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ジョセフ・シード・オン・ツアー!【ファークライ3作品感想】

はじめに

この記事はファークライ5・ニュードーン・6のネタバレを気にせず書いた記事です。


 君は「嫌いなキャラクター」がいるか?

 筆者は割と好きよりも嫌いが目立つタイプだ。足手纏いな味方、執拗な説教をする長老、こちらに行動制限をかけつつ己は自由に戦う敵…などそのバリエーションは多岐にわたる。そして、そんな筆者があらゆる創作物の中で最も嫌いなキャラクターは、Far Cry5のジョセフ・シードだ

 5のエンディング(3種類ある)はいずれも彼の手のひらの上で踊らされる内容であり、それが気に入らなくて、最近まで製作会社であるUBIのことをうっすらと嫌っていた。

ジョセフ・シード

 しかし いざUBIのゲームであるアサシンクリードやウォッチドッグスをやったところ楽しく遊べたので、ふと思った。「今ならファークライへの感じ方が変わるのではないか?」と。
 そういうわけで5→ニュードーン→6の3作品を改めてプレイした。


 筆者はアメリカの田舎町でイカれたカルト集団とドンパチする!というコンセプトに惹かれて 発売当時に5を購入した。
 そして5のラスト、核爆弾の投下により楽しかった全てが終わったのがトラウマだった。
 最近 ふと「ニック・ライっていいキャラだったよな…」と検索したところニュードーンで普通に生きてることが発覚したため若干トラウマが軽減したのもきっかけのひとつである。なんで生きてるんだよ。

 更に6では「ジョセフの崩壊」というDLCが遊べるらしい。本当に崩壊するなら見届けたいところだ。




Far Cry5

当時パッケージで買ってた

最後の晩餐をパロディしたパッケージがイカす。

 発売日以来久々に5に触れたが、感想としては手触りが非常に面白い。このゲームは

  • 何をしてても突如連行される強制イベント

  • プレイヤーの努力を嘲笑うバッドエンド

という致命的すぎる2つの欠点を抱えているが、その2つさえ乗り越えられれば最高のゲームだと思う。

 そしてもう欠点をわかった上でプレイしているため、拠点で会話していようがスカイダイビングしてようが強制連行される仕様は逆に笑えた※し、エンディングについても こういう後味の悪いものがあってもいいかな…と許容できた。

※ 未発見の目的地に移動している最中に連行されて、装備を最適化していないのに戦闘イベントをやらされ、全く別の地点にリリースされ当初の目的を忘れる…などかなりイライラさせられる要素ではある。心を広く持て!


フォトモードなんかあったっけ!?

 この空気感がわかるか?照りつける太陽、自然と調和するアメリカの田舎町……広い道路、広い農場はロケーションとして魅力的だ。

仲間が運転してくれるところが好き

 当初プレイした時はGFHは動物固定にしていたが、今回プレイでは人間を積極的に採用した。GFHは2人まで選択できるのだが、組み合わせによる会話がある。また人間の仲間はロケーションやイベント進行ごとに喋ってくれる。皆がホープカウンティーの地元民で、皆がこの現状に思うところがある。道中がとにかく楽しいし、1周目では知ることのできなかったGFHの作り込みの凄さを感じた。

 ダッチおじさんのセリフやジョセフのムービーも、どの幹部から殺すかによって分岐しており(おそらく…)、割とリッチな作りをしている。例えば戦う場所が固定されないジョンの死亡ムービーの背景が彼が殺される場所によって変わるような細かさもある。


◆ 黙示録の四騎士 

間引きおじさんのケモナー養成塾

 久々のプレイであるため、覚えていることも忘れていることもあったが、ジェイコブの迷路の道順を完全に暗記していたことは誇りだ(と見せかけて何度もやらされるので「そりゃ覚えるよな…」になった)。逆にフェイスの地区はほとんど記憶になかった。

