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クレディセゾン株主総会レポート

去る6月20日に東京プリンスホテルで開催されたクレディセゾンの第69回定時株主総会に、株主の1人として出席してきました。

これまで東池袋52の応援を通じてクレディセゾンを応援してきたのですが、株主になるという応援の仕方もあるなと思って、わずかではありますが、今年3月から株式を保有し始めました。

この株主総会の場で、会社の今後の事業展開についていくつか面白い話を聞くことができましたので、簡単にレポートとしてまとめたいと思います。

1.総会開会まで

総会は10時開始だったのですが、30分ほど前には会場となるホテルに到着しました。エントランスからエスカレータで会場のある2階に向かい、受付で手続きを済ませました。

まず驚いたことは、東池袋52のPVが、会場入口前のスペースに設置された大型モニターと会場内の大きなスクリーンに映し出され、その音声と共に、会場に繰り返し流れていたことです。しかも、わたしセゾン、愛セゾン、雪セゾンの3曲分です!

株主総会は、会社法で規定された、会社にとって最も重要な会議体で、株式会社であれば、どの会社でも組織図の一番上に「株主総会」という四文字が存在します。株主総会では、剰余金配当や取締役の選解任、あるいは吸収合併契約の承認など、株主にとって重要な案件の決議を行います。

会議開始前の時間とはいえ、そのように非常に重要な株主総会の場で東池袋52のPVが流れるというのは、東池袋52が会社にとって大きな意味を持つことの表れだし、来場した株主にもその活動を知ってもらいたいという意思の表れだと思います。

総会の会場で東池袋52のPVが流れるとは思っていなかったので、ファンの1人として、既にここで胸が熱くなってしまいました。そして、お決まりの如く、「社員がやってるみたいなんですよ」「え、社員なの?」という会話が後ろから聞こえてきて、(ええ、そうなんですよ。とても社員とは思えないクオリティの高さなんですよ。是非帰ったら検索して動画も見てね、是非イベントもどうぞ・・)と心の中でつぶやいていました。

2.中期経営計画の印象

まず総会の冒頭に、先日発生した新潟山形地震に触れて、被災されたカード会員や加盟店に対して会社として支援を行っていくという案内がありました。このあたりの対応の素早さはさすがです。

そのあと、定足数や議決権数の報告、決算書類の説明など、お決まりのフォーマットに従って議事が進行してきます。ここはあまり面白くないので詳細割愛します。

次に、山下社長による中期経営計画の説明がありました。ここでいくつか興味深い話が聞けたので、紹介したいと思います。

その前に、今回の中期経営計画の全体的な印象ですが、長年の懸案であったシステム統合が完了したことで、今後の成長に向けて積極的に攻めて行くんだという姿勢が明確に打ち出されています。

新システムの開発期間中は、新たな商品やサービスの開発は凍結せざるを得ませんが、クレディセゾンでは昨年新システムが完成しました。それにより、既にいくつかの新しいサービスが提供され始めていますが、今後も矢継ぎ早に新しいサービスを開発していくということでした。

拡張性のない古いシステムを引きずっている、あるいは新しい統合システムを開発しようとして苦戦しているカード会社が多い中で、クレディセゾンは一歩先に行ったという印象です。

3. 中期経営計画の説明

さて、中期経営計画における重点テーマに沿って説明があったのですが、ここでは、我々カード会員にとって関係が深い、「B2C領域のショッピング取扱高の拡大」について説明された内容を紹介してきます。

3.1. 準プロパーカードによる提携先の拡大

「プロパーカード」というのは聞きなれない言葉かもしれませんが、カード会社が自社で企画し発行するカードのことを指します。クレディセゾンでは、セゾンカードインターナショナルや、セゾンアメリカンエキスプレスカードが該当します。

これと対になる言葉は「提携カード」で、主に小売企業などと提携した、提携先の割引特典などが組み込まれたカードのことを指します。クレディセゾンでは、三井ショッピングパークカードセゾンや、シネマイレージカードセゾンなどが該当します。

提携カードを企画する際には、通常は相手先企業の要望をふまえながら、組み込む特典やカード券面デザインなど決めていくのですが、「準プロパーカード」というのは、大きなカスタマイズを必要としないカードについて、標準化された企画内容をベースにして、より簡単なプロセスで提携カードを商品化/発行できる仕組みのようです。

