「こじらせた男」解説

この作品は、キャプロア出版刊週刊キャプロア出版第7号「村上春樹編」に掲載された作品です。

ぼく自身の偏った趣味のせいか、今まで村上春樹は避けて通ってきました。日本で一番有名な作家、ノーベル賞に一番近い作家と、言われるようになってからも、いや言われるようになって余計にかもしれませんが、読みたくありませんでした。

ですので、週刊キャプロア出版のテーマが村上春樹になったと聞いて、今回は不参加かなぁとぼんやり思っていました。
ちなみに、キャプロア出版に参加している方たちの中でも、意外と読んだことのない方も多かったようで、村上春樹を読んだことのない人が村上春樹を語るコーナーも設けられることになりました。

そんなやりとりをはたで見ているうちに、ぼくの頭の中に、この作品、「こじらせた男」のアイデアが出てきました。ぼくは実際には読んだことがないのですが、雑誌掲載時は、村上春樹好きのコーナーに掲載されました。

この作品、読んで既にお分りの方もいらっしゃると思いますが、特に対象が村上春樹でなくても成立する作品で、名前の部分をほかに入れ替えても問題なく、そういう意味ではずるい作品です。

好きなものを独占したいという気持ちは、ぼくを含めて、きっとほとんどの人の中にあるような気がします。
反対に、自分の好きなものをみんなに好きになって欲しいという、相反する気持ちも、ぼくの中にはあります。
不合理な気がしますが、案外、それが人の本質なのかもしれません。

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