 さてこのゲーム、人間GFHの半数がバカかつ結構サブクエもバカげたものが多い。牛の睾丸祭りだの、犬の糞から鍵を探せだの、男狩りがしたいだの、デカいかぼちゃを銃でバンバンだの、鹿を車で轢殺するだの、信者と乱闘する映画を撮るだの……基本は明るい雰囲気で進む。

一方でストーリーイベントはしっかりとサイコスリラーをしており、そのギャップが壮絶だ。ジョンに脅されるムービーなどはかなり怖かった。この愉快さとスリラーのごちゃ混ぜ感にはホステル1のような良さを感じる。このバランス感覚はなかなか他の作品では味わえない。

クソバカポスター

 飛行機の操作性が難しく、ニックのクエストとか本当に昔突破したのか!?と昔の自分を疑ったりもした。そういう意味で最難関だと認識していたジョン戦をまさかの2回目で突破、狂喜乱舞した。

アメリカ最高!


 さてジョセフだ。ジョセフ戦自体は洗脳された仲間たちを正気に戻しつつ、集団でジョセフを叩くという 四騎士戦の中では最も簡単ながらも展開は王道という、けっこう好みのラストバトルだ。問題はその後である

突如降り注ぐ核爆弾

 勝負がついたかと思われた瞬間、ジョセフの預言通り「終末」…核兵器の投下が一帯を襲う。このシーンはゲームに裏切られた怒りよりも、恐怖が先行した。閃光に視界を奪われながら、あるいは味方の狂乱する声を聞きながら、必死にバンカーまで車を走らせるシーンは、本能に訴えかけるような恐怖を感じた。当時戦死する夢を見まくったのも不思議ではない。

 バンカーでは待ち構えていたジョセフによってダッチが殺害されており、プレイヤーはジョセフが正しかったことを知り、彼を「ファーザー」として崇めるようになる。
 クリア後のメニュー画面は、見慣れたホープカウンティの風景が戦火に焼かれ灰となった映像だ。筆者は当時これに強烈なトラウマを感じた


 その他のエンディングも、「最初にジョセフを逮捕しないジョセフの一人勝ちエンド」に「最後にジョセフを許し、己も赦されるものの もう洗脳されきっているため狂乱して仲間を殺害してしまう」というバッドエンド揃いだ。ある程度納得はできるものの、ジョセフが正しかったとしても ジョセフにしっかりとトドメを刺せる分岐が欲しかったと正直思う。
 ただ、カルトの横暴に対するレジスタンスの反発は度を過ぎていると感じるところもあり、暴力に陶酔したプレイヤーへの罰を描きたかったのかもしれない。特にUBIのゲームはその勧善懲悪すぎる作りに反感を覚えることもあったので、こういうエンディングも悪くないかもしれない。

 あまりそういう視点で評価したことはないが、鬱ゲーとして見ると結構良質なのかもしれない?先述のとおり、バカシーンとサイコシーンのメリハリは随一だ。


◆  アーケード

「でもこのゲーム、ジョセフタワーを作れるからな…」

 5の一番の特徴とも言えるのがアーケードモード!自分でステージを制作したり、他人が作ったステージを遊ぶことができる。本編も遊びの幅が広く、クリア後も楽しめる要素が多くあるが、アーケードの存在が5を最高のゲームに仕立てていると思う。

 真面目にレベルデザインをすることもできるし、ジョセフを殺害しまくって鬱憤を晴らすこともできる!

