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CHIAKIZZ CLUB (藤田 千秋)に寄せて

現在、原宿Kit Galleryにて9/16(日)まで絶賛個展を開催中の絵描きでありデザイナー、CHIAKIZZ CLUB。ここでは彼の手がけるアートワークについてや彼自身のバンドマンとしてではない作家としての一面について、この機会に記録を残そうと思う。思いのほかテキストが盛りだくさんになってしまったこともあり、まず第1回目の更新は彼が手がけた作品をリリースしているバンドのみんなに藤田千秋という人物に対して思うこと、そして作品に対しての気持ちを寄せてもらった。

あなたの好きなバンドの誰かがもしコメントを寄せていたらそのメッセージから千秋という人がどんな作品を手がけているか、実際に個展に足を運んで作品をその目で見て、直接本人に話しかけてみてほしい。千秋の話や着眼点、それを形にする腕はほんとうに目を見張るものがあるので。おもしろいはず。そして個展だからって敷居は高くないよ。もちろん無料だし、なんなら缶ビールくらい振る舞ってくれるはず。黙って眺めて帰るだけでも構いませんから。

猪爪東風(ayU tokiO)

<俺の見た千秋> 

千秋とはずいぶん前に「ACC jr.」というバンドを組んでいた。
『acc』が『Action Chiakizz Club』の頭文字であると聞かされた時は「バンド名変えたい」と思った。
そのバンドではカセットMTRで録音をしているんだけど、陽の目を見ることはあるんかな。。
で、そのマスターカセットテープのラベルを千秋が描いてくれたのがすごく良くて、彼の絵を見ることは多かったけど俺が初めて間近に触れたのはそれが初めてだったように思う。
千秋は俺の想像もしないような角度の視点を持っていて、本当に尊敬している。

彼の視点で生活を送ることによって出会う、様々なものを、彼の独自の感性でミックスする。
絵も映像も音楽作品もライブパフォーマンスも、千秋の生み出す作品には完成までの独特のプロセスを感じる。これが自分にとってはとても興味深いというかめちゃくちゃ魅力的だ。

感動的な共感を生み出す様なタイプのスターではなく、有り余る日常をどこまでも突き放してくれる天才クリエイターであると認識しています。

<俺の見た千秋の え>

自分の作品では
ayU tokiOの「NEW TELEPORTATION」という作品と「恋する団地」のジャケットイラストを描いてもらいました。

もっと前で言うと自分の楽器修理としての屋号である「ayu tone」のロゴを描いてもらいました。
これが凄まじくて、なんかのフライヤーの裏に墨汁で描いて渡してきました。
修正液で消したり描いたりされていて一生懸命描いてくれたのが伝わってきたので良しとしましたが、「フライヤーに描くなよ」くらいの注意はした気がします。しかも、すげー小さかったです。
それを家の近所の図書館でスキャンして大きく出力して紙に貼って、ジャギジャギしたとこをペンで潰して入稿する原稿を完成させたのを憶えています。(当時デザインを出来る友人がいなかった)

次がayU tokiOの「NEW TELEPORTATION」シリーズだったのですが、これの原稿はヤングアニマルの付録?の漫画用紙で、もらった時そんなものを持っていたことにもそれを使って描いてきたことにもビビりました。
漫画作品的なイメージを伝えたのでそういうことになったのかもしれませんが、「マクロスはヤングアニマルになんか載っていない!!」と思いました。ヤングアニマルは好きです。で、スクリーントーンがポロポロ落ちてしまうのもすげーと思いましたが、千秋が言うには「それも作品」とか。そういうもんなのかなー。

その次がayU tokiOの「恋する団地」で、初めCDをリリースしてから半年くらいしてアナログリリースの話をもらったので二度描いてもらいました。
この頃千秋はデジタル時代に突入しており、そのすごくデジタルな感じな千秋の変化が友達として「なんかすごいぞ!」と思ったものです。もらったデータはなんか異様にでかかった気がします。「大は小を兼ねる」っていうもんな。
LP版の構図は「NEW TELEPORTATION」の街の原風景という設定です。(俺の中で)それが年月を経てサイバーパンク化していくというストーリーに胸が躍ります。この裏ジャケットのぼやけたエフェクトを見た時は約半年ぶりに千秋からのもの特有の興奮を感じました。

