見出し画像

雨の日に「にじみ絵」はいかが?

雨が続くと子どもたちは室内遊びが中心となるので、だんだん遊びに飽きてきて機嫌が悪くなることもあります。そんな時は、絵の具と筆を渡します。色は赤・青・黄の三原色のみ。水彩画用の紙を水に濡らし、そのうえで筆を走らせます。この記事では、ご家庭で「にじみ絵」を行う時のポイントを3つ挙げてみます。

①生きた絵を楽しむ
何か物を描くというよりは、色の混ざり具合を味わうのが「にじみ絵」です。水で濡らした紙の上に色を置くと、色と色が混ざり合いながら、新しい色が生まれます。そして、色がゆっくりと動いていくのですが、そんな「生きた絵」のを楽しむが本来の目的です。せかせかした気持ちでは味わうのが難しいので、落ち着いた雰囲気と静けさが必要です。

また、「日本の子どもはあまりにも早く形のあるものをかきすぎる」※1 という指摘がある通り、幼児さんでも何かを描写する傾向が強いのです。例えば、人間や車の形を描こうとするのです。ところが、にじみ絵の本来の目的は「何かを描く」のではなく、「色と色が混ざっていくのを楽しむ」ものです。ですから、にじみ絵を描く際、どうしても形を描いてしまって色を楽しめないお子さんが多いのですが、にじみ絵の回を重ねるごとに、色を楽しめるようになってきます。

にじみ絵を描いているうちに、子どもは色に包まれます。この「色」そのものが力を持っていて、子どもに力を与えます。時には子どもを癒し、生命力を高めます。ルドルフ・シュタイナーはゲーテの色彩論をもとに、それぞれの色に備わっている力について語っています。この色が持つ力をシュタイナー教育でも活用していますし、アントロポゾフィー医療では色を治療で用いることもあります(色光療法)。

②感覚遊びを始めたらおしまい
小さなお子さんは、筆を持って描いているうちに、「感覚遊び」になっていることがあります。「感覚遊び」というのは、手で持っている筆が紙と触れ合う際、体に伝わってくる感覚を楽しむというものです。子どもには「感覚遊び」がとても必要なのです。ところが「にじみ絵」の本来の目的のために、「にじみ絵」の間は「感覚遊び」に陥らないよう配慮が必要です。子どもが筆をとても強く押さえたり、ポタポタとしずくを落として遊ぶような「感覚遊び」を始めたら、その時にはそっと「にじみ絵」を終わらせます。

③親はつべこべ言わない
にじみ絵を描いているお子さんを見ている親御さんが、「何描いているの?」「綺麗な色だね」「すごーい!上手!」「ここにも書いたら?」って、話しかけることがよくあるのです。描いている途中で感想を伝えたり、指導をされる方がおられるのですが、これは色に集中している子どもの邪魔になります。何も言わず、静かに横にいてあげてください。

にじみ絵は、水彩画用の絵具でしたら何でもいいのですが、シュトックマー社の絵の具(色番51ゲーテレッド、色番55ゲーテイエロー、色番59ゲーテブルー)が、色と色が混ざりあったり動きが出来やすかったりするので、私はずっと使っています。何よりも色がとても綺麗なのです。画用紙は、水彩画専用の紙を用意すれば、描いている途中で紙が破れる心配もありません。雨の日々が続きますが、ご家庭で「にじみ絵」をしてみてはいかがでしょうか。

※1「子どもの絵の発達〜人類の発達やプリミティーブ・アートとかかわって〜」島崎清海著、文化書房博文社

サポートされた資金→ 新しい経験→ noteで、みなさまと共有させていただきます。