BiSHの解散発表に思うこと。 これからの1年に望むこと。

BiSHは、素晴らしいグループだ。心の底からそう思う。
メンバー6人の関係やバランス、そしてその魅力を理解しさらに引き出してくれるBiSHチームスタッフ。

音楽プロデューサーの松隈さんのバンドサウンドと、アイナさんとチッチさんという声のコントラスの相性。
渡辺さんのある種毒をも含んだ表現も中和し緩和しながら広げられるアイナさんの振付やメンバーの個性。
ここまでいろいろなものが噛み合うこと自体が奇跡的なんだろう。

始まればいつかは終わるのは、命と同じでどのグループも一緒だろう。
可能な限り続けること、頂点の時に終えること、どちらにも美しさがあり一方が正しいなんてことはない。
ただ、渡辺さんの美学は、頂点で終えることを選ぶことのようだ。
「もう一度BiSを始める」と言って始まったBiSH。
BiSであったものを引き継ぐ以上、スタートの時点から最高の解散に向けて進むつもりだったんだと思う。
ところが。
渡辺さんが想像していた以上にメンバーは輝きを放ち、脱退・追加をしつつも本当に奇跡的な形にまとまり、世間に受け入れられファンを増やしていったんだと思う。
もちろん渡辺さんやavexのスタッフさんなどいろいろな力があればこそなんだけど、それでも、予想以上の成果を叩き出してきた。

ただの一ファンから観ていると、時には渡辺さんの仕掛けたことがBiSH躍進の足かせになっていたこともあったのでは?と思うくらいだ。
だからこそ、BiSHメジャーデビュー直後、新たにプー・ルイさんを迎えもう一度BiSを始めたはずのBiSHとは別に、自分の思いをぶつけられる2期BiSを始めたんだと思う。
その後のプー・ルイさん卒業からのBiSリーグの失敗や2期解散の経過を見ていて感じたのは、渡辺さんにとってはアイドルグループというのは学生時代の部活のようなものなのだろう、ということ。
自分が監督またコーチ役で、才能のありそうな子を組ませ特訓し、輝かせ、3〜5年で勝利を目指し、勝っても負けても卒業。その子達はそれぞれの道を歩ませ、自分はまた新たなチームを作る。その繰り返し。そんなふうに捉えてた。

BiSHは、進んでいく中で想像以上に大きくなっていき、渡辺さんも自分の思惑とは違っても松隈さんの音楽を売っていくためにもメンバーが望む限り走り続けさせてくれるんじゃないか、と勝手に思っていた。

でも違った。

今回の解散真相動画で触れられていたとおり、話が出たのは2019年となっている。
大阪城ホールを即完し、地方のアリーナの先の東京ドームまで視野に入っていたときだ。その頃に話が出ていたのだから、各地の大箱をやり、2020年には目標の東京ドームまたは武道館での解散、という道をイメージしていたんだと思う。

それがコロナ禍で尽く予定が変わった。

そんな中でも、終わりに向けてのBESTアルバムを出し、正月には全曲配信ライブを準備。2021年のライブも、前年度出来なかった対バンツアーのリベンジと、スターウォーズのシリーズになぞらえながらアリーナツアーを企画。
完結を意味した456-123ですもんね。終わりだよ、と。
メンバーは解散後も個々で活躍できるような仕事等を増やし、アイナさんは本格的なソロ活動へ。
今夏に発売されたアルバムGOiNG TO DESTRUCTiONの歌詞も、いま読み返すと、そこかしこに解散への思いを匂わせるものがたくさん散りばめられている。渡辺さんの歌詞だけでなく、メンバーの作詞でさえも。
(面白いことに、アイナさんソロやPEDROアユニさんの歌詞には、その辺りはほとんど無いんですよね。)
つまり、BiSHの解散はコロナ禍だからこそ延期された2年だったんでしょうね。それでも、ライブハウスの寄付や、今回の解散発表後にそこを回るなどの伏線回収はお見事でした。

その間もメンバー個々の活躍が進む中、他の事務所のアイドルグループの活動休止やアイナさんソロでの認知も重なり、ついには今年の紅白出場まで決まってしまった。
赤と白の衣装デザインだって、たぶん紅白には選ばれないだろう、という予定で作ったんじゃないのかな。いやそこはわからないけど。そんな気がする。

BiSには、モーニング娘。さんに憧れたプー・ルイさんのDNAがあり、渡辺さんのものだからこそメンバーの入れ替えを経て3期BiSもあるし、今後もBiSという名前は続くのでしょう。
でも、BiSHという名前だけあっても、中身が違うメンバーで歌う”オーケストラ”や”プロミスザスター”に、魅力なんてない。一切ない。

自分としてはBiSHが解散した後、メンバーそれぞれの活動は応援していくかもしれないけど、他のWACKグループに夢中になることは無いと思ってます。
きっと、BiSHのようなグループは2度と出来ないだろうし、
「もう一度BiSH(のようなもの)を始める」
ことは、不可能だと思う。
あ、別に他グループがBiSHよりも劣っているとかではないです。BiSHに夢中だったので比較して語れるほど詳しくないですし、それぞれに魅力あるからこそ清掃員から流れる人もあるのでしょうから。

そう感じるくらいに、アイナ・ジ・エンドとセントチヒロ・チッチを擁したBiSHは、代わりなどいないほどの存在感だった、ってこと。
そんな存在を生み出してくれたこと、出会えたことは感謝している。
でも、WACKというブランドが好きなんじゃない。だから次はいらない。

そして、残り1年について。

メンバーもチームも燃え尽きるくらいの意気込みかもしれない。
12ヶ月連続リリースに、全国制覇ライブと寄付のライブハウス巡り。
自分は正直、やりすぎだと思う。
頑張る姿は美しいけど、ボロボロになるまで働かせるようなことにはならないで欲しい。
寄付したライブハウスだけでも、67会場。これに大規模アリーナクラスや各地のフェスも入れると、年間100本に迫ることになる。
解散までが集金イベントのように揶揄されるのも嫌だ。
もうすでにレコーディングなどの仕込みも終わっているだろうし、今回の発表で最後だからこそ観たい人も増えるだろう。
争奪戦になるので、高額チケでも飛ぶように売れちゃう未来が見える。

最後まで応援はするけれど、どうかメンバーも清掃員も皆がボロボロにならずにその日が迎えられるように願っています。

さいごに。
2022年の1年がBiSH自身でさえも2度と更新できないくらい、『最高のその先』になることを祈ります。
そしてクリスマスとして願うなら、解散後も年に1度メンバー6人が再集結出来るライブイベントとして、"TOKYO BiSH SHiNE"が開催され続けてくれますように。
メリークリスマス、2021


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?