ジェイコブの素敵なお店屋さん

 やりようによってはジオラマを作って遊ぶこともできる、かなり自由度の高いモードで、この要素は非常に魅力的だと思った。ステージ作成はかなり練度が必要だが…。

 筆者はプレイ中にちょうどアーケードをやりこんでいる方に売り込まれて、その方の作ったステージを遊べたのがいい思い出だ。自分でレベルデザインをできるというのは本当に面白い。

 結果的にジョセフに対して、昔よりは嫌な感じはしなかった。というかきちんとカリスマのある魅力的な悪役ではある。
 しかしプレイの全てを彼に掌握されているのはいい気がしない。あと鼻水流しているムービーが嫌。



Far Cry New Dawn

 ナンバリング外のやや小粒な作品で5のファンディスクのような立ち位置らしい。つまり核汚染後のホープカウンティーが舞台となる。初めて会うNPCは5の崩壊の日に誕生したニックの娘であり、5の十数年後を舞台とした作品であることがわかる。

 本作はポストアポカリプスな舞台設定となっており、Falloutファンである筆者は存分に……

これが核戦争後の世界!?

 …とあまりに美しい景色に面食らったが、そういえば核戦争が起こったのではなくホープカウンティに核爆弾が落とされただけだった。そうだっけ?ホープカウンティの外は、アメリカ国外の被害はどんなもんなんだ?わからない。作中にもあまりヒントはない。

 被害がアメリカ全土レベルではないのであれば、預言者ファーザーは呑気にバンカーや物資の準備をするのではなく、ホープカウンティから信者を連れて逃げるべきだったのでは…と思ってしまうので 世界的に核戦争が起きたものだと思っていたが…

 というわけでポストアポカリプスに対する解像度が低いというか、「崩壊世界ものをやりたい!」という熱意をあまり感じなかった。一応ブレードランチャーという素敵武器はあるのだが、アポカリ武器はその程度で なんというかピカピカの武器で普通にFPSをやっている。

 いい点としては犬が車に乗れるようになったこと!しかしGFHは1人しか連れ歩けなくなっており、またAIが弱化したようでステルスタイプのGFHがあまり仕事をしなくなった結果、バーサーカーであるショットガン牧師(こいつこんな好戦的なキャラクターではなかっただろ)と、不死身の弾丸ホレーショーばかりを従えていた。

 5のキャラクターがどうなったか?の痕跡を辿るのは楽しかったが あくまでそれは続編としての楽しさであり、本作を独立した作品として楽しめたかは微妙だと思う。

 おそらくファークライは「悪役の魅力を押し出したシリーズ」なのだろうとここまで遊んできて把握したが、本作の敵であるミッキーとルーの双子はあまりに魅力に欠けている。
ウザいんだよ!とか言いながら主人公を蹴るがなんかムービー中で返り討ちにあう、特に信条の見えないボス、魅力的に描けているか?

2色のグレネードを投げるシーンは好き

 あと装備や敵に1〜4のランクが分けられているのだが、このレベルデザインが大雑把で、ランク差のある相手に挑むのは基本的に無謀となっている。最終戦時にランク3の武器で揃えていたが双子に全く歯が立たなかったが、武器のランクを上げたらあっさり突破できた…そういうゲーム性だ。
 そして高ランクの装備を整えるためには同じ拠点の制圧を繰り返す必要があり…難易度調整による面白さはあるが作業的で楽しめなかった。

 宝探しは前作よりも凝っておりかなり楽しめたのだが、数が激減しているため物足りなさを感じた。


◆ 前作主人公

前作主人公がしっかりジョセフの信者になって登場した。

 GFHのリストで事前に見て「いい」と思ったキャラクターが、バンカーの手記を見る限り「こいつ5の保安官だな…」と発覚するという、なんとも、なんともな展開だ。

ジャッジくん

 複雑な思いはある(ファーザーに屈してほしくなかったというか、筆者は屈していない)が、結果としては愛着を持って接することができたと思う。
 ところで5の主人公を、一周目では男性にしていたので今回は女性にしたが、ジャッジは女性とは思えなかったので失敗した。


◆ ジョセフの顛末

 さて このゲーム、中盤からジョセフに乗っ取られてしまう。ニューエデンに立ち寄る際、ジョセフの幻覚に導かれるパズルパートは筆者は楽しめてはいたが…。FPSゲーマーはどうなんだろうか。

