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【GTOはここから】AKQゲームって結局なんなのさ(前編)

「Wizardさん、そのアクションの理由教えてよ😡」


はじめまして、しばいぬです🐕

なぜまた急に、そして今更こんなAKQゲームなんて使い古されたテーマでnoteを書こうと思ったのかについてまずは軽く話していきます。


ポーカーを始めて半年くらい経った頃。
知り合いの紹介でみさわさんのコーチングを受けさせていただいた時のこと

「なんだ!?この便利そうなツールは!?」

そうです、今では毎日開いていると言っても過言ではないGTO Wizard
2年ほど前の当時は今ほどGTO Wizardも日本では有名ではなく
みさわさんのコーチングで初めてその存在を知りました。

流れそのままに有料プランを契約し、早速使ってみるのですが…

「Wizardさん、そのアクションの理由教えてよ😡」

ってなるわけです。笑

このFlopはレンジ全体で66%bet!

このリバーではナッツでOOPから10%bet!

みたいなのが計算結果として表示されるわけですが
その結果は分かっても理由が全く分からんわけです。笑


こういうやつ結果だけ見てもなんのこっちゃなわけで



GTO Wizardの画面を見つめて自分の持ってたハンドを眺めても

「ふ〜ん、よく分からんけどこのアクションは合ってたのかぁ」

「よく分からんけど5%くらいは頻度あるから正解かぁ」

みたいになって、大してまともなレビューにもなってないわけです。

GTOアクションの理由が分からないものは実戦での再現も難しいわけで、
まぁ結局GTOの学習はなかなか進まないわけでした。


今でこそ様々な人との交流や、有料無料の情報のおかげで
少しずつGTOの根本的な原理や理屈について理解ができてきましたが、
これらの情報って…

✅アクションの結果を正解を掲載するだけでその理由にあまり触れてない

✅数学や物理の論文みたいで拒絶反応を起こしてしまう

✅英語が理解できなくてギブアップ

みたいな感じで、どうしても初心者やもしくは英語数学が苦手な人にはとっつきにくいような感じがあります。
(知り合いはGTO WizardのYouTube、英語が理解できなさすぎて5分で寝るって言ってましたw)


なので!この度こうして、少しでも初心者や英語数学が苦手な人でも
GTOを理解しやすいようにnoteを書いてみることにしました

もちろんポーカーの腕やGTOの理解度で自分より上の人はたくさんいますし
既に分かりやすくnoteで解説されている方もいます。

ですが、そういった先駆者の方々の存在は自分がnoteを書かない理由にはならないし
自分の思考のアウトプットにもなるので、そういった意味も含めて
2週間に1回くらいのペースで様々テーマに書いていこうと思います🙆

至らぬ部分や誤った表現も出てくるかもしれませんが、
そこはご容赦くださいませ🙂


AKQゲームってそもそもなんやねん


ってことで初回の今回は

AKQゲーム

について解説していきます。

既に擦りに擦られたネタで、なんで今更って感じでもあるんですが、
このAKQゲームってGTOあるいはナッシュ均衡を理解する上で
非常に分かりやすくまた応用性もあるネタ
になってます。
(そこから発展してExploitも考えやすいです)

AKQゲームの理解は、GTOを理解する上で必須ではないですが
一方でAKQゲームを知っていることでGTOを理解しやすくなる側面は大いにあるので、まずはここにフォーカスしてお話ししていきます。

まずは知らない人のためにAKQゲームの概要から

<AKQゲームの概要>
・1vs1のワンストリートで終わるベットゲームを行う
・ベットする前のpotのサイズは1とする
・役の強さはA>K>Q
・片方はAorQを持っている
・もう片方はKを持っている

ってな感じです。
AとQの保有率やbet sizeに関しては自由に設定できるって感じですね。

で、この状況を少し解釈すると

AorQを持ってる人(Pさんとします)
→Aでは必ずbetする(チェックする意味がない)
→Qでは一定の頻度でbetする(bluffを行う)

Kを持ってる人(Cさんとします)
→自分からbetすることはない(betする意味がない)
→Pさんのbetに一定の頻度でcallする(bluff catchを行う)

って感じですね。

まぁ感覚的にはリバーで片方がbetして
もう片方がcallするかfoldするか(raiseすることはない)悩んでる

って感じです。

※PさんはPolar、CさんはCondensedの頭文字から取ってます。笑


当然ですが、PさんもCさんもbetによって一番チップが増えることを目指して頑張ります。

一旦この状況を図で整理しておきます。

AKQゲームの概要イメージ


AKQゲームからEVを考える


さて、AKQゲームのルールは非常にシンプルですが
ポイントになるのは以下の変数です。

①PさんのAとQの構成比は?
②Pさんのbetサイズはどうする?
③PさんはQをどの頻度でbetする?
④CさんはKをどの頻度でcallする?