これにより、これまでコスト面から提携カードの開発が難しかった中小の提携先についても提携カードの発行が可能となります。これを武器の一つにして、新たな提携先の開拓を行うということでした。

また提携先の拡大に関して、面白い話が聞けました。既に他のカード会社で提携カードを発行している企業が、クレディセゾンに乗り換えたいという引き合いが多くなっている、ということです。

クレディセゾンは新システム開発が完了して、スマホベースの新しいデジタルサービスが提供されているのに対して、他の大手カード会社の中にはシステム開発がうまくいかず、新サービスの開発が滞っている企業もあります。そういった企業と組んで提携カードを出している会社が、新しいサービスが提供されないことにしびれを切らして、提携カードの発行元を切り替えようという引き合いがあるようです。

(ちなみに山下社長は「最近システム開発で多額の減損を出した企業もありますが」と競合他社の状況に言及するなど、攻めてるなあと感じる場面がありました)

3.2 「一律サービス」から「顧客毎の利用実績に応じたサービス」への転換

クレディセゾンでは今年4月から「セゾンクラッセ」というサービスを開始しました。これは、会員の利用実績に応じて会員ごとに350~900点のスコアがつけられ、それに応じたクラスが決定され、クラスに応じた特典が得られる、というサービスです。

従来は全会員に一律のサービスを提供していたのですが、会員の利用度に応じて提供する特典に差をつけるという、いわば当たり前のことがようやく実現できたわけです。

例えば最高のクラス(★6)だと、永久不滅ポイントが2倍になるなど、かなり魅力的な特典が用意されています。また期間限定で今はなくなりましたが、★4には、セゾンゴールドアメリカンエキスプレスの年会費が永久無料となるという特典があり、私もそれを利用してカードの申し込みをしました。

ちなみに、このセゾンクラッセに登場する、「ぺんとす君」というかわいいペンギンのキャラクターがいるのですが、これは「hintos」という、クレディセゾンが運用するサイト(生活を豊かに便利にしてくれる商品やサービスを紹介するサイト)のキャラクターです。ちなみに、ぺんとす君には、同僚や上司もいるようです。

ちなみに、このセゾンクラッセの紹介のなかで、山下社長が自分のクラスは★4だったということをおっしゃっていました。(ちなみに私も最初は★4だったのですが、ゴールドカードを作ると★5になりました)。相手が社長であっても一切忖度しないぺんとす君はさすがです!

3.3. スマホ完結型サービス

従来から、クレディセゾンではカウンターでカードの即日発行ををしていましたが、対象となるカードが一部のカードに限られていました。

これに対して、今回のサービスは、どのようなカードでも、QRコード決済を通して、即日でカード利用が可能となるサービスのようです。

特に小売店では、カードに申し込んだその場でカードが利用できれば、すぐに特典割引が受けられるなど利用者にとって大きなメリットがあります。また提携先企業にとっても、会員獲得が行いやすくなるメリットがあります。

仕組みとしては、スマホで申込みをして入会審査が完了すると、その場でカードに紐ついたQRコード決済が使えるようになり、それを使って支払いができるということのようです。(このQRコード決済がOrigami Payなのか別のものなのかはわかりませんでした)。ちなみに、カードは後日郵送で届くようです。

確かに、今はQRコード決済であるセゾンOrigamiPayを使うには、設定の際に手元にカードが届いていることが必要なのですが、その必要性がなくなるということなのかなと想像しています。

3.4. スマホの利便性強化

クレディセゾンでは「セゾンPortal」という会員アプリを提供しています。カード会社の提供するアプリの中では比較的ユーザーインターフェースが洗練されていて、今でも十分に使いやすいアプリなのですが、今後ともスマホでの利便性を徹底して強化していくという話がありました。

具体的には、カード利用に不安を抱えている若年層のニーズに対応すべく、カード会社が設定する利用限度額とは別に、それ以下の額で会員自身が限度額をスマホ上で設定できるようにする機能だとか、決済の度にスマホに通知が届く機能などを開発しているということでした。

