2020's Shadow
おはようございます。515hikaru です。3 連休ですがいかがお過ごしでしょうか。
エンジニア採用 激化
Google が内定者に対して、競合企業のほうが条件が良い場合はオファーレターを提示して示してもらうなど施策をとっているとのことです。Google としては単に条件交渉として使うだけでなく、他社がどんな人をどのような条件で採用しようとしているのかを把握し、Google の採用競争力をより高められると The Information が報じています(The Infomation の記事全文は有料です)。
日本でもエンジニア採用は難しいと言われ続けはや何年といった感じですが、本場米国でも過熱しているようです。具体的には給与はあがり続けており、またパンデミックの影響で求職者の価値観が変わったという影響が大きいようです。例えばオフィスよりも家庭環境や家族との過ごし方を重視するように変わった、などなど。
こうした変化は驚くようなことでもなく、アメリカだけの現象ではない、というか日本でも起きていると思います。
ミクロに、あるいはマクロにもソフトウェアエンジニアという職業の給料が上がることや人気が高まることは、基本的には良いことだと思っています。ミクロには間接的に自分の給料も上がりやすくなるという自分本位な話もありますし、マクロにはソフトウェアエンジニアという仕事の人気が高まることでより秀でた才能がこの業界に来る可能性が高まるわけで業界としては良いことづくしでしょう。
この競争が続いていることもそれなりの理由があって、直近ではパンデミックで世界中が Stay Home を強いられた影響も当然あります。家にいながらしてコンテンツを消費するためにはたいていインターネットを介すわけで、テック企業が成長するのは当然のなりゆきです。
日本的に言えばデジタルへの変革(DX)が待ったなしの急務ですし、BtoB の SaaS 業界なんかも盛り上がっています(ポジショントークです)。
とはいえ、採用に関わる人間としてはこの激しい競争はいつまで続くんだ、という気持ちになることがあります。やれやれ。
SaaS 業界という労働集約型産業
ところで、一般論として BtoB の SaaS というのは究極的にはあらゆる会社の業務を肩代わりするためのプロダクトだし、そうあるべきだと思っています。
しかし、BtoB の SaaS プロバイダーの業務って実は労働集約型でもあって、誰かの業務を肩代わりするための業務を結局人が担っています(ここでいう「人」はセールス、カスタマーサクセス・サポートやプロダクト開発をするエンジニアなど多岐にわたる)。業務をプロダクトが肩代わりしているように見えて、結局プロバイダーが肩代わりしている、つまり単価の安い外注でしかないんじゃないかと感じることがままあります。
セールスのプロセスにもプロダクト開発にも結局人手がたくさん必要です。公開されている採用目標とかを見ると組織を 1.5 倍にするとか 2 倍にするとか、そういう数字が躍っています。
しかし、本来であれば人が少なくてもプロダクト開発が順調である方が良いに決まっているので、それができないということは物理的に業務を肩代わりするにはそれなりの人間の数が必要だということなんでしょう。そういう肌感覚もあります。
だけどなんだか腑に落ちません。テクノロジーで業務にかかる負担を減らそうとしているのに、プロバイダーがそれを人の数を増やして引き受けてしまっては、どこか本末転倒な気がします。
僕が夢を見すぎで、もしかしたら単価の安い外注を実現したことこそが、SaaS がもたらした革命なのかもしれません。
iPhone 13 に 2020 年の影を見る
iPhone 13 が発表されました。正直なところ、順当にアップデートしたなって感じで驚きも何もありませんでした。
しかし擁護するわけでは全くありませんが、考えてみれば去年は 2020 年でした。門外漢なのでまったく検討がつきませんが、ハードウェアの設計・開発には時間がかかることくらいは知っています。おそらくはこの発表のための端末を企画・設計していたのはどんなに直近でも半年以上は前でしょうし、おそらく 2020 年に企画されたものだったのではないでしょうか。
説明するまでもなく、2020 年というのは大変な年でした。そんな年に革新的なアップデートを企画する余裕はさすがの Apple にもなかったのかな、と。
先のエンジニア採用のニュースでもそうですが、世界中のニュースに 2020 年の影が見えます。僕も含め多くの人の生活に、価値観に影響を与えた 2020 年という 1 年の存在の大きさを改めて感じました。
僕は大学を出ている
僕は大学を出ているんだなと改めて自覚することが何度かありました。
僕が最初に入った会社は高学歴の集団でした。特に出身大学は本当に偏っていて、東大、京大、東工大、筑波、早稲田、慶應などなど、地方であってもその地方の名門校や業界では有名な研究室がある大学院の出身など、とにかく名前を知らない大学出身の人にほとんど会わないという環境でした。
今の会社はそこまでではないのですが、そこまでではないことに驚いたのを覚えています。
大学を卒業している、それだけで実は日本人の半分以下に入るんじゃないかと思います(ちゃんと計算してないけど)。逆に言うと半分以上は大学を卒業していません。ですが、自分の周りには大学を卒業した人と卒業していない人の比率は半々でさえありません。圧倒的に大学を卒業した人のほうが多いし、普通に過ごしていても大学を卒業した人にしか会いません。
これが日本の分断なのかなとよく思います。
このニュースレターには普通に英語の記事が出てくるし、僕自身も面倒で英単語をそのまま書いているときがあります。なぜそうするかというと僕が普段コミュニケーションを取るような人はそれで通じるし何も問題ないから、これを読んでいるみなさんはそれでも伝わるだろうと思っているからです。
でもそれが通じるのは、僕が大学を卒業しているし、僕が狭い世界に生きているから。僕が狭い世界にしか発信していないからです。
あまり言うと上から目線な表現になりそうで、それもまた僕の望むところではないのですが、改めて広く人に伝えることの難しさを実感しています。
あとがき
今週は仕事で本質的な気づきがあって、今まで曖昧だった開発プロセスを一歩現実的なものに引き上げることができました。なので久しぶりに満足して週末を迎えています。
まだまだ先は長いですが、気を抜かずかといって気を張りすぎず仕事をしていこうと思います。
Original: 2020's Shadow https://www.getrevue.co/profile/515hikaru/issues/2020-s-shadow-761096