って感じですね。
お互いにこの辺を動かしながら、自分のチップが最も増えることを目指してプレーします。

で、この『自分のチップが最も増えることを目指してプレーします』という部分をここからは全てEV(期待値)で計算します。

このEVはチップの増減にその事象の発生確率をかけることで計算できます。

チップの増減にその事象の発生確率をかける」と言ってもイメージしにくいと思うので具体例を出しましょう。

ex.)Aでpot100%betをして、Kが50%の確率でcallする場合

・Kがcallする場合
チップの増減:+2(potの1とbetにcallをもらった分の1)
発生確率:50%(Kがcallする確率)
→ +2 × 50% = +1

・Kがfoldする場合
チップの増減:+1(potの1)
発生確率:50%(Kがfoldする確率)
→ +1 × 50% = +0.5

合わせて+1.5になるのでEVは+1.5です。

こんな感じです。意外とシンプルで
パターンわけする
→各パターンのチップ増減に発生確率をかける
→全てのパターンで計算して足し合わせる

ってだけですね。

さて、これをベースに以下を固定して考えます。

①PさんのAとQの構成比→A:Q=50%:50%
②Pさんのbetサイズ→pot 100%のみ

この状況下で、

③PさんはQをどの頻度でbetする?
④CさんはKをどの頻度でcallする?

というのを考えます。

case.1)具体的な数値を入れて計算しみてる

まずはイメージしやすくするために、それぞれの数値を具体的に入れてみた上で計算してみましょう。

・PさんはQを30%の頻度でbetする
・CさんはKを60%の頻度でcallする

とした場合、EVは以下のようになります。

それぞれのパターンわけでのEVの計算

パターン分けした中での計算は上記の通りです。
最終的にまとめると

PさんのEV:+0.77
CさんのEV:+0.23

といった形になります。
(元々potに1あって、それ以外はゼロサムゲームなので2人のEVの和は必ず1になります)

これがいわゆるレンジEVってやつで
PさんはQを30%の頻度でbet/CさんはKを60%の頻度でcall
する場合の双方のレンジEVは上記の通りなわけです。

こんな感じで自分のbet/call頻度をいじりながら
どうすれば自分のEVを最大化できるの?を考えていきます。

ちょっと話が難しくなってきましたが、このあとはもう少しイメージしやすい話をしていくのでご安心を😌

case.2)Qのbet頻度を変化させた場合のPさんのEV


さて、では一旦ここでPさんの立場に立ってみましょう。
当然Pさんの立場からすれば

「Aは絶対betするとして、Qをどの頻度でbetすればいいんだろう?」

となるわけですね。
この"Qのbet頻度"の変化に伴うEVの変化に注目していきましょう。

ここでは3種類のCさん相手に対するEVの変化を考えます。

①Kを100%頻度でcallするCさん
→コーリングステーション。
「見たいからcall!」と言うが単に降りたくないだけ。

②Kを50%頻度でcallするCさん
→バランス取れてそう。
GTO語って同卓の輩に「GTO語るなよキモい」って言われる。

③Kを0%頻度でcallする(fold 100%)Cさん
→ただのニット。
ヨーロッパ人に多いイメージ。

そんな①〜③のCさん相手に
Qのbet頻度変化に合わせたEVの変化を見てみます。

ってことで計算してみると下記の通りです。

表にされてもイメージしにくいと思うので、グラフにしてみました。

こう言われると難しい感じじますが、実は言ってることはシンプルで

・全部callするCさん相手にはQ(bluff)のbet頻度は下げたほうが得
・全部foldするCさん相手にはQ(bluff)のbet頻度は上げたほうが得

ってだけです。まぁ考えてみれば当たり前ですよね。
また、このケースに関して言えば

・Cさんが50%頻度でcallする場合はQのbet頻度でEVは変化しない

ってことです(これが後ほど超重要になります)

