サイドボードは誰もわからない

本記事はMTGのサイドボードに関する自分の体験である。まず前提としてこの記事ではどういったサイドボードが正しいかなどのことは記載されていない。なぜなら自分にも何が正解かわからないからだ。しかしMTGを2年ほどプレイしてきて感じたことをエピソードを交えて話していきたいと思う。いわゆる上級者よりもMTGを始めたばかりという人などに読んでもらいたい。



エピソード1:サイドが足りない


自分はMTGをモダンから始めた。地元のお店ではモダンがもっともプレイヤーが多かったからだ。以前デュエルマスターズをやっていた時からエスパーカラー(白黒青)が好きなこともあり、エスパーコントロールを組んだ。始めたての頃自分はサイドに何を採用するか、サイドのインアウトを周りにいる先人たちによく聞いていた。今までサイドボードのあるゲームをやったことがないのもあり何を抜くか、何を入れるかまったくわからなかったからだ。

「この相手にはこれを入れたがいい。」「こういうデッキがあるからこれをサイドに採用した方がいい。」

おそらくMTGを始めたころに誰もが聞いたことがあるだろう。そしてほとんどの人がその通りに従ってきただろう。自分もその一人だ。なぜなら周りにいる人たちは自分よりも長くこのゲームをプレイしており、当然自分よりもこのゲームに詳しいと思ったからだ。その考えは正解ではあるが同時に間違えでもあった。ここで一つのエピソードを記載する。

自分は当時、サイドボードに「石のような静寂」を3枚と解呪を1枚採用していた。

今ではこのようなカードの採用は絶対に行わない。アーティファクトに親でも殺されたのかというくらいガンメタを貼っている。当時は「オパールのモックス」もまだ禁止されていなかったが関係がないくらい意味が分からないサイドボードになっている。こんなことをしていたらサイドの枠がどれだけあっても足りない。問題はなぜこんなことになったかということだ。

「アーティファクトはメタり得。」

当時自分はこのようなことを言われた。そして自分はなぜそうなのかも聞かずにその発言を鵜呑みにしてこのようなサイドの採用をした。そして当然アーティファクトを軸にしているデッキには勝てたがそれ以外のデッキにはサイド後2本負けるなどのケースが多発した。そして中でも衝撃であったことは「霊気の薬瓶」を使う部族デッキとの試合であった。

「石のような静寂」を貼ればこのカードの起動自体は止めることができる。しかし問題の相手のクリーチャーに対しては全くの無力である。しかも相手がクリーチャーを展開しきった後に引いても何の役にも立たない。事実実戦では後半にトップして全くの無駄牌になりゲームに敗北した。考えれば当たり前のことだが当時の自分にはこのことがかなりの違和感だった。刺さるカードがあるからこそサイドインしたにも関わらずそのカードのせいで負ける。ここでようやく自分は間違えを犯していたことに気づいた。アーティファクトメタはこんなにも積まなくてよかったし積むにしてもカードをもっと散らすべきであった。そうすればもっと多くの相手に対応できた。劇的でなくても「時を解す者、テフェリー」でもアーティファクトには触れるし、「仕組まれた爆薬」であったらクリーチャーにも触れた。


モダンでは度々「サイドが足りない」という話がある。これも始めたての頃、自分も言われた。そして当時自分もそう思った。しかし今ではそれを正しいと断ずることはできない。サイドを削っているのは環境ではなく自分かもしれないと疑うのべきだと今なら思う。



エピソード2:週替わりインアウト


自分が周りの人間を疑うきっかけになったエピソードを2つ紹介する。”疑う”という表現はいささか過激だが当時の自分にとってはこの表現が適切であった。

とあるプレイヤーとフリーした後、相手の人にインアウトが正しいか聞いていた時があった。そうすると相手の方が「自分はこのカードは入れなくていいと思います。」といった発言をした。そうすると隣で僕らのやり取りを聞いていた別のプレイヤーが「僕はそれ入れると思いますよ。」と割り込んできた。自分はどちらが優れたプレイヤーであるかわからない。ただ当時の自分は周りの人たちは自分よりもMTGに詳しいと思っていたので二人の間で意見が割れると何が正しいかわからなくなった。人によってインアウトは当然違う。そしてどちらが正しいのか判断するのは自分しかいない。


そして別の日、とあるプレイヤーとフリーしていた際、上記のように相手の方にインアウト何が正解だったのか聞いていた。そして「このAというカードはこちらのBというカードに刺さるので入れた方がいい。」と言われた。確かにな、と自分は思いその場は納得した。そして次の週に同じプレイヤーの方と同じデッキで対戦した。そして衝撃的なことを言われた。

「このAというカードはBにしか刺さらないから入れない方がいい。」

僕「??????????????」

先週と真逆のことを言われた。そしてさらに駄目だったこととして「先週は逆のことを言った」と聞かなかったのだ。そうしたら相手の人の考えが変わったなど聞けたかもしれない。その時の自分はただひたすらに頭に?マークだった。

このことが決定打で自分はサイドボードについて全く分からなくなった。



エピソード3:とある記事との出会い


今まで記載してきたエピソードのようなことがあり自分はサイドを自分で考えようとした。しかし知識も経験もないため何もわからなかった。どうしようかと悩んでいた時に先輩プレイヤーからとある記事を教えてもらった。それが自分のMTG人生における大きなブレイクスルーとなった。

原根プロのこの記事である。おそらく多くのMTGプレイヤーが目にしたことがあるだろう。サイドボードに関する考えが載っており当時の自分にとって大きな指標となった。もしまだ購入していない方がいるなら強くオススメする。内容を知った今なら自分は500円と言わず1万円は払える。事実すでに20回以上は繰り返し読んでいる。

そして中でも記事内で紹介されている公式のヤソプロの記事に「そもそもサイドボードが完璧にわかる、正しくできるという人は0.1%もいないと思う。」という発言がある。

自分はこの発言で合点がいった気がした。自分にサイドボードについて教えてきた人たちも等しく自分と同じようにサイドボードを理解していないのだと。もちろん今でも他の人とサイドボードについて議論することはある。しかし自分のサイドも含め鵜呑みにしないように疑ってかかっている。そして何を採用し、何をインアウトするか最終的に判断するのは自分である。




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