を考察するヒントにはならないと思われます。

次はサボエースです。
「は??」の後、二人とも同時に普通にしゃべり始めました。
白ひげおでんのような差はありません。
もし本当の意味を理解しているかどうか、が問題になるのであれば、二人とも理解していないということになります。
で、その後呆れるエースに対して、面白がるサボ
エースにはあまり興味が無くて、サボには興味がありそうな言葉とはどういったものでしょう。第六章で私は、サボには表現者としての性質があると述べました。それを含め考えると、
「自由」「航海の勉強」「本」「絵画」「芸術」のようなものが連想できます。

続いて一味の仲間のリアクションに入ります。
まずはゾロです。
「は?」だけなのですが、実は「は??」ではなくて「は?」なのです。
白ひげおでんサボエースと比較すると、表情もそこまで呆気に取られている感じではありません。「何言ってんだ?こいつ」という表情に見えます。「夢の果て」の内容を左右するヒントではないと思いますが、ちょっとした意図を感じます。フェイクの匂いがします。

次はジンベエです。
内容を聞き取れなかったのでしょうか。ジンベエは一味で最年長の46歳(ブルックは38歳で心身ともに停止しているものとして)。耳が遠いにしては若すぎます。
耳なじみのない単語が使われていたのでしょうか。中高年には馴染みがないような「物」とか「言葉」となると、白ひげのところで挙げた子供っぽいものなんかが、まさに該当します。
そして「他人事ではない」ということは、「仲間」を連想する言葉が使われている可能性もあります。
「仲間」「トモダチ」「海賊団」みたいな。

次はナミです。
「えェ??」と明らかに嫌そうな顔をしています。「なんか嫌な予感がするんですけど」ていう顔です。
ナミが嫌がることって何でしょうか。
お金の無駄遣いとか?
でも後になって「あんたらしいけど…」といって笑っています。
お金の無駄遣いだったら絶対反対しそうなもんですよね。
他にナミが嫌がったり、怒ったりすることってなんでしょう。
ナミはツッコミ役なのでしょっちゅう怒っててよくわかりません。
でも「あんたらしい」ということはやはり、
「肉」「冒険」「仲間」「面白いヤツ」「ロボ」「ビーム」みたいな言葉が含まれるのでしょうか。

次はブルックです。
私は一味の仲間のリアクションの順番もすごく気になります。真っ先に肯定的な反応をしたのがブルックでした。
そして何より気になるのが「ヨホホ!!」ではなく「ヨホホ♪」であることです。
ブルックが真っ先に喜ぶことといったら、パンツ関係か音楽関係のどちらかでしょう。そして「ヨホホ♪」であることから、この時のブルックは音楽家あるいは芸術家として「面白すぎます」と言っているように思えます。
ルフィが音楽あるいは芸術を連想させる言葉を用いた可能性があるのではないでしょうか。
例えば「リズム」「メロディー」「歌」「演劇」「彫刻」「絵画」みたいな。

次はウソップです。※ここから閲覧注意です。
これってツッコミですよね。
ルフィの好きなものは、だいたいウソップも好きそうなイメージなのに、今回は違います。なにやら本気でヤバ目の顔をしています。
呆れるでもなく、嫌がるでもなく「おい」と本気で怒っているかのように見えます。このコマだけ見たら普通にシリアスなシーンです。
その後ウソップは色々言っていますが、結局最後まで肯定していません。
一味ではウソップだけが全否定しています。
これが引っ掛かります。
他のキャラが呆れたり、笑ったりしているのに対して、全否定しているということは、言葉ではなくその言葉の持つ意味を否定している可能性が考えられるのです。つまり全く別の視点です。
「いやいやお前、それは根本的に無理なことを言っているんだよ!!」
ということです。それってどういうことかというと、
「いやいやお前、それを言ったらこの漫画が成り立たないんだよ!!」
「いやいやお前、これはワンピースっていう漫画なんだよ!!」
という視点です。
そんなメタ的な展開「銀魂」じゃあるまいし!
と思うかもしれませんが、白ひげおでんを思い出して下さい。
おでんがもし、ウソップと同じ視点で固まっていたとすれば、白ひげとの差が容易に説明できます。
ウソップとおでんの二人だけなのです。最後まで肯定していないのは。
この文言をメタ的な視点でとらえた場合、それが不可能である。
もしかしてそういう意味なんじゃないでしょうか。
そう思って「おい」と言っているウソップと、固まっているおでん、二人の表情を見てみると、構図、顔に貼られたトーン、吹き出しの位置、ちょっと似てますよね。偶然かもしれませんけど。

