仇討ち

一軍に復讐したい。それに近いものが私の中にもあることに最近気づいた。

というより、自分より器用に生きている人間全員をぎゃふんと言わせたいのだ。
みんなはどうして、何も疑うことなく努力する方向を選べるのだろう。どうしてそんな簡単に「面倒くさい」を超えられるのだろう。迷いもなく。一心不乱に。

いや、これは私が悪いのだ。もちろんみんな紆余曲折を経て今を生きているのは知っているし、自分だけが悩む質だとか、そんなことを本気で信じているわけじゃあない。でも、明らかに私が立ち止まっている段階で立ち止まらない人間にはついつい本気で嫉妬に似た感情を抱いてしまう。

今日、とあるバイトに採用された。
うれしかった。うれしかったが、「これは俺が普段知らず知らずのうちに嫉妬している奴らが抱く感情と同じじゃないか?」と思うと素直に喜べなかった。
お前はこんなところで喜んでいる場合なのか?と。

こんなことが、あっていいはずがないのである。私は彼らと違う、いや違わなければならないのだから、こんなことで喜んでいいわけがないのである。こんなところで満足していたら、ぎゃふんと言わせることすら出来なくなってしまう。いつか、私に劣等感を抱かせてきた人間たち全員の目玉をまあるくするようなことが出来なくなってしまう。

そして改めて思う。生きるのってめっちゃくちゃダルい。なんでこんな感情を抱かなきゃならんのだ。簡単な話だ。そりゃあ、

みんなが自分より器用に生きているからじゃないか!

だからこそ、もっと不器用なやり方で私は彼ら彼女らを超えなければならない。もっともこれは今の自分を満足させるためだけではない。

今までの19年を全部肯定してあげるための、迷惑をかけてきた各々方の恩を返すための、盛大な仇討ちなのだから。

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