見出し画像

役員報酬返還

◆弁護士 飛田 博

2022年10月27日 日経新聞夕刊3頁

「不正会計なら役員報酬返還」「米上場基準に新規則」「SEC、投資家保護狙う」という見出しの記事から

「米証券取引委員会(SEC)は26日、不正会計などで企業が財務諸表を修正する場合に支払い済みの業績連動型の役員報酬を返還させる「クローバック制度」について、証券取引所の上場基準に盛り込む新たな規則を決めた。企業経営者の説明責任を高め、投資家保護につなげる。」

(飛田コメント)
 記事によると、財務諸表の修正を求められた場合、その時点から過去3年分に遡って役員が受け取った業績連動型の報酬を会社に返還させる、ということですが、返還させるのは、全額ではなく修正後の業績に照らして過度に支払っていた金額部分とのことです。
 おそらく、日本の取引所の上場基準にも同じような規則が盛り込まれることになると予想します。
 ただ、よく考えてみると、修正後の業績に照らして過度に支払われた業績連動型の役員報酬を返還されることは、民法の不当利得(703条)からも導けそうですので、日本においては新たな制度というよりは、当然のことを確認的に規定するという意味しかないように思います。単に過度に支払われたことになる役員報酬部分を会社に返還させるだけでなく、何らかのペナルティを課すような制度の方が効果を発揮するのではないかと…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?