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大学帰りの飲酒

5限目終了後、空は未だ明るい

講義から解放された学生達の群れに混ざって駅を目指す。歩き煙草集団が警備員から注意を受けていた。別の一群がその様子をニヤニヤと眺めながら全く関係ない話題(バイトの愚痴やスロットの戦果報告)を続けている。

大学付近の百円ローソンに立ち寄ってチープな缶チューハイ(ライム味)を購入。

改札を潜ってホームへの階段を駆け上ると、その勢いに任せてプルタブを起こす。

ケミカルな液体を体に注ぎ込むと胃に心地良い熱が広がる。

モラトリアムの中に居た俺は、過度なストレスを感じている訳では無く、アルコールの魔法で恐怖から逃れたい訳でも無かった。

庇護された身分で怠惰や堕落のつまみ食いするのが楽しかったのだ。

こういった行為が「モラトリアム」と呼ばれる得体の知れない概念への参加券だと思っていたのかもしれない。

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