悲しい話とコロナの話

今週は後輩くんが忙しいようなので、文章練習は私1人で行おうと思います。

今週のテーマは悲しい話とコロナの話です。
先に書きますが、人が死んだわけではないのでご安心を。
しかし私にとっては人が死んだと同じような悲しい経験だったのです。

何があったか端的に書くと

愛するお店マッシュルーム東京の休業。
そしてシェフ・スタッフの引退

ということがありました。
お店自体はなくならない、という話ですが、私にとってシェフとスタッフさんが居なくなってしまうということは別のお店になってしまうと同じなのです。

私は東京から山梨の特急電車に乗りながら記事を書いています。
4月から私は拠点を東京から山梨に移していました。
この知らせを聞いて最後のチャンスと思い、東京へ赴き、お店でディナーを楽しみました。
正直、このコロナが蔓延する中での行動として正しいかどうかは分かりません。ですが少なくとも  "私にとって" は何よりも優先すべきことだったのです。

マッシュルーム東京との出会いは 今から 2 ~ 3 年ほど前になるでしょうか。
仕事終わりで友人と美味しいものを食べたいというところから、フラフラと会社から程近いこの店を利用したのが始まりでした。
マッシュルーム専門店ということや、何やら小綺麗なお店の雰囲気に興味を惹かれつつ、私には似合わないお店かもな・・・という気持ちを混じりながら入店したことを覚えています。
初めて食べたときは、”生のマッシュルームって土臭いな!!!” と友人と感想を言い合ったのも懐かしいです。

そうして今度はランチもやっているということで、私と友人はそこから毎週1回は顔を出すことになるのです。
値段も安く美味しい、そして何よりスタッフとシェフの方と話すのが私たちの楽しみの一つでした。
仕事のイベントに来てくれたり、何かの祝い事で利用すればサービスもしてくれたり。
東京で出会えてよかった一番のお店だなと思っています。

毎週顔を出すというのは不思議なもので、そこにやってくるお客さんとそれこそ話はしませんが、 "あ、またあのお客さん来ているな〜" とか思うようになるわけです。
東京、渋谷に顔を出せるお店があることを私たちは嬉しく思い、またどこか渋谷にいる理由の一つかもしれないと思うようにまでなりました。

マッシュルーム東京の姫路店ができたときには、恥ずかしながら1人目の客として入店したことも覚えています。
お中元やお歳暮と称して顔を出したり、そのお返しにサービスしてもらったり本当に ちっちゃな IT 業界で生きてる私にとってはその行為自体がどこか社会の一つの歩みの練習になっているようで、本当に大切だったなと思います。

そしてコロナに入り、私も会社を変えて、拠点も山梨になってしまいましたが、それでもマッシュルーム東京に伺うチャンスを楽しみにしながら日々を過ごしていました。

7月に仕事で東京に伺うチャンスがあったので顔だけ出しにいくと、シェフの顔が何か曇っている。そうしてスタッフの方に聞くと 8月で閉店すると、コロナの影響で今の賃金に見合う売り上げが出せないのが原因とのこと。

びっくりしました。とっさに力になれず申し訳ないというと、 "何言ってんの全然大丈夫なんだよ、これからなんだよ" といった顔は忘れられないです。

正直、自分が勤めている会社が潰れても、マッシュルーム東京が潰れることはないと思っていました。
でも現実の世の中って思ったよりも深刻なんだな。と。
初めて感じました。そしてコロナが憎いとも思いました。

先日のマッシュルーム東京のディナーは素敵でした。
相変わらず美味しくて、シェフにお中元を渡せたことも嬉しいし、
昔ながらのバイトの方も集合したりして、まさにオールスター。
最後にシェフに挨拶をしたとき思わず涙が出そうになりましたがグッと堪えてお店を後にしました。

帰った後も、このまままだまだ続くんじゃないか?ここに戻ってこれるんじゃないか?とフワフワとした気持ちでしたね。
きっと飲んだ白ワインのせいかもしれない。

携帯のラインには "まだまだこれからだよ" との着信。

いつかまたあの素敵な空間に訪れて、今週も来ちゃいました。
と言える日がくるのを私は心待ちにしている。

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