シン・ニホンアンバサダー養成講座を通じて
私
私は、酒を飲むのが好きだ。いやCOVID19が流行るまでは少なくとも、好きだった。酒が飲めなくなると多分どこか体調が悪いのだろう、という健康のバロメータになっているほど、生活の中に溶け込んでいた。ところが最近、めっきり酒を飲まなくなってしまった。5期のシン・ニホン アンバサダー育成講座の期間、ほぼ飲まなかった。
最近、酒より楽しいことを見つけてしまったのかもしれないと思っている。ウォーキングの頻度も上がった(この酷暑では流石に少し減らしてるが)。NewsPicks、Rebuild.fmやVOOXを聞きながら歩くのだ。これが物凄く爽快なのだ、大体、朝か夜。WeeklyOchiaiをはじめとする過去のコンテンツを聴きながら5kmほど歩く。身体が酒よりこれらの声を欲していた。正直驚いた。こんな変化が自分に起こるとは想像していなかった。酒を一生の友として生きていくのだろうと思っていた自分としては、まだまだ、自分のこともよく分かっていないんだなと思った。シン・ニホン アンバサダー育成講座受講までは、これを2021年一番の発見としていた。
こんな状態で、講座が始まった。正直たまらなく気持ちが高揚していた。シン・ニホンについて話をしたかった。この本を読んでいる人かつ自分が所属する組織外の人。どんな風にニホン、そしてシン・ニホンを捉えているのか?まずは知りたかった。本当に様々なバックグラウンドを持った人がいて、最初から自分で勝手に上げていた期待値をさらに超えてきた。同じ業界で理解を共にできる人、全く違う業界でも課題感が近しい人、私と似たような悩みを持った人、何かを見つけて既に走り始めている人、まったく私が想像もしない未来を見続けている人。でも、どこか初対面とも思えない不思議な感覚。みんなたぶん共通して感じていたであろう、心理的安全性が保たれたこの空間が心地よかった。2ヶ月間もあれば、普段生活しているだけでも、いろいろなことが起こる。仕事の仲間が身体を壊して戦線離脱したり、ワクチン接種の副反応で辛かったり、子どもの将来について真剣に一緒に考える時間をもったり。こんな状態でも、講座に戻ってくることで、なにか癒やしを得られるというか、充電される感覚があった。多少の中毒性があの場所にはあった。
仕事
私は、IT企業で働いている。IT企業と言っても、ITゼネコンと言われる受託開発をメインとした企業だ。ITバブルとかIT革命とかそんなどこか懐かしい言葉の中、これまでひたすら働き続けた。正直、周りは見えていなかった。トレードオフにあるQCDを、如何にバランスさせ着地させるのか、それが仕事だった。機械を情報でつなげていくITを普及させる時代では、まだそれでも良かった。ただ今は違う、DXといわれる、人と情報とモノをつなげていく時代では、それだけでは機能しない。UXを高めるためにアジャイルにユーザやマーケットからのフィードバックを得ながらユーザとエンジニアの関係を溶かした状態で一緒により良いサービスを作り上げていく。そんな考え方は正直受託開発をメインで仕事としているときは、1mmも持てていなかった。決められた要件を正確に実装して品質を担保した状態で納品することが重要視された。
今から17年ほど前の話ではあるが、入社当時は、技術的にも尖った人が多数おり、先輩社員からは会社のことを動物園と紹介され、まさにそんな感覚で楽しみながら仕事をしていたが。会社の規模も徐々に大きくなるに連れ、組織も『ティール組織』にかかれていたRED(オオカミの群れ:生き残る力による支配)からAMBER(軍隊:長期的展望、上意下達、厳格な階級に基づくヒエラルキー)に移行していった。受託開発はある意味、このAMBERな組織が合っていた。軍隊的に管理された組織でシステム開発の状況(コードステップ数、テスト密度やバグ数、開発規模や人月数、成果物出来高等)を数値化して管理する。それを元に管理される企業の売上・利益目標、損益計算書(PL)上の指標を目先で最大化することを目的視する状態になっていた。組織は完全にPL脳(「ファイナンス思考」朝倉祐介著より)になっていた。
https://nol-blog.com/what_is_teal_organization/ より
それとほぼ時を同じくして、経産省のDXレポートが2019年に出たときの衝撃。そのころから何かが違うと感じ始めていた私の思いを国が代弁してくれた感覚があった。組織の中でもモヤモヤした課題感が支配していた。2025年の崖(老朽化されたシステムをメンテナンスできるIT人材がリタイアして急激なITが人材不足となり、DX推進にIT人材を投入できず最大12兆円/年の経済損失を生じるとされている)克服には、老朽化されたシステムの一新をIT人材がまだいるうちに実施し、並行して自分たちが今まで武器としてきた能力をベースにしつつも、DXを実現するために必要なスキルへのアップデートが必要になる。前者は今までの延長線上の対応である程度なんとかなる部分がある。一方で、後者は、従来型のやり方からゲームチェンジが起こっていることを理解し、このままではまずいという危機感をいかに醸成していくかが肝になる。私は、社内教育推進という立場を利用しながら社外の有識者を講師に招いて、我々が顧客から間接的に聞いていた業界の課題を顧客と同じレベルで直接聞ける機会を設けたり、アジャイルやAIの資格取得者を増やすことで半ば強制的にキャズムを超えられることを信じて取り組んでいる。既に2年ぐらい継続的に活動を続けているが、正直この活動が正解なのかはまだ分からない。
