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なぜ人はInstagramの「いいね」がほしいのか

 

SNSの「いいね」という機能はなんのためにあるのだろうか?ただハートを押してもらうだけで何も価値はうまれないじゃないか?ボタンを押してもらって何もないのに、なぜこだわってSNSを必死にやるのだろうか?とふと疑問に思った。そこには人の奥底に隠された感性が働いて、今のようなSNSの発信が主流になったのではないかと思った。

「インスタグラム女子」がキラキラした写真をとるために、わざわざ高価なアイテムを買ったり、着物レンタルしたり、海外旅行をいくにしても観光を楽しむのではなく写真をとることが目的になっていたりすることは最近よく見る事例である。実際、「いいね」を集めている人はその物、経験、関係性をどこまで本心で取り組み、熱中できているのだろうか?よくよく考えて見れば20年前はまだ携帯がでた時代にあるように、当時はそのようなSNSはなかった。SNSの発信はよく思う人も、よく思わない人など人それぞれであろう。なぜ自分を発信していく感性はなぜうまれたのか?なぜこだわって写真をとったり発信するのか?その疑問を世界でも利用されているInstagramで考える。

インスタグラムとは

 今や世界中で利用されているInstagramはケビン・シストロムとマイク・クリーガーによって作成され、2010年10月6日からアップルのアップルストアに登場した。わずか6日で、ユーザー数は10万人を突破した。その後もユーザーは急激に増え続け、2011年9月にはユーザー数が1000万人となった。しかし、この段階ではまだiOSでしかアプリを利用することができなかった。そこで、2012年4月に待望のandroid版がリリースされることになり、
android版は初日の段階で、100万ダウンロードを達成する。

*国内

・月間アクティブユーザー数:2,900万人 ⇒ 3,300万人
(参照元と期間:2018年11月 から 2019年3月時点)
・月間アクティブ率:76.7% ⇒ 84.7%
(参照元と期間:2014年12月 から 2015年6月)

*海外

・月間アクティブユーザー数:8億人 ⇒ 10億人
(参照元と期間:2017年9月 から 2018年6月)
・日間アクティブユーザー数:3億人 ⇒ 5億人
(参照元と期間:2016年7月 から 2017年9月)
・日間アクティブユーザー数(ストーリーズ):4億人以上
(参照元と期間:2018年6月)

出典:https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/

二つのグラフを見てわかることは、国内ユーザー層は10-20代の利用者数が多いと思っていたのだが、20-40代の利用者数が多い事がわかる。それぞれの年代によって投稿内容に偏りがあると思われる。そして米国ユーザー層は
圧倒的20代が多いことがわかる。

**Instagramの利用目的とは

**

Instagramを利用する目的を考える。
まずはいつ利用するかシーン別で表したグラフである。

InstagramBusiness公式ページより転載(https://business.instagram.com/blog/instagrammers-in-japan/)

Instagramの公式ページでは、ユーザーの利用傾向として、「利用者は一度に長い時間ログインするのではなく、短時間で何度もログインする傾向がある」「利用者は、コンテンツの見逃しを防ぐために頻繁にフィードをチェックして、前回のログイン後に新しく投稿されたものだけを一回のログインでチェック」する、と述べられている。

このことから、休憩や移動などの空き時間がだんだんと増えてくる午後以降に、ユーザーの利用率が伸びてきていると考えられる。
また夕方の時間に利用率が上がっていることから、例えば学生ならば、学校が終わって塾やバイトの前や帰宅前後の時間にタイムラインをチェックしていることが伺える。そして就寝前にベッドで一日ためていたタイムラインをチェックする傾向が伺わられる。

Instagramを利用している人は使い方によって次のようにわけられる

①書き込むことが多い人(投稿率高め)
②見るだけの人(見る専用)
③①&②が半分半分くらい

今回は「いいね」をほしがる人の深掘りなので
①書き込む人とが多い人に焦点をあてる。
前提として投稿をするひとは【承認欲求】があることがいえる。

承認欲求・・・「認められたい」と思う気持ちのことである。
承認欲求は承認されたい対象によって、おおむね2つのタイプに大別される。ひとつは他人から認められたいという欲求であり、もうひとつは自分の存在が理想とする自己像と重なるか、あるいはもっと単純に今の自分に満足しているか、という基準で自分自身を判断することである。前者を他者承認と呼び、後者を自己承認と呼ぶ。

