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デジタル給与

◆弁護士 飛田 博

2022年9月11日日経新聞朝刊1面
「デジタル給与、来春にも」「政府最終調整 決済アプリに入金」

「政府は給与をデジタルマネーで受け取る制度を2023年4月にも解禁する方向で最終調整をする。」

 「労働者保護のため要件は厳格にする。口座残高の上限は100万円とし、  業者が破綻しても金額が保証される仕組みの確保も義務付ける。」

 「『PayPay』『楽天ペイ』といったスマートフォン決済アプリ口座に入金できるようにする。」

(飛田コメント)
 この記事にも記載しているとおり、労働基準法第42条第1項が、労働者保護のため、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その金額を支払わなければならない。」と定めています。したがって給料は、現金を封筒等に入れて、直接手渡しするのが原則なのです。
 でも、今や多くの企業が口座振込で給料を支払っているかと思いますが、これは先程の労働基準法第42条第1項の但書で、「法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払〔うことができる〕」とされているからです。
 この但書を受けて、労働基準法施行規則第7条の2第1項第1号が、労働者の同意を得た場合には、労働者の銀行口座への振込により給与を支払うことを認めているのです。
 したがって、今現在は給与をPayPayなどで支払うことは認められていないわけですが、来年4月以降に解禁になるということです。
 私自身PayPayの使い勝手が良いのでよく使っています。従来は、ちょっとした小銭が必要なときもATMで手数料を支払って現金を引き出していましたが、PayPayにすると手数料がかからず銀行口座のお金をPayPayの方に移せるので、とても気に入っています。給与の振込については、もし企業側がPayPay口座にお金を振り込むにあたり手数料が銀行の振込手数料よりも安いのであれば、すぐに普及しそうですね。
 ただ、銀行ローンが残っている人は、これまでどおり銀行口座を使い続けることになりましょうか。

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