こんなにあっさり会えると思っていなかった

 最後にちょっと姿を現すだけかと思われたジョセフにすんなり会えてしまう。その後ジョセフから祝福を授かり、なんと超能力が使えるようになる。この要素は賛否両論だろうが 個人的にはダブルジャンプが快適だったので好き。

 この時点での批判は2点で、「イーサン(ジョセフの息子)がジョセフの噛ませになるのが目に見えているのでジョセフ登場前にもっと描写を補強して欲しかった」要望と「エデンズゲートは自然派の宗教団体じゃなかっただろ」というツッコミ。

 前者については、ジョセフに会う以前に イーサンが一人残された中必死にニューエデンをまとめて苦労していることがわかるイベントでも描写されてればな…と残念に思う。
 後者については…もっと過激で残虐で技術兵器をバンバンぶっ放す団体だっただろ何今更カマトトぶってんだと怒りが湧いた。「今の教団を見たらジェイコブはどう思うだろう」みたいなメモもあった。


 イーサンは特に掘り下げのないまま「案の定」な方向に進み、主人公に殺害される。

 ニューエデンの信者たちのほとんどを失い、祝福を受けたくて暴走した実の息子:イーサンを亡くし、ジョセフに解き放ってくれ(=殺してくれ)と懇願されて終わる。プレイヤーはジョセフを殺害してもしなくてもいい。筆者は分岐による違いを調べてる間に殺害しないことになって終わった。ただジョセフにとってはここで殺害されない方が苦しいだろう。ジョセフのその後は描かれない。

 晴れてジョセフとの因縁にケリをつけることができたわけだが ニュードーンの趣旨は絶対そんなところにはないので溜飲が下がった気がしたが気のせいだった。

 5で「妻が命懸けで産んだ娘の息の根を止めた」話を神聖な行いのように語るジョセフが印象的だったため、いろいろを失い追い詰められた果てとはいえ 放任していた息子が死んだだけでここまで狂乱するか?と感じるところもあった。
 ジョセフに対してイマイチ白い目を向けてしまうのは、彼の信仰が架空の宗教であり その教義が漠然としか語られないので理解しきれない という部分が大きいのではないかな?と思う。本作ではかなり信者側の内心も見ることができるが、もともとそんな宗教だったか?と疑問に思う点も多い。エデンズゲートとニューエデンは別質の教団じゃないか?

イーサンとジョセフ
イーサンのこういう内面は良かった

思いっきり既存の曲!!



Far Cry6

 ヴィヴィロ・タバコという癌治療薬を武器とするカスティロ政権と戦うゲリラの話。元々はDLCのみを目的としていたので、本編は軽く流すつもりだったが シナリオもゲーム体験も良かったので想定外に楽しめた。熱い気持ちは別の記事にて。

 私はアメリカが好きなのだと思っていたが、キューバが舞台のFPSも楽しめたので案外好みが広いのかも知れない。ビーチ小屋が並ぶ海辺の集落からビルがひしめく都市まで、ロケーションはかなり楽しめた。

 システム面で良かったのは、敵の死体の上を通れば弾薬回収できる事(長押しは絶対要らん)と、いつでも武器を変更できる事!これによりさまざまな武器を試すモチベーションに繋がる。本作では特にスプレーモやリゾーバーという個性的な武器が多数登場するため、いろいろ試せて非常に良かった。NDの武器はあんなに個性が無かったのに…。

 ヘリ見た瞬間武器庫からロケットランチャーを取り出すとか、敵に発見された瞬間サプレッサー付きのピストルから持ち替えるとか。前作までは武器が変更できない事も含めてレベルデザインなのかもしれないが、筆者はこっちの方が好きだった。


 非常に楽しいゲーム体験であり、作品を推す文章は上記のnoteで既に書いてしまったのでその後について。端的にいうとマキシマス・マタンザスの地区が一番楽しくて、期待も大きくて、しかしそこが山場だった。