タイプとしては以下にわけられる。

★雑談タイプ
→誰かに伝えることですっきりするタイプ。その日あった嬉しいこと、驚いたこと、興味のあること。特に目的があるわけではない。
*心理
・承認欲求というより共感欲求
・今日あったことを誰かに聞いてほしい
・個別でLINEやメールを送るほどのことでもない

★好きな物の良さを他人にしってもらいたいタイプ
→自分が可愛い!綺麗!と思うものの魅力を他の人にもわかって欲しいパターン。
*心理
・やや強い共感欲求
・自分がこんなに可愛いと思うものを他の人にも見せたい
・たくさんの人に見てもらいたい

★仕事頑張ってる系
→自分の仕事上のエピソードや、成果、悩みなどを投稿するタイプ。自分が仕事を頑張っている、熱い思いがあることを表現したいという心理から。
*心理
・承認欲求の表れ
・自分が仕事において優秀である、頼りにされていることを伝えたい
・働くという真剣な一面を、知人や友人にも見て欲しい

★特別な感受性
→自分には独特な感性を持っていることを表現するタイプ。例えば単語レベルで言うと、「明日」を「あした」、「好き」を「すき。」など敢えてひらがなで表現するなど。ノスタルジックな投稿をする。何かを表現するときに他人がかかないような表現を交えてあえてユーザーにインプレッションをもってもらう。
*心理
・承認欲求強め
・自分は普通ではない特別な感情や思考があることを知って欲しい
・自分は洗練された心を持っていることを伝えたい

★病んでる自分にかまってほしい系
仕事、人間関係、恋愛などで、継続的な悩みがあり、そのネガティブな感情を投稿する系。自分の悩みやコンプレックスをあえて表出することで、それを否定してもらいたいという心理。
*心理
心理
・そんなことないよ!と見ている人に否定してもらいたい
・大丈夫?と誰かに心配してもらいたい
・自分は頑張っているということを皆に見てもらいたい

出典:https://lab.appa.pe/2018-05/instagram-timeactive2018.html

時間帯アクティブ率(アプリ所持ユーザーの内、曜日別、時間帯別にアプリを1回以上起動したユーザー割合の月間平均値)の曜日時間ごとのヒートマップである。赤くなればなるほど、アクティブな時間帯、緑色に近づくほど、非アクティブな時間帯となる。
平日は昼の12時の時間帯にヒートマップが赤くなり、夜の18時以降からアカウント所持者の利用率は高い。土日は昼の12時以降からヒートマップが赤く利用率が高いことがわかる。投稿をする人&見る人は夜の時間帯に利用する事が考えられる。主に夜に利用するユーザーが多く、一日の終わり際に友人の投稿をみたり、自分の一日にあったことを投稿にアップすることが考えられる。

出典:https://www.it-comm.co.jp/media/201808161554.html

Facebook社から調査を委託されたKantar社が2017年9月に発表した、Instagramで良く見られるコンテンツランキングと、2015年の集計である。
自己発信のコンテンツとして、ファッション・写真・旅行・料理などがランキング上位である。

▼仮説
①投稿し「いいね」獲得を狙うユーザーは主に承認欲求もあるが、且つ自分自身の存在価値もはかっているのではないだろうか?いいねを獲得し、他人から絶賛の声や承認の声をもらうことで自分の居場所をSNS上で感じている人もいるのではないだろうか?主に20-30代ママ層=育児や家事で家にこもりがち。他人に褒めてもらう機会がないので、自分の自己満のファッション・料理・子供を発信している傾向が多い。

