「想い残り」解説

呪術的な音楽で相手に催眠にかける、というアイデアはかなり前からもっていたのですが、ぼくが書くとどうしても悲劇的な結果、要するに恨みを晴らす的な、どちらかというと暗い筋立てになってしまいます。
ぼくが書く作品は、そんな傾向の作品が多いことを自覚しているので、なんとかもうすこし方向性の違うものがたりを書きたくなりました。
まあアンハッピーエンドですので、結果的には同じようなものなのかもしれませんが。

まじない、呪術、魔術や陰陽道など、目に見えない力や、プリミティブな音楽などは個人的にすごく好きな分野ですので、またこういう分野ではなにか書きたいと思います。

さてこの作品、もともと、主人公の性別は男にするつもりだったのですが、最後のキスのくだりなんか、男がやるとセクハラだよな、と考えた末に主人公の性別を変更しました。
自分が男だからかもしれませんが、異性という意味では同じなはずなのに、こんな風に思うのはなぜなんでしょう。
差別じゃなく区別だよ、ということは簡単ですが、もしかするとぼくのなかで、女性=弱者というのが、自分でも気が付かないうちに刷り込まれている可能性は否定できないのかなと思います。
顕在意識ではそんなつもりはないのですが、潜在意識のなかでは、知らず知らずにそんな偏見を持っている自分がいるのかもしれません。気をつけなければ。

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