のんびり投資報告 

 のんびり投資報告 ・・リラックス版➁・・
<日本人投資家は逆張り好き?>
〇投資スタイルと主体別投資家分類:投資スタイルを市場分析に役立てる入り口は東京証券取引所が毎週公開しております主体別投資家動向です。投資家を外国人投資家、信託銀行、事業法人、投資信託、個人現物,信用等にわけ週別に買い越し、売り越し額を表示するものです。時折、新聞で外国人が売り越し、買い越しといった記事が見られますが、そのインフォメーションソースです。ちなみにわたくしをはじめ読者の多くの投資家は個人・現物に分類されております。私にとってその主体的投資家分類は非常に有益な投資情報です。かって、現在とは異なる分類に属するところで日本株を運用していたからです。かつそれ以外の分類における投資家の行動パターンもそれなりに理解している部分があります。東京市場の大きな流れ、注目業界の変遷、短期的な株価形成の背景等々、彼らの投資行動と関連させて読み取ることに多少のアドバンテージがあると思っております。読み取りプロセスに多くの銘柄選択にかかわる情報が潜んでいるからです。一般的に株価を見るにはファンダメンタルアプローチ(個々の企業の財務諸表を中心としたいわゆる基礎的条件を精査するアプローチ)とテクニカルアプローチ(チャートによる過去の株価分析から将来予測をするもの)がありますが、私の場合、それに加えてこの種のアプローチが出来ることが何よりの自分への励ましとなります。
〇投資スタイルと市場の動き・・・順張りと逆張り
株価が上昇基調にあるとき、その上昇の流れに乗って株価を買い進むことを”順張り”と言い、逆に上昇基調から調整局面にはいったとき、押してくる株価をなるべく安く買うような買い方を“逆張り”といいます。上昇局面の期間、調整局面(下降局面)の期間のとり方は、人さまざまで定説はありません。私の場合、肌感覚で数週間から数か月と認識しております。主体的投資家動向とその逆張りを絡めて理解することは市場観測に大いに役立ちます。主体的投資家分類に事業法人が区分されておりますが近年その投資行動に特色があります。現在、上場企業が公募(時価発行による増資)を行う際の資金需要の多くは、自己株式の購入の為です。これは将来起こり得るM&Aのための資金作り、つまり自己株式購入のための資金です。近年M&Aにおける際の株価等価交換が積極的に利用されております。つまり相手先の株式と自社の株式を等価交換することによって経営の支配権を得るものです。近年、行われた大きなニュースになったのは武田薬品です。英国の大手製薬会社を買収しましたが、その資金を銀行借り入れ、そして一部を資金負担なしの株価の等価交換によって賄いました。そのための資金需要が自社株買いの為という構図が出来上がっております。2023年の事業法人の一貫した買い越しはその影響大です。当然購入価格を少しでも安く、そしてその後の等価交換を意識すれば、その後のより高い株価が理想です。交換する株数が少なくなるからです。こうして、安く買うことの必然性が事業会社の買い行動にあります。さらにそれは何らかの理由により株価が急落した際の株価底支え的な役割も演じます。”逆張り“行動はこうして行われる背景があるのです。これは個人投資家にとっても安心材料です。日本人投資家は逆張り好きというより、その株価のメカニズムを体得しているのかもしれません。