 最終盤に装備固定!警報鳴らされたら終わり!というファークライらしい自由度のステージがあるが、クララが結局死ぬのでじゃあ警報鳴らされてクララが死ぬんでも同じだろという虚無感がすごい。ここまで苦労させるならせめてこの場では射殺しないで欲しかった

 最終ステージはこれまで仲間に引き込んだ人々と共同して戦線を押し上げる非常に盛り上がる展開だった。しかしこのゲームにはラスボス戦が存在せず、アントンがディエゴを射殺し、己も自殺して幕を閉じる。一つのエンディングとしては非常に好みだが、ゲームとしてはどうしても物足りなさを感じてしまうのが本音だ。というかもっと悪辣なエンディングを覚悟していたので拍子抜けしてしまった。

マリアの死はどう見てもこっちが悪者だろとか、ダニーは既に毒に侵されているとか、国内は革命の成功で盛り上がるが、国外の世論は「現地で虐げられている人なんてどうでもいい、癌治療薬を作ることが正義」という調子で世界中が敵でその断絶に落胆するとか、そういうのを期待していた。

 ただ本当に拠点を攻めるのも、宝探しをするのも、各ミッションのドラマも、レースも、闘鶏も、武器改造も 全てが楽しかった。この世の物とは思えない気の狂い方をしている鳥こと「チチャロン」の勇姿だけでも 全ゲーマーに味わってほしい。飼い主の腕がチチャロンのせいで無いのがキュート。チチャロンを讃えるためにグラフィティを描くのは人生でも最高の体験だ。

 どうでもいいけど女ダニーの吹替がサイパンのT-バグでめちゃくちゃ嬉しかった。筆者はかなり声の聞き分けが苦手なのだが、この声は一瞬で分かった。これが愛だ。


◆ ジョセフの崩壊

 そして本命のDLC!3作連続でジョセフを描くとかどういうことやねんと思っていたが、ジョセフが特別ピックされてるわけではなく 3〜5のボスのDLCがそれぞれある。3を最高傑作と称える声をよく耳にするためいつか遊びたいと思っていたが、見る限り4のボスが一番好みな気がする。

黄金の手のビジュアルがいい

 DLCの内容は ジョセフが神(今まで啓示を与えてきたのとは別の存在?)の声を聞きながら、ホープカウンティを駆け回り、己の過去の行いや未来の行いと向き合うというもの。このジョセフは5の後の時系列の、兄弟を保安官に殺害された後のジョセフだ。

 基本的にジョセフは己の行動が間違いであったことを突きつけられることになるのだが、ジョセフを嫌いな立場からしても 信仰を貫き通して欲しかったし このショートストーリーを通じて何がしたいんだ…という気分で遊んでいた。他のボスも自己否定的な内容なんだろうか?ボスのファンは自省する彼らの姿を求めていたのか?

 個人的にNDで最もひっかかっていたのが子に対する愛情の都合の良さだったので、未来の息子の死の悲しみを通じて5で話していた「自ら息の根を止めた娘」について悔いてる姿が描かれていたのは意外だった。

未来の息子を抱えながら過去の娘の話をしている
5からは想像できない姿

 まさに描いて欲しかった部分でありながら、NDで描写するとノイズになるものだったので こういう形で補強されたのは良かった。

私と同様にNDを見て批判する人が沢山いたんだろうか?

 個人的に子供の死に対するスタンスについてはドライなのが、あるいはウェットなのが良い/悪いではなく「どちらかに統一してくれ」という考えだ。

ジャッジの踵落とし!

銃を捨てろ!!弓を撃て!!!!