次はフランキーです。
涙を流して大絶賛しています。
「ロボ」「ビーム」が濃厚になってきました。

次はサンジ
これもちょっと変じゃないですか?
ルフィがバカなのは百も承知のサンジが、今更冗談でこんなこと言いますか?
このセリフでゾロに喧嘩を売るなら分かるんです。
なんか凄く違和感があるセリフなのです。
今のサンジが今のルフィに言うセリフじゃないと思うのです。
サンジもまた違う視点で見てはいないでしょうか。
しかも表情がまた生き生きした、いい表情してますよね。
なんかとんでもないイタズラを仕掛けて喜んでいる悪ガキみたいです。
例えば「我々読者に対して」。

そしてロビン
驚いていますよね。
ロビンが驚くってことは完全に歴史に関係があるってことです。
これは私には予測できません。これを予測するには歴史考察をしないといけませんね。
想像で言うならば、ロビンが掴んでいるワンピースの情報に関連する言葉が出てきたのかもしれません。知らんけど。

さぁ最後はチョッパーです。
よほど魅力的な言葉が飛び出したのでしょう。
さすがに「わたあめ」ではないでしょうから「ロボ」「ビーム」がさらに濃厚になった感が強いですね。

まとめます。
まず、以上で例に挙げた言葉を振り返り、複数のキャラで共通しているものをピックアップしてみます。
「面白さ(面白いヤツ)」「絵画(絵本)」「ロボ」「ビーム」「仲間」
そして、おでん、ウソップ、サンジメタ視点でリアクションしている可能性がある。
という結果になりました。

「絵画(絵本)」「ロボ」「ビーム」で連想されるものと言えば、第五章で考察した通り「絵物語(漫画)」ですね。

【第九章の結果】

オダオダのミスリードによって思い込まされた勘違い
【問題】
「物理的には不可能ではない、でも普通では出来ない、子供が考えそうな夢」を考えなさい。

★「夢の果て」に関する傾向と対策
【問題】
「面白さ(面白いヤツ)」「絵物語(漫画)」「仲間」この三つの言葉を用いて、
兄弟盃の会話におけるルフィの「負けず嫌い」を表現しつつ、
メタ視点で見ると不可能である文章を作成し、
このワンピースという物語に超ド級のオチをつけなさい。

【第十章】夢の果て

最終章となりました。ここまでお付き合い頂いたことに心から感謝いたします。
ここに来てメタ視点というブラックワードが飛び出したことに、抵抗感を感じている方もいらっしゃるかと思いますが、私は本気です。
前章ではウソップサンジおでんメタ視点でリアクションしている可能性があると申し上げましたが、そう思って全員のリアクションを読み返してみると、チョッパー以外は全員メタ視点でリアクションしていると解釈することもできます。

いまいち何を言っているのかわからない方のために、分かりやすく説明しますと、

第1060話のサニー号甲板での会話は、ワンピースという"舞台"とその"楽屋"での会話が入り混じっているということです。
甲板にいる一味全員が、自分がワンピースのキャラクターであるということを自覚している状態での会話なのです。

どうでしょう、さらに抵抗感が増してきたのではないでしょうか。

無い無い!
絶対無い!尾田先生がそんなことするわけない!

という皆さんの心の声が、私にもしっかり聞こえます。
ただですね、ここで皆さんは、今回の考察で一度も登場していないあるキャラクターを思い出さなくてはならないのです。

さあ、いよいよ結論です。
冒頭でも述べましたが、知識不足のただのオッサンの思い付きですので、この結論は軽く流して頂けたら幸いです。
あと、「夢の果て」と「船長のあの言葉」は一言一句同じではないと思っていますので、そこはご想像下さい。
そして、私の予想が当たっていれば、この先最終回まで「夢の果て」関連の描写は一切無いと思われます。
さらに言うと「夢の果て」は結果だけが描かれ、「夢の果て」の文言、つまり実際にルフィが何て言ったのか本誌では描かれないと思っています。