クレジットカードは安心/安全に使えることが何より大事なことです。決済の度に通知があるというのは他社でも提供しているサービスですが、自分で利用額を決定できるというのは、まだ日本では見たことがない先進的なサービスです。

このようなサービスを積極的に展開できるのも、新しいシステムが稼働したことによる恩恵ですね。

3.5. 提携カードの特典の共通化

上にも述べましたが、今は提携カード毎に、その提携先の特典が付いています。例えばLoFtでの割引を得ようと思えばロフトカードを作る必要があるし、西友での割引には、ウォルマートカードセゾンが必要です。

それを、セゾンカードであればどのカードであっても、提携カードと同じ特典を受けられるようにするということです。

これが実現できれば、何枚も提携カードをもつ必要がなくなりますので、利用者にとっては大きなメリットがあります。一方で、提携カードを発行する意味は薄くなってしまいますので、戦略上の矛盾を孕んでいます。

今はこの枠組みに乗ってくれる提携先を募っているということのようですが、日本でのクレジットカードの発行慣習を変える一歩になるかもしれず、今後の動向に注目です。

※補足ですが、海外では日本ほど提携カードは多くなく、カード会社(銀行)自身がプロパーカードを発行し、そこにいろんな加盟店の割引特典がついてくる、というのが一般的です。日本でもそういう方向に向かうのかもしれません。

4. みずほ銀行との提携解消

既に発表があったとおり、クレディセゾンとみずほ銀行との間での包括的業務提携が、発展的に解消されることになりました。経営上の非常に大きな意思決定ですので、当然ながらそのことに関する説明がありました。

この提携は十数年前に遡るようです。カード会社の業務は1)会員へのカード発行(イシュイング)、2)カードが使える加盟店の開拓と管理(アクワイヤリング)、3)プロセッシングという大きく3つに分かれるのですが、1)はクレディセゾン、2)はUCカード、3)はキュービタスと、それぞれの会社がそれぞれの機能に特化することで、効率性を高めようという目的で始まりました。

しかし、その後、法改正や企業の合従連衡など、外部をとりまく環境が大きく変わる中で、今となっては、この枠組みが必ずしも最適でないということがわかってきたようです。

具体的には、上記3社以外もこの枠組みに取り込むことで、規模を活かして最適な体制を構築することを想定していたようですが、そのような取り込める先が現在ほとんど存在しないことがわかり、であれば、それぞれの会社が戦略的な自由度をもって取り組めるようにしよう、ということになったようです。

ちなみに、既に発表されているとおり、包括的提携が解消されても、今後とも両社の協力関係は維持するということで、例えばクレディセゾンでUCカードの発行を今後とも継続していくようです。

5. 最後の社長あいさつ

総会に付議された議案がすべての可決された後、締めとして、今年から社長を務める山下社長から挨拶がありました。

林野会長は、約19年という長きにわたって社長を務められてきたわけですが、山下社長は林野会長のことを、堤清二という類稀なる経営者から直接の薫陶を受けた人であると称し、ご自身も多くのことを林野さんから学んだと述べていました。そして、林野さんより1回り以上若い視点で、新たな成長を成し遂げていきたいという決意を表明されていました。

山下社長は、年齢的には61歳ということで決して若くはないのですが、数年前に見事な瓦割りを披露してくれるほどのアクティブな方です。また、最新のデジタルテクノロジーの動向などにも明るく、何より非常にわかりやすく事業戦略の説明をしてくれたことが印象的でした。

ぜひ今後とも、東池袋52をはじめとして、人生を楽しくしてくれるドキドキやワクワクを提供してくれる会社であることを期待したいと思います。

(免責事項)

最後に、本記事の内容についての免責事項です。お決まりの内容ですがご了承ください。

・本記事は株主総会での登壇者の発言に基づき記載したものです。なるべく正確性を期するようにしていますが、この記事の内容が正しいことを保証するものではありません。内容に事実との相違があり、それに基づき投資判断をされた場合に発生した損害等に関して、一切の責任は負いません。

・とは言え、間違った情報は訂正したいので、お気づきの点があればTwitterのDM等でお知らせください(https://twitter.com/hib52fan/)