②投稿し「いいね」獲得を狙うユーザーは他人や友人より少しでも優越感を感じたいがために写真にこだわり、周囲から認めてもらうことに良い感性がはたらいてるのではないか?人によっては様々な定義で私生活の充実は設定されるが、その模様を発信することで他人より充実感を感じているのでは?
主に10-20代の女子学生=生活ライフの充実度をSNSで発信し、学生間の話の話題になる。流行物に敏感で主に「インスタ映え」など写真に統一感をだし、自分のSNSのアカウントをみて自己満足を感じる。

投稿し「いいね」を獲得する目的は幅広い関係性を築いていくためではないのか?今や人のサービスにも役に立つアカウントも増えていく中(旅行先・食べ物)で趣味を共有し、「いいね」を利用して広報としてあつかっているのではないか。主に子離れした40-50代の男女層=子離れして自分に時間や余裕ができる。趣味で広がり、様々な人と関係性を気づき。多くの他人に発信し他者の声をもらうことで生活に充実感を得ている。

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▼検証

・承認欲求をマズローの欲求5段階説に基づき、Instagramの投稿内容と照らし合わせて考えて見る。**

以下引用文 出典:https://globis.jp/article/5685

もともと、人がSNSに魅力を感じる理由としては、承認欲求の1つ下の段階、所属と愛の欲求で説明が可能であった。所属と愛の欲求とは、社会から求められている、良い組織・コミュニティに所属している、その中で愛情に包まれていると感じたいというもの。フェイスブックで、同郷、同窓など様々なカテゴリで「友達」が増えたり、自分の近況に「いいね」がついたりするのは、正にこの所属と愛の欲求を満たすものと言える。
フェイスブックに代表されるSNSは、ご存じのとおり、今や全世界で相当程度普及した。つまり、所属と愛の欲求はある程度満たされていると感じる人が増えたわけで、そうなると次の段階として承認欲求がクローズアップされてくる、というのはなるほど自然な成り行き。
では、なぜインスタが承認欲求に応えられるのかというと、写真・動画の共有に特化している点が実は大きいのではないかと思える。写真は、その被写体の選択、構図、光の処理などによって、見る人に与える印象は変わります。つまり、同じ場所に行って同じ風景を撮ったとしても、「いい写真」は分かりやすい。
インスタの流行に少し先行する形で、スマホのカメラ機能が格段に充実してきている。自撮り棒によって多様な角度・構図も可能になりましたし、またインスタは、実生活でつながりがない人でも、投稿した写真を気に入ってくれればフォロワーになっていきますし、「いいね」もつけてくれる。
このように、写真・動画という良し悪しが目に見えて分かりやすいものについて、自分のセンスや腕次第によって好評価を集められるところが、「承認欲求」を求めるユーザーの空気にフィットしたのではないか?
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マズローによれば、承認欲求には2種類あり、1つは他者からの名声、注目を求めるものですが、より高次な承認欲求は自己肯定感や自立性など自分自身の評価の高さによるもの。また、承認欲求の次の段階は、自己実現欲求である。近い将来は、こうした欲求を刺激するようなサービスが覇権を握るのかもしれない。**

★承認欲求タイプ

出典:https://www.salesforce.com/jp/blog/2018/02/desire-for-recognition.html

1,リア充アイドル (承認欲求が強い×承認の数を重視)
承認欲求が最も強く、SNSを最も頻繁に利用するタイプ。10、20代の割合と、TwitterとInstagramの利用率が最も高くなっています。充実した毎日を送っている自分を幅広い人に見てもらい、多くの承認を得たいと考えています。→仮説②
2,ミーハー社交家 (承認欲求が強い×承認の相手を重視)
承認欲求は強いものの、ソーシャルメディア上では分別のある行動をとるタイプ。Facebookの利用率が最も高くなっています。好奇心旺盛かつ多趣味で、幅広い交友関係を持ち、SNS上で積極的に交流しています。
3,議論系オタク (承認欲求は弱い×承認の数を重視)
承認欲求は弱いものの、趣味や好きなことに関する投稿は活発に行うタイプ。男性の比率が最も高く、Twitterをよく利用しています。SNSを通じて、趣味に関する情報収集や、同じ趣味を持つ仲間との交流を楽しんでいます。→仮説③