最近では自分のレーベル[COMPLEX]からリリースしたやなぎさわまちこのCT「わたしの好きな国」、CD「わたしの向こう側」、特典ポストカードのイラストを描いてもらいましたが、その時は水彩画になっていて数年ぶりの変な興奮を味わいました。

他の作品では
wienners「UTOPIA」の『ゆーとぴあちゃん』
seventeen again 「少数の脅威」のジャケット裏?の絵のバージョンが好きです。(他の作品も同じようになってるけどどれもやつも好き)



ヤブソン(SEVENTEEN AGAiN)

数年前の夏、共通の友人の家に千秋くんと一緒に遊びに行った時の事。 

友人宅の2階のベランダに子供用プールが設置してあり、千秋くんと私は迷わず服を脱ぎ捨て、そのプールに2人で浸った。

とても狭かったし、夜中だったので、私達は寄り添うようにプールの中でひっそりと身を寄せ合った。

東京で最も人口密度高い、住宅が密集した蒸し暑い夜に、このベランダの私達だけブリーヂーな風が吹いたり吹かなかったりした気がした。

そんなメロウな静寂を切り裂く怒号が聞こえた。

隣の家のオヤジだ。

「家の前に少しだけ自転車を止めていただけで、タイヤを釘で串刺しにされた」

っという友人の曰く付きの、噂の相当クレイジーなオヤジが僅か1mの至近距離から何か私達に叫んでいる。

千秋くんと私は、軽く会釈をして全裸のままベランダを後にした。
友人には悪いことをしたと深く謝罪の念を抱いたが、後日友人は、串刺しにされたタイヤを車輪から剥いで、玄関の前に魔除けとして飾っていた。

ユーモアはこの世界を生き抜く為の最良の解決法だし、同時に我々をタフにさせてくれる。
側から見ればチープで下らない出来事だけど、こういった何かに換算出来ない出来事の積み重ねが我々の人生を彩るのだと思う。千秋くんの絵はそんな素敵な絵です。


KOJI ROJO(V/ACATION、チーターズマニア)

<千秋という人と表現について>

「葛藤と反抗」と「犯行」

個展おめでとうございます。

千秋と出会って、そろそろ15年ほどになります。

お気に入りの作品は「V/ACATION」のドクロ絵です。
当時、千秋からV/Aをイメージして書いたので、何かに使ってくれ、と
絵を頂いて、すぐにTeeシャツにして販売したことを覚えています。

個人的には、ドクロの胸元に書かれた「do,re,mi」がポップすぎるなあ、と思っていたのですが、バンドの持つ軽やかなイメージを千秋なりに表現してくれたと思っていて、今ではとても気に入ってます。

私がライブ中にやるVAサインは千秋のイラスト内に描かれているものであったり、1stアルバム'with vacation'の裏ジャケを書いて頂いたり、時にはV/Aのボーカルとして歌ってもらったり、バンドを一番理解してくれている人の一人だと思っています。big up

語りつくせないエピソードは、また今度、下北沢にて。


マツモト(V/ACATION、DIEGO)

千秋くんが手掛けるもの全てに物語を感じる。街の風景、友達との笑い話、家で聴くレコードや本、そういった普段の日常が表出されているような。最近の絵とか、それがより鋭角に表現されていて見る度に最高だなって心の中で呟いてる。性質としては、ピュアな変態って感じ。

千秋くんはV/ACATIONがライブやり始める前にヘルプで参加してもらってて、その時よく法政大で練習してたんだけど、その横の川沿いで飲んでたらパトカーに囲まれたり、パンクの話したり会う度にすごい楽しかった想い出が。やってもらったアートワークとしては、1st ALが好きで。表ジャケの写真を絵として裏ジャケに描いてもらったんですが、とてもキレイな絵なんですよ。


OSAWA17

(THE SENSATIONS/GIRL FRIEND/I HATE SMOKE RECORDS)

可愛さや愛くるしさもあり、かと思えば表情をガラリと変えて妖艶且つスタイリッシュ、奥底をみれば図太い根っこに尖った一面もあり。
更に軽やかにすばしっこいから、目が離せない人だなと思います。