よって結論①としてまず、私の想像する最終回を描写させていただきます。

次に結論②として、おそらく本誌では描かれないであろう「夢の果て」の文言を、兄弟盃の場面で再現します。

最後にリアクションの説明を軽く補足して、
この長ったらしい考察を終わらせて頂こうと思います。

つたない文章で、分かりづらい考察だったかもしれませんが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

【第十章の結果】

結論①最終回におけるオチの描写


穏やかな波と風が心地よい、とある小さな島に、一軒の小さな家。
中からは男の声が聞こえる。
どうやら電伝虫で会話をしているようだ。

電伝虫
「ガチャ」 
男の声
「あ、もしもしルフィさん?」
「お待たせしました! ようやく出来ましたよ!!」
ルフィの声
「そうかー!やっとできたかー!」
「おれの 夢の果て!!!」
「おれも 早く見たいなー!」
「みんなにも 早く見せたいなー!」
男の声
「いやいや、まだ始まったばかりですけどね…」
「先は本当に長い道のりですよ」
「それは ルフィさんが一番よく 分かっているじゃないですか」
ルフィの声
「まァ、そっか」
「でも、これをたのめるのは お前しかいねェからな!」
「よろしくたのむ!!!」
男の声
「はい!もちろんです!!」
電伝虫
「ガチャ」

男は電伝虫を、ペンや鉛筆がちらかった机の端に置き、その傍らに置いてあった一枚の紙を取り上げると、それを満足気に眺めた。
その男が今、描き上げたばかりの漫画(絵物語)の原稿である。
しばらくの間、まじまじと原稿を眺めていた男は、そこに書かれてある言葉を、聞き取れないほどの小さな声で、微笑みながらつぶやいた。
そして、おもむろに原稿を机の上に戻したかと思うと、両手のこぶしを天に突き上げ、満面の笑みで、今度はその言葉を大声で叫んだ。
「海賊王に おれはなる!!!!」
机に置かれた原稿には、その男と同じように希望にあふれた表情で叫ぶ、麦わら帽子をかぶった、一人の少年の姿が描かれていたのであった。
ワンピース第一話、脱稿の一幕である!

その時一瞬見えた、その男の顔が、まるでパンダのようだったとか、パンダのようでなかったとか…ワンピース【完】

②「夢の果て」を加えた兄弟杯の再現(本誌では描かれない「夢の果て」の全容)


サボ
「広い世界をみて おれは それを伝える本を書きたい!!」
「航海の勉強なら何の苦でもないんだ!!」

エース
「最高の”名声”を手に入れる!!それだけがおれの生きた証になる!!!」
「世界中の奴らがおれの存在を認めなくても どれほど嫌われても!!!」
「”大海賊”になって見返してやんのさ!!!」
「おれは誰からも逃げねェ!!! 誰にも負けねェ!!! 恐怖でもなんでもいい!!」
「おれの名を世界にしらしめてやるんだ!!!」

ルフィ
あれ?サボとエースが言ってること、どこかで聞いたことあるぞ)
(そうだ!シャンクスだ!!!シャンクスと同じこと言ってる!!!)
(おれ、あの時なんて言ったっけ?)
(あ、そうだ!思い出した!!)

「ししし…!!」
「そうか よーし」
「おれはなァ!!!」
「エースより もっと凄ェ大海賊…海賊王になる!!!」
「おれも絶対負けねェし 絶対逃げねェ!!!」
「でも みんなから嫌われるのは嫌だ…」
「だから 世界一面白ェ海賊団を作りてェ!!!」
「そして サボよりずっと面白ェ冒険を みんなに伝える!!!」
「でも おれは勉強したくねェし、本も嫌いだから…」
「だから…漫画(絵物語)を描きたいけど 多分描けねェ…」
「だから…誰かに描いてもらう!!!」

「おれは 世界一面白ェ 大海賊団を作って
おれとその仲間の
世界一面白ェ冒険の漫画(絵物語)を
誰かに描いてもらう!!
そして 世界がひっくり返るくらいに
みんなを 笑ったり泣いたりさせてェ!!!」


③リアクションの説明


フィクション視点①(ワンクッションおいて肯定パターン)
は??
海賊王になろうっていう男が「面白い」
しかも漫画(絵物語)
誰かに描いてもらう?
たく、しょうがねェ野郎だな…
まぁ、でもよく考えたら、それはそれで面白ェかもな!!
いや、それメッチャ面白ェな!!!

フィクション視点②(チョッパー的なパターン)
ルフィが漫画(絵物語)の主人公になるのか!!
フランキーの「ロボ」や「ビーム」も出てくるのか!!
スゲー!!!
カッコイイ~~~!!

メタフィクション視点①(ウソップ的メタパターン)
そりゃルフィ、お前が海賊王にならないとその漫画が成立しないのは当たり前なんだよ!それはお前じゃなくて尾田っちの夢なんだよ!!

メタフィクション視点②(サンジ的メタパターン)
そのオチはヤバいだろ!まさかあの尾田栄一郎が「夢落ち」みたいなことしてくるとは、読者も完全に想定外だぜ!!
おいチョッパー
尾田っちの頭診てやれ!!

おしまい


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