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偏食・小食の子どものためにできること

保育園で子どもたちを見ていると、食が偏っていたり、食べる量がびっくりするほど少ない子どもたちがいます。例えば、食べられる食材が極端に少ない子ども。白いものしか食べられない子ども。そして、食べること自体に興味がなく少量しか食べられない子ども、などなど。

ドイツ人の治療教育家の先生によると、子どもに食べることは絶対に強要してはならないということです。子どもを押さえつけて、口に無理やり入れなくても、精神的に脅して強要しなくても、大人ができる工夫があるとのことでした。

もちろん、なぜ食べられないかという原因を、子どもをよく観察することで探っていきます。その上で、できる工夫を治療教育家の先生は提案してくれました。

切り方を変えてみる

幼い子どもや、敏感な子どもたちは、食べにくくて食べたくないという気持ちがあることがあります。そこで、食べ物の切り方を変えてみる工夫ができます。

例えば

・噛むのが大変なもの(お肉で噛みきれない部分、いか、たこなど)は、かなり細かく刻む

・皮のある野菜は皮をむく(トマト、豆類、茄子など)

・薄いもの(レタス、わかめなど)は火を通して細かく刻む

・喉が乾くようなもの(サツマイモ、じゃがいも、パン、茹で卵 など)は、水分や油分を加えてしっとりさせる

などなど。

子どもによっては、細かく刻んだほうが嫌だとか、大きくかぶりつくほうが嫌だとかあります。ペースト状はいいけれど、固形は嫌だとか、いろいろあります。子どもと一緒に食事をしながら観察をしっかりして、その子どもの好きな食感や食べ物の大きさなどを探るのが重要です。

人形劇をする

幼児期は子どもへのお説教や言葉によるしつけはできません。そこで、人形が子どもの心にそっと話しかけてもらいます。そこで、人形劇の力を借りるのがいいとのことです。人形劇は治療の一つとして捉えています。

例えば、ピーマンが嫌いな男の子がいるとします。その男の子のために、ピーマン嫌いを克服する王子様の話を創作し、それを人形劇にするのです。ピーマンを食べることができたら、魔法にかかっていたお姫様が自由になるとか、生涯豊かに暮らせるようになったとか、物語にするのです。そして、人形劇をして、ピーマン嫌いの男の子に見せます。1〜2週間ほど繰り返し、必ず1日の同じ時間に見せます。

人形劇を繰り返し見ることで、男の子の内面でピーマンを克服したいという気持ちが湧きが上がってくるそうです。それは外からはわかりにくいそうですが、こどもに小さな変化が必ず出てくるそうです。それほど人形劇は治療的なのです。

見せるのはピーマン嫌いの男の子だけでなく、他の子どももみんな一緒に見ると、それぞれの子どもの心のなかで、それぞれの苦手な食べものを克服したいという気持ちが芽生えるそうです。

人形劇をするのが難しい場合は、物語を素話でしてあげるのもいいと思います。

食べないと思っても、子どもの分も必ず用意しておく

子どもが食べないだろうなって思っても、全品必ず少量ずつでも、その子どものために用意して、テーブルに置いておきます。食べないだろうなって大人が思っていても、子どもはある日突然食べることもあります。保育園の給食では、偏食の激しい子どもの分もちゃんと用意してテーブルに置いてあることが多いのですが、家庭では用意しないことが多いそうです。ほんの少しずつでもいいので、その子どもの分もちゃんと取り分けて用意しておくといいそうです。

小学生になったら

ここからはアメリカ人の治療教育家の先生がおっしゃったことですが、小学生以上では「好きじゃなくても、一口は食べようね」という方針に変えるそうです。ご飯が嫌いでも、お米一粒は食べる。ピーマンが嫌いでも、1cm角のピーマンひとつ食べる、という具合に。それでも、強要することはありません。あくまでも方針として掲げるだけです。

小学校入学時には驚くほどの小食・偏食だった子どものほとんどが、高校を卒業する頃には食べられるものもずいぶん増えて、食べる量もそれなりに増えるものだそうです。いつの間にか食べられるようになっているものだから、幼少期はとても心配かもしれないけれど、高校卒業ぐらいまでに食べられるようになればいいと長いスパンで考え、親の気持ちのゆとりを持つことも大切だと言われました。

世の中にはたくさんの楽しいこと、面白いことがある

そして、年齢に関わらず、世の中には楽しいこと、面白いことがたくさんあるよっていうことを「実体験」を通して教えてあげることも、かなり大切なことだそうです。つまり、食べ物以外で、何か楽しいことや面白いことを経験することによって、興味の幅が広がっていき、そのうち、食べ物にもいろんな素敵なものがあるんだと興味が持てるようなるそうです。私はこのことが、一番大切なことだと思います。

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