「閉じた輪」解説

理由ははっきりとはわからないのですが、生まれ変わり、いわゆる輪廻転生と言う考え方が苦手です。
どうも永遠に続くと言うのがダメなようで、生まれ変わって未来永劫自分の生が続くと思うと頭がクラクラしてしまいます。
カミさんにも話したことがあるのですが、カミさんには、
「生まれ変わったとしても、自分はそれに気付かないんだし、いいんじゃないの?」
と、簡単にかわされてしまいました。
この作品は、それをさらに進めて、主人公は自分が繰り返していることを知覚しています。
その状態で、閉ざされた輪のなかを永遠に繰り返すというのは、かなりの恐怖なのではないでしょうか。

旧くからのSFの考え方のひとつに、エネルギー保存の法則があるようです。
なにか大きなできごとが起きるには、そのできごとに比例するエネルギーが必要であると言う考えかたです。
作品の中では詳述していませんが、今作でもそれに則り、ミサイルの爆発エネルギーがタイムスリップを引き起こしてしまいます。

それにしてもこの円環の中で、人は生きていると言えるのでしょうか。
願わくばぼくも、今のこの人生を生き切りたいと思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?