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【世界】それは”超巨大樹”であり、人は”葉”で、生誕は”実”だった。

 木は始めから大きいわけではなく、何年も何年も、根を張り続け、大地から栄養を吸い上げ、芽吹き、葉が生い茂り、紅葉して散るというサイクルを、ただただ繰り返しながら年輪を重ね続け、太く、大きく育っていく。

 世界が超巨大樹だとして、その頂上にはどれくらいの価値があるのだろうか。高みから見下ろすことに価値があるのか、どの枝葉よりも高い位置に存在することに価値があるのか、そういう見方とは別に、先に自分以外の枝葉に栄養を行き渡らせてやる器の大きさに価値があるのか、見下ろすのではなく見守る立ち位置にあることに価値があるのか、という見方もできる。

 風になびく無数の葉。紅葉を迎え多くの枯れ葉が散っていく中で、自分が最後まで散らずに残り続けることに価値があるのか。早く枯れて散ったとしても葉生(=人生)に満足することができたのであれば価値があったということなのか。

 葉の役割は、太陽の光を浴び、光合成をすることで二酸化炭素を吸収し酸素を生み出すこと。葉は純粋に、多くの生命体が必要とする酸素をただ黙って生み出し続けてくれる。そして、葉同士が争い合うことはなく、ただただ風になびいて枯れて散っていく。葉には悪意も憎悪も無い。

 ここで、葉を人に置き換えてみる。どんな人もこの世に生まれた以上、最期には必ず死を迎える。生まれて死ぬまでの間に、どれほど人様のお役に立つことができて、どれほど自然のために行動できるのか、超巨大樹が世界であるのならば、その世界に生きる人々は皆、人や自然のために生きることが摂理であると言えなくもない。

 でも、いつまで人は人の命を脅かし続けるのだろうか。いつまで人が人の財を搾取し続けるのだろうか。現代社会においては精神を蝕む輩が蔓延し、実害となる暴力ではなく、非実害だと言い逃れできる陰湿な精神攻撃へ移行してきた。

 そんな彼らに、どれだけの生産性があるのかずっと疑問なんだ。SNSは字の如く、人と人を繋ぐサービスであるにもかかわらず、何かが起こると渦中の人物を袋叩きにするための道具として悪用されてしまっている。

 現代社会がネットの進化により便利になったかと言えば確かに便利にはなったけれども、そこには少なくない被害や犠牲が世界中のあちこちで生まれている。

 こういう世界で、無数の犠牲の上に作られた1%の富裕層ゾーンで今を生きている人たちは、一体どういう心境で毎日を過ごしているのだろう。

 超巨大樹は資本主義構造なのかな。それとも完全平等主義構造なのかな。枝葉はみんな役割が同じ。実の生る木であれば、種付きの実が熟して大地に落下して新たに芽吹き、樹木となって成長を続けるわけだけれども、ただひたすらに、長い年月を経て大きくなっていくに連れ、酸素の生産性も二酸化炭素の吸収率も上がっていく。

 間引きのための伐採や、立派な実を育てるための枝打ちなど、林業にも家庭菜園や畑の野菜作りと共通の科学的な根拠がある。

 人間社会においても経済が悪化した時には間引きが起きている。リストラという間引きが。

 こんなふうに考えるとさ、家系図も、会社組織構造も、国家構造も、そして世界も、全部、それぞれに幹があって無数の枝葉があるんだなと分かる。

 枯れた葉に虫は寄ってこないように、枯れた土地に人は集まらない。強いて言えば、植林家か研究者くらいだろう。

 日本列島ってさ、4分の3は山って言われていて、人が住む平地の面積はそれに比べると狭い面積だということがGoogleマップを見ていてわかる。

 私有欲や私益を貪むさぼるだけの生き方というのは、一度でもその旨味を知ってしまうともうそこから逃れられなくなる。

 モノ、土地、カネ、権利など、先んじてこの世に生まれた者たちが欲しいままにむさぼり尽くした結果が今の社会だ。ご先祖様を愚弄するつもりはないけれども、蓄えることができたのは時代の流れと社会構造の不足が要因として大半を占めていたんじゃないかね。

 別に凄いわけではないわけよ、いくら大金を持っていても、いくら高級なモノを持っていても、その人の中身とはほぼ関係がない。ハッキリ言ってしまうと、そうやって1%の人間たちが富豪であることが多くの貧民の存在を証明しているわけで、傍から見てみるとさ、金持ちであるというだけでは誰のためにもなってないんじゃないかね。

 超巨大樹とは言え、幹が腐ればおしまい。根が腐ればおしまい。根性っていう言葉あるじゃん。人間もさ、性根が腐ればおしまいなんじゃないかね。夏の青々と生い茂っている葉っぱを付けた木々でも、早々に枯れて散っていく葉もある。

 腐ったらおしまい。栄枯盛衰とはよく言ったもの。枯れ始めているのに縋(すが)るのは違う。腐ったらおしまい、腐ったらおしまい。

 世界はこれからもこの超巨大樹を支え切れるのか、今後の変化が見物である。

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