こんな感じでCさんのcall頻度によって、最適なQのbet頻度は変化します。


case.3)Kのcall頻度を変化させた場合のCさんのEV


次は逆のパターンを考えます。
Cさんの立場からすれば

「Kをどの頻度でcallすればいいんだろう?」

となります。
まぁ実際bluff catcherでどこまでcallするかは悩む人が多いと思います。
(実践だとここまで単純化できるものでもありませんが)

先ほどと同様に"Kのcall頻度"の変化に伴うEVの変化に注目していきましょう。

ここでも3種類のPさん相手に対するEVの変化を考えます。

①Qを0%頻度でbetするPさん
→ネバブラマン。
お前の3betにJJ+意外見たことないねん。

②Kを50%頻度でbetするPさん
→別にプレー自体は何も悪くない。ただ問題なのは
ブラフキャッチされるとそのハンドでブラフした正当性を語っちゃうとこ。

③Qを100%頻度でbetするPさん
→ただの気合い太郎。
全身ハイブラにグラサンかけてる率高め。


そんな①〜③のPさん相手に
Kのcall頻度変化に合わせたEVの変化を見てみます。

ってことで計算してみると下記の通りです。


こんな感じです。先ほどと同じで

・Qを全部betするCさん相手にはのKのcall頻度は上げたほうが得(※)
・Qを全部checkするCさん相手にはのKのcall頻度は下げたほうが得

ってだけです。まぁ考えてみれば当たり前ですよね。

※厳密にはその限りではなく、これは今回Pさんのレンジ構成比率が
AとQが50%/50%だからであって、レンジ内のQの比率によってはQを全部betするとしてもfoldした方が特になることもあります。

とまぁこんな感じで、相手のbet/call頻度を固定した場合に
もう片方は自分のcall/bet頻度を変化させることで期待値を最大化できるわけです。


はい、とここまでが茶番でここからが本題です。
というのも実戦においてもちろんポーカーはこんな簡単なものでもありません。

case.2やcase.3のように相手のアクションが固定されるってことはなくて
後出しジャンケンのように変化し続けるわけですね。

「この人どうみてもブラフしすぎだろ!」となれば当然call頻度は上がる

「この人降りなすぎだろ!」となれば当然bluff頻度は下がります。
(betサイズを変える話は一回無しにします)


これらを加味した上で、最後にcase.4として
双方の頻度が変化する場合のEVについて計算してみます。

※ここからの話は長くなるので、今回の記事では入口部分だけ解説してより応用的な話は次回の記事にします。

case.4)Qのbet頻度/Kのcall頻度両方を変化させた場合のEV


これまでと同様に

①PさんのAとQの構成比→A:Q=50%:50%
②Pさんのbetサイズ→pot 100%のみ

といった条件は固定した上で、双方の頻度を変化させた場合の
PさんのEVを計算します。
(「1-PさんのEV=CさんのEV」になるので、CさんのEVは省略します)

ってことで計算するとこんな感じ。5%刻みに計算しました。


はい、今にも頭痛くなりそうですね。
ちょっとこのままだと何のこっちゃなので数字の大きさに合わせてサーモグラフィー的に色を塗ってみます。


赤くなればなるほどPさんのEVは大きくなり
(Qのbet頻度0%にKが100%callする、Qのbet頻度100%にKが0%callする)

緑になればなるほどPさんのEVは下がります。
(Qのbet頻度100%にKが100%callする、Qのbet頻度0%にKが0%callする)

まぁ言われてみりゃそりゃそうかって感じなのを表にしたまでです。


で、実はこの表ですがこんな感じでちょっと色付けすると非常に意味あるものになります。


これこそがナッシュ均衡そのもので、AKQゲームのキモになる部分なのですが、、、
ここから先はまた長くなるので、続きはまた次回の記事で解説します!

次回は若干抽象度の高い説明になってしまいますが、
GTOに密接に紐づく部分になるのでぜひご購読くださいな!🐕


(おわり)

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