営業情報の保護
◆弁護士 飛田 博
2022年10月7日 日経新聞朝刊39頁
「営業情報、多数持ち出しか」「『かっぱ寿司』元社長逮捕1週間」「転職前に秘密保持誓約」という見出しの記事から
(飛田コメント)
秘密情報の保護の世界では、いくら秘密保持契約を締結しても、情報漏洩について明確な証拠を握ってでもいない限り、警察が積極的に捜査をしてくれないと、なかなか責任追及ができないのですが、警察には警察の事情があり、民間の会社の思う通りに捜査をしてくれるということはないので、結局立証上の問題で責任追及ができない場合が多いのです。企業側の弁護士としては、歯がゆい思いをすることが多い分野なのですが、今回の被疑者については、はじめから証拠が揃っていて、警察も動きやすかったのでは?などと推測します。
私的には、秘密保持契約だけでなく、例えば退職後2年間は同業他社に就職しないなどの競合避止を定める契約は締結していなかったのかな?と思いました。
あと、秘密保持契約は、前述のとおり立証上の問題で責任追及が難しい場面が多いのですが、やはり締結しておくべきだなと改めて思いました。
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