4,協調的フォロワー (承認欲求は弱い×承認の相手を重視)
承認欲求が最も弱く、ソーシャルメディアの利用は最も消極的なタイプ。40、50、60代の割合が最も高くなっています。家族やママ友などの比較的狭い人間関係の中で、周囲に気を遣いながらSNSを利用しています
→仮説①

*仮説①に関して

よくみられるファッション・料理・子供の投稿内容の一部
①ファッション

②料理(お弁当)


上記のようにママで多いファッションやお弁当の投稿である。他人から褒められたり、絶賛されることで普段の育児生活のストレスや疲れを緩和しているかのように思われる。

日本では、「女性が育児や家事をするのは当たり前」という認識がある。そのためいくら家事育児を頑張ったところでほめられませんし、感謝の言葉もなければ、評価や報酬もありません。(特に夫から)
たしかに昔のように、大家族で育児家事を担うなら、評価についての考え方はまた違ったかもしれない。日常生活の中で家事育児が家族それぞれに分担されていた。
しかし現代は、ほぼママ1人で家事育児の全てを担っている。1人で全てを担うのはここ最近のこと。家事育児が自然なものではなく、ある意味特別なものになったといえる。
それだけ負担はもちろん、家事育児の責任も全て1人で担い、重くなっている。それでいて評価ゼロでは、承認欲求を満たしたいとママが求めるのも不思議でないかのように思える。

まとめ

①投稿し「いいね」獲得を狙うユーザーは主に承認欲求もあるが、且つ自分自身の存在価値もはかっているのではないだろうか?いいねを獲得し、他人から絶賛の声や承認の声をもらうことで自分の居場所をSNS上で感じている人もいるのではないだろうか?主に20-30代ママ層=育児や家事で家にこもりがち。他人に褒めてもらう機会がないので、自分の自己満のファッション・料理・子供を発信している傾向が多い。

→周りから当たり前と思われている大変な家事を評価をしてくれないママにとってSNS上は存在価値を表すものであり、承認欲求を満たしてくれる最大のコミュニティである。

②投稿し「いいね」獲得を狙うユーザーは他人や友人より少しでも優越感を感じたいがために写真にこだわり、周囲から認めてもらうことに良い感性がはたらいてるのではないか?人によっては様々な定義で私生活の充実は設定されるが、その模様を発信することで他人より充実感を感じているのでは?
主に10-20代の女子学生=生活ライフの充実度をSNSで発信し、学生間の話の話題になる。流行物に敏感で主に「インスタ映え」など写真に統一感をだし、自分のSNSのアカウントをみて自己満足を感じる。

→充実した毎日を送っている自分を幅広い人に見てもらい、多くの承認を得たいと考えている。友人などに生活をみてもらうことで承認欲求が働いている。

投稿し「いいね」を獲得する目的は幅広い関係性を築いていくためではないのか?今や人のサービスにも役に立つアカウントも増えていく中(旅行先・食べ物)で趣味を共有し、「いいね」を利用して広報としてあつかっているのではないか。主に子離れした40-50代の男女層=子離れして自分に時間や余裕ができる。趣味で広がり、様々な人と関係性を築き、多くの他人に発信し他者の声をもらうことで生活に充実感を得ている。
→男性の比率が最も高く、Twitterをよく利用している。SNSを通じて、趣味に関する情報収集や、同じ趣味を持つ仲間との交流を楽しむ。
主に女性ではなく男性が多いことが判明した。

以上のことから、幅広い世代にてSNSは承認欲求がはたらくために情報を発信していることがわかった。世代によって、承認欲求の中でもコミュニティの利用の仕方や投稿の傾向に偏りがでてくる。

①10-20世代は自分のライフを発信する
(主に今日あったこと、買ったもの、プリクラ)

②20-40世代はママとしてしたことを発信
(ファッション、お弁当、子供)

③40-60世代は趣味を発信
(食べ物、旅行、)

世代によっては、投稿する内容も変わってくる。
SNSでも機能によって、使い分けている人が多いことも考えられる。今回は投稿率が多めのInstagramで考えてみたが、雑談や呟きが多いTwitterは利用層もかわってくるだろう。


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