(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その十八話 初陣
殲滅した、はずだった。
妖魔、ゴブリンどもが煙玉を使う。
──逃げる気だ!
ロランは直感的にそう思う。
だが、何かが引っかかる。
しかしロランは迷いを振り払って叫ぶ。
砦は近いはずだ。
援軍の頼む手もあろうが、辺境伯の兵、ハンスはともかくロランは地理に不案内である。
「逃がすな! 殲滅しろ!」
と、ロランは叫んだ。
銀仮面は鼻から上を覆っているだけ。
発音に困ることはなく、その声は遠くまで届く。
透き通るような声だった。
「言われなくても!」
「そうだぜ!」
と