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母とわたしと心の故郷

 はいるです。藤井風の武道館ライブが発表されましたね。しかもまさかの来月歓声NG、チケット1人1枚まで、というコロナ対応のシビアな条件ですが、ライブに6年くらい行っていない身としては逆に難易度が低い。チケットとれますように。
 さて、今回は「夏休みの思い出」さちこが鶏皮のこと書くなんて相当書くことがなかったんだね......。でも窒息って危ないから、生きててよかったね☆


 幼い頃の夏休みの予定は、大体毎年決まっていた。長期で出張に出る母親の仕事についていくのだ。自然に溢れた場所。祖父母は都会暮らしだったので、「田舎に帰る」という経験が無かったわたしにとって、夏休みは唯一自然に触れられる貴重な機会だった。川下りをしたり、パンを作ったり、ブルーベリー狩りをしたり......。青々とした山と、高い高い空。わたしの心の故郷だ。大人になってキャンプを始めたのも、故郷に帰りたい、という思いがいつも燻っていたからだ。

 息子を産んで改めて考えると、自分が置かれている環境というのは特殊だったように思う。親の仕事を目の当たりにする、という経験は、職種によっては皆無ではないだろうか。母が何に悩み、それにどう立ち向かっていくか、幼いながら傍で見ていた。
 思い返すと母は、家でも仕事でも変わらなかった。裏表がなく、正しいことを正しいと主張する。良い仕事のためには手を抜かないし、周りに働きかける努力を惜しまない。余計な忖度を絶対にしない。そしてそれが出来るほどのはっきりとした実力があった。

 選ばれし人というのは、幼い頃から教育を受け、努力し、才能に恵まれているんだ、ということを幼いながらに悟った。そして、その全てが自分に授けられていないことも。成長するにつれて、その想いは確信に変わっていった。(まあ、そういうことのせいにしていただけで、そもそも同じ土俵で戦いたいと心から思ったことも無かったのだけれど)

 親の仕事は、わたしに大きな影響を与えた。生半可な気持ちで夢を見る隙は1ミリもなかった。そんなことを軽々しく口に出そうものなら、全力で叩き潰されるような気がしたし、何よりそれは自分の親に失礼だと思った。習い事も思春期には全てやめて、きっぱりと違う道を歩んだ。

 わたしの幸運だったところは、両親がそのことに対して失望しなかったことだ。とても良いことと捉え、応援してくれた。特に母は、「あなたの良いところが一番活かせる場所」にしなさい、と言った。そしてそういう場所はきっとある、と。

 自分が通ってきた道を是としないって、とっても難しい。自分と同じようになって欲しい、と願う親も多い。わたしも親になって痛感する、親は「子供にこんな風になって欲しい」という理想が絶対にある。どんなあなたでもいい、と言っていたとしても、心の中では、絶対に。きっと、わたしを産み育てる中で、期待した瞬間も多々あっただろう。でも、それを強要されなかったことが、今のわたしを作っている。

 親の仕事を見る機会がないように、子供の仕事を見る機会もない。わたしの仕事への向き合い方を、母は知らない。でも、わたしは確かに、母と同じように仕事をしている。正しいことを正しいと主張する。良い仕事のためには手を抜かない。周りに働きかける努力を惜しまない。余計な忖度を絶対にしない。母の仕事への姿勢は、わたしにも受け継がれている。実力だけ全然足りないけど......。

 きっと、わたしの仕事を息子に見せてあげる機会はないから。
 夏休みの母との時間に感謝したい。

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