『私が、現在の日本の英語教育について思うこと』

 先日、このようなニュースを見つけた。

 「日本政府は、新しい学習指導要領で、中学校の英語は、基本的に全て英語で教えるという方針を盛り込む予定で、英検準一級以上の能力を持つ英語教師が50%になることを目標としている。この発表を受けて、京都府教育委員会は、京都市を除く京都府の英検準1級以上を取得していない中学校英語教員74人を対象にTOEICテストを実施したところ、英検準1級に相当する730点以上を取得した教員は16人で、500点に満たなかった教員は14人、最低点は280点だったとのことであった。」

参考 https://eikaiwa.weblio.jp/school/information/education/junior-high-school-teacher/
『「weblio 学校向けオンライン英会話」 TOEIC280点、中学校英語教師の英語力の低さが浮き彫りに』

  このニュースを通して、私が現在の日本の英語教育について思うことを3点挙げたい。

 ① 理想的な英語授業とリアルな学校現場とのギャップ 

 私は京都府の行ったTOEICの結果を受けて、英語の授業を英語で展開していくという日本政府の政策は現実的ではないと思った。理由は2つある。
 まず1つ目は、言うまでもなく、教師陣のTOEICのスコアが低すぎる。アイデア自体はとても良いが、このような状況下だと授業がうまく機能せず望ましい効果は得られないどころか、逆効果であるとも言える。
(だからといって、現在の授業スタイルを継続すべきだと言っているのではない。これについては後述する。)
 2つ目の理由としては、ほとんどの中学校教員が非常に忙しい環境で仕事をしていて、英語を学び直す時間が取れないからだ。政府やネイティブスピーカーらの助けを借りて教師陣を教育しようとしても、彼らにはそれらの講義を受ける時間も余裕も無いと思う。 教師は、英語教師である以前に多くの場合担任のクラスを持っており、生活指導もしなければならず、部活動も管理しないといけない。

 ② 英語教育の現実的な改善に向けて             

 では、どうすればよいのだろうか。このままの現状をそのまま放置するべきではないだろう。
(もちろん、教師陣の労働環境の改善というのは大事な視点だが、それはタイトルの趣旨からずれるので、あえて英語教育の視点のみから考察すると、) 
 多くの難題が有るとはいえ、やはり現在のような日本語のみで授業を展開し、単語や文法ばかりを小テストで詰め込むような英語教育のスタイルは今すぐにでもやめるべきだと私は思う。というのも、ほとんどの日本人が、小学校高学年から、中高大と10年以上も英語を勉強してきたにも関わらず、いざ日本の外に出てみると、英語で簡単な日常会話すらできないのである。
 これは、とても虚しいことではないだろうか。確実に、現在の教育システムが原因の1つであると言えるだろう。 私が考える現実的な解決策は、小学校低学年から国語算数と同じように英語の授業を盛り込むこと、過度な文法至上主義から抜け出すこと(そのためには高校受験、大学受験自体が変わる必要があるのだが)の2点である。 

 ③ 我々が英語を学ぶ目的 

  ただ、小学校低学年から英語を学ぶという意見には賛否両論があるだろう。母国語もまともに習得できていない子供たちが、英語もしっかり勉強する必要があるのだろうか。
「なぜ私たちは英語を勉強しなくてはならないのだろうか。」というそもそも論である。 ここで私たちは今一度、英語を学ぶ目的に立ち返るべきである。 海外旅行をするためだろうか? 異国の友人を作るためだろうか? たしかに、それらも大切な理由ではある。                   
 しかし、私の思う最も本質的な目的は、より多くの情報にアクセスするためである。 (そもそもこれらの理由を差し置いて受験のための英語ばかりを重視している現在の教育体制は何よりも問題であると思うが。) グローバル化の最中、ほとんどの情報は英語で書かれている。もし英語を習得したら、アクセスできる情報が格段に増える。日本語を通してでしか情報を得られない人と、国際共通語である英語を通して幅広く情報を得ている人との差は大きくあるだろうし、グローバル化と情報化が加速すればするほどその差は開いていくだろう。だから、小さい頃から英語の土台を築くことが大切なのである。

 したがって、この文章を通して私の述べたいことは大きく分けて3つである。
 1つ目は、日本の英語教師の能力や忙しさを考慮すると、英語の授業を英語で展開していくという新たな政策は現実的ではないということ。
 2つ目は、それでも英語の教育システムそのものを変えていかなければならないということ。 多くの日本人が英語をあまり得意としていないことを考えれば、やはり今の英語の教育システムには欠陥があると言わざるを得ない。現実的な解決策としては、幼い頃からの英語教育、過度の文法至上主義の脱却である。
 3つ目は、英語を学ぶことの目的に立ち返るべきだということ。最も本質的な目的は、国際共通語である英語を学ぶことによって、より多くの情報にアクセスできることである。
 私は日本の英語教育がより良くなることを切実に願っている。 

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