【発達が絵に現れる】ぶつかりやすい子どもの絵
我が家の息子は小さい頃、
体をぶつけやすかったのです。
遊んでいたら、お友だちにぶつかったり、
振り返った瞬間、食器棚にぶつかったり、
物を拾うためにテーブルの下に入ったら、頭をぶつけたり、
といったことが多かったのです。
でも、4歳の誕生日を迎えてしばらく経ったら、
あまり体をぶつけることが少なくなってきました。
そしたら、別の驚いた変化がありました。
その変化をお伝えする前に、
ちょっとした豆知識を。
大人にはちょっと想像しにくいかもしれませんが…。
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何かにぶつかりやすい、
ということは、
ボディーイメージが十分に発達していないということ。
つまり、
自分の体の全体像をまだつかめていない、
ということなのです。
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すべての赤ちゃんは、
自分の体の大きさ、長さだけでなく、
体そのものが、存在していることすら、
ほとんどわからないまま生まれてくるのです。
だから、感覚的に自分の肉体の所在を
学んでいかなければなりません。
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昔、アメリカのシュタイナー学校で、
こんなことがありました。
平均台の上を、
ゆっくりと、しずかに、歩く、
ということを
小学1年生の男の子がしていたのです。
ただ、まっすぐ歩くだけではなく、
膝を深くまげて歩いたり、
カニさん歩きをしたり、
手を上げたり下げたりしながら
ゆっくり歩くのです。
そして、その子がバランスを崩して、
平均台から落ちそうになった時、
先生が、
「足でふんばったらいいですよ。
あなたの足は、どこにありますか?」
と聞いたら、
その子は、
「どこにあるのか、わかりません!」
って、答えたんです。
小学校1年生のその子は、、
自分の足が、どこにあるのか
まだ、感覚できていなかったのです。
もちろん、頭では、知識としては、
足があるっていうのは
理解しているのです。
でも、空間において、
自分の足が、その時、どこにあるのか、
感覚的に、わかっていないのです。
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子どもが、
友だちや家具にぶつかりやすい。
そんな時は、
自分の体そのものや、
空間における自分の体の位置が
まだ、感覚できていないから
という可能性が強いです。
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それでは、親として、どうしたらいいのか。
とにかく、愛情をもって、
優しく触ってあげることです。
体を触ってあげることで、
ここに体があるんだっていうことを
触覚を通じて教えてあげるのです。
そこで、
マッサージをしてあげるのが、とっても良い。
でも、ズボラな私は、
マッサージオイルを出して、
ちゃんとマッサージするのが億劫になりがち。
だから、日常のなかで、
できるだけ、背中や手、足を優しくさすりながら、
特にぶつけやすいところを重点的に触りながら、
話しをしたり、絵本を読んだりします。
背中をよく触るとお伝えしましたが、
子どもは胴体を感じることがかなり難しいようです。
だから、胴体(お腹や背中)も
しっかりと触ってあげるのが大切なのです。
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子どもは、胴体を感じるのが
非常に難しいと、私が思うのは、
幼い子供は、まず、
タコ人間を描きやすいから。
(学術的には「頭足人」)
わたしの息子がよく描いていたタコ人間(赤い線で描かれています)。
頭から手足がにょきって出ていて、
胴体がない人間像です。
胴体を意識できていないから、
胴体を描くという発想がないのです。
「お腹はどこ?背中はどこ?」
って聞いたら、知的には答えられるのです。
でも、
普段は胴体を感じ取れていないから、
タコ人間(胴なし人間)を描くのです。
ところが、内面の成長とともに、
タコ人間は描かなくなっていくのです。
胴体のある人間像を描きはじめたら、
その子は胴体の存在を、感覚でとらえられた証拠。
自分は胴体のある人間だというボディーイメージが
子どものうちに定着したのが分かります。
*
冒頭でもお伝えしたように、
息子が4歳を過ぎた頃から
ぶつかることが少なくなって、
大きな変化があったとお伝えしました。
まさに、描く絵が劇的に変化していたのです。
こんな絵を描くようになったのです。
先ほどのタコ人間との違いが分かりますか?
胴体を描くようになったのです。
この絵は、
自分の体には胴体が存在しているんだということを、
感覚を通して学んだということを教えてくれます。
つまり、ボディーイメージがついてきた証拠。
ボディーイメージが発達してきたら、
自分の体の形、大きさ、長さを
感覚で捉えられるので、
体をぶつけることが少なくなります。
息子も、この絵を描くようになってから、
体をぶつけることが少なくなりました。
わたしが初めて、息子が胴体を描いたのを見た時、
感慨深いものがありました。
内面の成長を目で見える形で
示してくれたのですから。
*
子どもを優しく触る。
子どもを抱きしめる。
このことが、
子どものボディーイメージを育てます。
自分の体が存在していることと、
自分の体の大きさ、
空間における自分の体の位置を
感覚でとらえられるようになります。
これは、肉体的な理解です。
そして、この力は、子どもが成長した時に、
社会的に自分自身を理解することにつながります。
人間関係や社会において、
人間としての自分の器の大きさや、
人間関係における自分の立ち位置といった、
目ではみられない自分の姿を、
感じとることができる力に繋がっていくのです。
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