シン・ニホン
シン・ニホンは私にとって、なにかをする上での主成分に位置付いている。酒であればアルコール。焼き肉であれば肉。車で言えばエンジンだ。何かを議論するときに、これに対する理解が無いと、どこかずれてしまう。分解してしまう。動かなかったりする。シン・ニホン アンバサダー育成講座受講では、この主成分に対する理解を深めるための議論をすると思って臨むわけだから、それは熱も入れば、真剣にもなるし、時間も忘れてしまうこともあった。そんな中、大事になってくるのがファシリテーションだった。場・時間・議論のファシリテーションについて毎回考えさせられた。読書会を開催するということは、限られた時間の中で出席者を議論に巻き込み、その場でそれぞれのアップデートを促していく。理解⇔気づき→きっかけ→行動。どの状態に遷移するのかはその人次第。「みんながファシリ」という言葉の捉え方についても気づきを得られた。「みんながファシリ」とは、みんなで議論を続けていくこと。つまり、みんなが議論を自分言葉で理解して、気づきを得たり、自分の言葉で他の人と話ししたりして議論が継続されていくことを指している。なるほど。
シン・ニホンには、1章から5章まで様々な社会課題の主成分が記載されている。私も主に企業に属しながら何かしらの社会課題解決のために仕事という行動を通して活動しているはずだが、ちょっと気を抜くとWhy?How?What?のうちWhy?How?がすぐに抜け落ちがちだ。今回講座を通じて、改めてシン・ニホンに対する理解が深まり、振り返りができた感覚にもなれた。
私は4章に思い入れがある。すでにある2つの巨大アセットの話だ。1つが技術者・エンジニア層、もう1つがミドル・マネジメント層という話だ。これらをどのように活用していくのか?個人的にはこれを活用できていないことは、日本の社会課題と捉えている。IPAのIT人材白書にも記載されていたが、IT企業とユーザ企業の人材の割合は、米国と比べてちょうど逆になっており、7:3の割合となっている。つまり、日本ではIT企業に7割のIT人材がいる一方で、米国ではユーザ企業のIT部門に7割の人材が存在する状況だ。2章で述べられていたGDP成長率の日米比較もこのことと全く関係が無いわけではないと思う。この日本のIT構造というか全産業とのIT構造を再認識したうえで、巨大アセットとしての自覚を持って、自らのスキルをアップデートしていく必要がある。改めて、自分がやっていることは、間違っていないしやるべきことだと再認識した。なかなか一気に変わらないし、変えると歪が生まれる。思い通りにいかないことのほうがむしろ多いが、シン・ニホン アンバサダー育成講座受講を通じてエネルギーを貰いながら、また一歩やってみようと思えるようになってきた。
IPA「ITと人材白書2017」より
これから
自分がいま仕事でやっていることは楽しいこともあるが、ちょっと辛いこともある。そういう人が多いんだろうと想像する。思い出すと講座の中でも楽しいことをやらないと続かないという話をした。そうだと思う、楽しいことをやりたい。でも、目の前に大きな課題があって、逆風に思える状況も重なり、一つ一つがすごく重たい。そこに立ち向かっていく。全然変わらない現実を目の当たりにした絶望感もたまにはある。けど、すぐに変わらないものを変えるところに大きな価値はきっとあるはずだ。そしてそれが変われば、楽しいことがたくさんできるはず。
私は、このシンニホンアンバサダー育成講座を通じて、大切な出会いをいただいたと思っている。今までは、無言のシン・ニホンにたまに尋ねることもあった。これからは、語りかけてくれて、ディスカッションができる生きたシン・ニホンを手元に持った感覚だ。一緒に考え、議論し進んでいける、大切な仲間が出来たと思っている。最高だ、さぁ、何から議論しようか。何を行動しようか。
最後に
最後まで、読んでいただきありがとうございました。感想文なんて書いたの久しぶりすぎて、なんだか新鮮でした。シンニホンアンバサダー育成講座を企画・運営いただいたみなさま、本当にありがとうございました。みなさまのおかげで、いまの私の想いがあります。また、同じ呉組で講義を一緒に受講したみなさま、ありがとうございました。最高の時間でした、これからも、もっと最高の時間を共にさせていただければ幸いです。2021は、いろいろな意味で忘れられない年となると思いますが、この講座が一番になると思います。
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