 敵として兄弟の他にピックされてるのがジャッジ(5主人公)とジェローム牧師だった。
 ジェローム牧師……5を遊んだ時は「脇役のひとり」という印象だったが、ホープカウンティにいるもう一人の宗教家であり 本来結構重要な役回りだ。5のPVでもかなり主役級に抜擢されている。だがこれは筆者が構造の機微を読み取れなかったというよりは5の描写不足に感じる。とにかくここに来てようやく牧師の存在の重要性に気付いた。

磔ジェイコブ
ジョセフ&ジョセフ

 DLCを通して魅力を感じたのは前述のイーサン周りと、改めてジョセフの兄弟への愛が表面化されたことだった。5では描かれなかった兄弟たちのちょっとした回想はいいスパイスだ。ここまでくるとフェイスが実妹じゃないのがもったいなく感じる。まあ外野だからこそ生み出せるドラマもあるのだが…。

 あとグラップルキルが聖書でカチ割りなのが良かった。


◆ ローグライトFPSって…

 前々からUBIのDLCの価格には懐疑的である。値段の割に満足感がないなと感じることが多いが、まあ適正価格や相場については個々の感覚によるところが大きい。筆者はチチャロンのDLC衣装を2つとも購入したが それについては安いもんだと思う。

セクシーなの
キュートなの

 このDLCも価格(2000円程度)の割にトロの部分は2時間程度で味わい尽くすことができる。本編とは独立した存在であり、戦闘の結果に応じて本編にジョセフの衣装を持ち帰れる程度の恩恵しかない。
 だが、2時間程度しか遊べないかと言ったらそうではなく、このDLCはローグライトから着想を受けており、ジョセフを強化しながら徐々に高難易度に挑みスコアアタックすることができるのだ!筆者はこれを見て「ローグライトをバカにするのも大概にしろ」と思った!

 ステージやイベントのランダム性の薄いこのDLCにおける周回はNDの拠点襲撃の仕様とほぼ変わらない。自機を強化しつつ同じステージを周回するだけのプレイ体験を「ローグライト」と呼ばないでほしい。ランダム生成マップとか、拾うだけで戦略性が大きく変わる武器とか、ビルドの自由度とか、何度プレイしても飽きない新鮮な体験とか、ローグライトって、もっと、なあ!!!?

 はっきり言って「周回するにはイベントが間怠い」という致命的な欠点もあり、かなり中途半端なゲームだと感じる。このDLCの売りは「ローグライトFPS」じゃなくて、「ジョセフのおもしろフォトメーカー」だろ!?

かっこいい〜
表情も弄れるのがまずいと思う

 ジョセフよりもこのゲーム性をローグライトで誤魔化そうとするUBIの姿勢が嫌いかもしれない。



総括

 改めてジョセフ・シードと向き合って、彼のキャラクターを咀嚼しようとしてどうだったか?

 魅力は確かにある。5の騎士を撃破するごとに挿入されるジョセフのムービーは鬼気迫るものがあった。好き嫌いは抜きにしてもそのカリスマ、その存在感は本物だ。爆弾が投下される中一人歌を口ずさむ姿は狂気そのものだった。
 しかし後続の作品では彼のカリスマ性を傷つけるような描写が目出ち、ファンは人間らしい部分よりも神聖さを貫き通して欲しかったんじゃないかといらぬ心配をしてしまう。5のジョセフが最も良くてNDと6DLCの描写はほとんど5に反感を持ったプレイヤーに対する言い訳のようで 蛇足だと感じた。どちらかというと開き直って狂気のカリスマで圧倒してほしかった。

 結果として好きになれたかと言えばかなり微妙で、ただ「5のエンディングって意外と悪くない」と思ってしまった以上さほど嫌悪感もない。

 でも自分に「一番嫌いなキャラクター」がいるという事実が面白いので今後も一番嫌いなキャラクターということにしておきたい。そんな感じ。まあなんにせよファークライは面白いのでみんなやってみよう!!!




 ジョセフを許容すると、術による戦略が肝のゲームにおいて術をいかにもな理由で禁じつつも己は術を使いまくる罪で投獄された光無ノ刑人が待っており、こいつの評価が覆ることは絶対にないためある意味ジョセフより最強の存在だ。

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