「生か死か」ではなく「彼女か死か」
ここまで自分を追い込めば好きな相手と付き合えるのか、とも思うのだけど、僕の経験談を書いてみる。
今の彼女に恋い焦がれていた頃、もう駄目だ死んだ方が楽かもしれない、と思っていた時期があった。死ぬほど彼女を愛していたといえば格好良いのだが、実は僕は会社経営をしていて、かなり経営がまずいことになっていた。
とにかくお金がない、借金が増えていく。生きていて稼ぐより死んで死亡保険金に変えた方がお金を作れるかもしれない、生きているより死んだ方が価値があるというのはあまり考えたくないことだが、それが現実味を帯びてきた。
そんなネガティブなことを考える程追い込まれていても必ずお腹は空く(笑)、昼食に近所のスーパーマーケットで安いお弁当を買いに行った。頭が朦朧としていて財布の中にある僅かなお金よりも昼食代の方が多くなってしまった。当然レジで足止めを食う、「ちょっと足りないので取って来ますわ」ミスを装って近くのATMへ、たまたま預金残が数百円あったから最終的に支払いができて良かったものの、こんな恥ずかしいことはない。お金がないと本当に辛い、もう全てが滅茶苦茶だった。
こんな姿を好きなあの子にだけは絶対見せたくないなと思っていたところ、その日は会わなかったのだが、次の日の昼に同じスーパーマーケットで彼女とバッタリ出くわした。好きな女の子と会えてこんな嬉しいことはない、でも一日前の自分の姿は絶対見せたくなかった。いやだいやだこんな生活、いつものように帰ってから紙に書くのは「〇〇(彼女の名前)、今日は会えて嬉しかった。君は本当に美しいね。××(自分の名前)」いつもはこれで終わりだが、更にこう続けた「○○(彼女の名前)か死か」、そう「生か死か」ではない、「彼女か死か」
「彼女か死か」、当時の状況では死の方が現実的だった。それでも生きて彼女と付き合うんだというのが断崖絶壁のところまで追い詰められた自分に最後の力を与えてくれたのだろうか。その後何とか持ち直し、結果的には好きなあの子が僕の彼女になってくれた。
今回の話は僕の経験談で一般化がしにくい。これを読んで何かを感じていただければ幸いです。
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