手がけてくれた作品は数多いけど、DANCE MY DUNCEのロゴは詳しく打ち合わせをした訳ではないけど、どんぴしゃりなイメージを描いてくれたなぁ。


玉屋2060%(Wienners)

彼は、稲中の言葉を借りるとすれば、シャイなくせに目立ちたがり屋なヤツ。でもそれって音楽とか芸術とかにおいて割と重要な気がしてて。
自分の内に内に深く潜ってく部分と、それを外に吐き出そうとする欲求が共存しているから。そういう意味でまさに天性の才能を持ったヤツ。

個人的に絵とかデザインで「良いな」と思う要素の一つとしていつも「レベルの高い落書き感」を求めてて、千秋はそこの部分が突出してると思うので、その感じをいつもお願いしてます。




永原真夏

(SEBAUTIAN X/永原真夏+SUPER GOOD BAND)

千秋くんは、顔がかっこよくて、うるさくてはやいバンドをやっていて、人を拒まない華やかな人気者だと思います。でも、つくるものの芯は誰にも触れられないATフィールドみたいなもので覆われていて、私のようなファンは、そのきらきらした外装からなるべく手を伸ばして、棘や茨を掻き分け、香りを嗅いでみたいなとか、どんな感触がしてどんな景色を見ているんだろうとか、どうしてもどうしてもその内側の中心に、触れてみたくなります。それに一番近づいた気がするのが千秋くんの描いた絵を見た時です。
その筆圧や隅の掠れから、どうしても部屋に篭って絵を描く小学3年生を彷彿としてしまうのですが、それについて、本人や友人たちはどう思いますか?
長文を書いたわりに、彼の誰もを魅了する謎は解けません。
なのでシェイクスピアのロミオとジュリエットより、「薔薇という名の花は名前を変えてもその香りは変わらない」という台詞を、千秋くんに捧げたいと思います。

SEBASTIAN XのPOWER OF NOISEツアーグッズで描いてもらったトートバッグのイラスト!
自分をイラスト風に描いて下さったのですが、ああこんな女の子になりたいな、なれているのかなと、もっとがんばろうと、生きるパワーを貰いました。


クボツトム(A PAGE OF PUNK)

彼は最近作るって作業と考えるって作業が合体し始めてるって思います。是非皆さん、チアキの絵を見たらどういうことか聞いてくださいな。あいつの答えはとってもあいつらしいものだと思います。

あいつの描いたものはどれもあいつなのでなんとも言えないけれど、アペイジであいつが描いたものは、考えをぶつけ合って描いたものなので、思い入れがあります。どの絵にも僕なりの解釈もあります。皆さんにもその解釈があると嬉しいです。




スガナミユウ(GORO GOLO/下北沢THREE)

千秋と出会ったのは彼が18歳くらいのときだったかと思う。
今から一年くらい前、千秋は生活がかなり困窮していた時期があって、「暮らしていかなければいけないがどうやって生きていく?」と聞いた。
千秋は絵で食べていきたいと言った。
それはとても良いなと思った。
千秋が持っている沢山の個性の中で、実は一番現実的に実現できる目標なのではないかと感じたから。
腹をくくると人は強いから応援もしやすい。
今回の個展は、今までの総括と、正面切った彼のはじめの一歩だと感じている。
絵描きが展示をやるのは当たり前過ぎる。否、当たり前のことはやるべき。
自分がこんな風に思うとは思わなかったが、千秋の勿体ないところはいつも分かりづらさにあったと思う。
個性はすでにある。その上で、分かりやすさというものは人に何かを伝える時にとても大事だと思う。
これからの千秋をkit galleryで見つけたいと思う。

「GORO GOLO / SYMBOL EP」
モニュメントは実際に立体で作られていて、その発想にビビった。

「Block Party・9PARTYのlogo」
どちらもイベントの趣旨を一発で理解してくれて、さらにアイデアを足してくる。信頼しています。


続いての更新では藤田千秋のインタビューをお届けします。時間が限られて申し訳ないですが是非週末に、個展に足を運んでみてください。9/21には下北沢THREE&BASEMENTBARにてライブイベントもあります。そちらも是非。彼のもうひとつの表現の場です。


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