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【解説動画付き】勝負はたったの5分!?犬の心肺蘇生法!!

みなさんはわんちゃんの心肺蘇生法はご存知ですか。

わたしはこの記事を書いている2020年05月時点で
医療従事者として
人間の病院で働いています。

当然ですが心肺蘇生法についても
しっかりと勉強してきました。

そして犬の看護学を勉強して
犬の心肺蘇生法も勉強しました。

人間と犬の心肺蘇生法の間には
同じようで少し違いがあります。

また人間の医療の考え方が
少し遅れて動物の医療で広がる
ということもよくあることです。

なので今回は人間の医療の現場で得た知識や経験を
動物看護の知識に応用させて
犬の心肺蘇生法について解説していきます。

1.心肺蘇生法の重要性

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もしも心臓が止まったり
呼吸が止まった場合(心肺停止)

1分たつごとに命を救える確率は7〜10%下がる

と言われています。

この5分以内に心肺蘇生をしないと
生存率が下がる
だけでなく
命を救うことができたとしても
脳に重大な後遺症が残ってしまいます。

なので
心肺停止状態になってから5分以内が勝負
だと言われています。

つまり正しい心肺蘇生法を知って
万が一わんちゃんの心肺が停止しまった場合には
1秒でも早く蘇生してあげることが必要になります。

2.具体的な心肺蘇生法

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①犬の反応をみる

まずは犬の反応をみます。

声をかけたり
体を大きくゆすったりして
反応を確かめてください。

反応がない場合は次に進みます。

②呼吸・脈を確認する

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犬の呼吸を確認します。

お腹が動いているか
手を鼻に当てて呼吸が感じられるか
を確かめると比較的わかりやすいです。

呼吸があれば落ち着いて動物病院へ連れて行きましょう。

犬の呼吸が確認できない場合は
脈を確認するか蘇生を開始
します。

犬の脈を見るのは
通常時でも慣れてないと難しいです。

なので一般の飼主さんにオススメなのは
心臓に耳を当てて聞いてあげる方法になります。

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心臓の位置は
犬の肘が体にくっつくくらいの高さにある
と言われています。

そこを参考にして
おうちのわんちゃんが
どのあたりで心臓の音がするか
確認しておくと良いですね。

もしもわからない場合は
確認している時間がもったいないので
すぐに心肺蘇生を始めるようにしてください。

心肺停止の場合に1番大切なのは時間です。
1秒でも早い蘇生が命を救うことを
忘れないでください。

③心臓マッサージ!

気道確保や人工呼吸を
先にするように指導するところが
多いと思います。

しかし私は
一般の飼主さんの場合は
気道確保や人工呼吸を省略した方が良い
と考えています。

この理由については後で説明しますね。

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心臓マッサージについてですが

1)わんちゃんを横向きに寝かせます。

このとき
左側を上にするのが理想
と言われていますが

ここも一般の飼主さんは
あまり気にせずに
とりあえず横向きになっていればOKです。

ちなみにブルドックのような
大きくてタル型の体型のわんちゃんの場合には
人間のように仰向けの方が安定します。

またチワワのように非常に小さい犬種の場合は
抱き上げた状態で手で圧迫することも有効です。

犬種や大きさに応じて対応してあげてください。

2)左手と右手をからめる(下図参照)

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3)肩・肘・手の付け根が地面と垂直に一直線になるように心臓の上に置く(下図参照)

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4)胸の圧迫を何度も繰り返す

わんちゃんの後ろ側から

小型犬で2〜3cmくらい
大型犬だと5〜6cmくらい
沈むように圧迫します。

そして圧迫した場所が元の大きさに戻ったら
また圧迫するということを繰り返します。

100〜120回/分くらいを目安に
絶え間なく繰り返す
ようにしてください。

犬種や大きさによっては
もっと大きく圧迫した方が良い場合もあります。

ここで大切なのは
絶え間なく繰り返すということです!

心臓マッサージを継続しながら
周りの人に助けを求めて
動物病院に連絡してもらう
ようにしてください。

その後は
動物病院の指示にしたがって行動してください。

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心臓マッサージでよくあるのは
骨折しちゃうんじゃないかと心配になることです。

人間の医療現場でもよくある話なのですが
骨折してでも命が助かる方が大切です。

骨折は治りますが、死んだらもう2度と治りません。

わんちゃんの命を守るために思い切っていきましょう。

【注意点】
心臓マッサージはとても疲れる行為になります。
疲れた状態で続けていくと

圧迫→戻す→圧迫

という流れが
しっかりとできなくなってくることが
よくありますので

もしも交代できる人がいれば
こまめに交代して心臓マッサージを
してあげてくださいね。

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3.気道確保と人工呼吸

ここまでが私が推奨する心肺蘇生法になります。

わたしは一般の方であれば
気道確保・人工呼吸を
省略した方がいい
と考えています。

ここから気道確保・人工呼吸を
なぜ私が省略することをオススメするか
についても説明させていただきます。

①気道確保や人工呼吸をオススメしない理由

私が気道確保や人工呼吸をオススメしないのは
正しくやらないと効果がないだけでなく
気道がふさがって逆効果になってしまうこともあるからです。

また犬の口の中には
唾液から人にうつる病原体
がいることも考えられます。
(狂犬病ウイルスやパスツネラ菌など)

これらの感染症にかかってしまうリスクもあります。

さらに現在の人間の心肺蘇生法では
一般の方がやる場合には
気道確保や人工呼吸を省略して良い
となっています。

人間の場合も
感染症や実際におこなう人の抵抗感などで
救命処置が遅れることがないように
2015年に改定されたものです。

ここで勘違いしてはいけないのは
できるのであれば
気道確保や人工呼吸をやった方が良いということ
です。

ということで、ここからは
気道確保と人工呼吸の具体的なやり方
について解説します。

②気道確保

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1)口の中に何もないことを確認

もし何か入っていれば、取り除いてください。

2)口腔・鼻腔・期間が直線上になるように寝かせる

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写真は立った状態ですが
このくらいアゴをあげるイメージで
やってあげてください。

人と同じ感覚で顎を持ち上げるようにすると
上手くいかないことがあります。

マズルを引っ張るようなイメージで
やってあげる方が良いかもしれません。

このときマズルをつかんでも良いですし
キバ(犬歯)に指を引っ掛けて
引っ張ってもやりやすいです。

3)舌を口から出す

舌を出すときに引っ張りすぎると
気道がふさがってしまうことがあります。

口から軽く出すようなイメージでやってください。

③人工呼吸

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中〜大型犬の場合は
マズルを閉じて空気が漏れないように固定し
鼻の穴から空気を入れます。

小型犬や短頭種の場合は
鼻と口にヒトの口をかぶせておこないます。

入れた空気で犬の胸が膨らむのを確認してください。

心臓マッサージ30回したら
人工呼吸を2回する
ような形で
おこなっていきましょう。

心臓マッサージと人工呼吸で息を吹き返すか
病院に到着するまで続けていきます。

4.まとめ

今回は犬の心肺蘇生法について解説しました。

万が一わんちゃんが
心肺停止の状態になってしまったときには
迷っている時間がありせん。

すぐに蘇生措置をおこなってください。

気道確保や人工呼吸については
できる人はやってもらった方が良いのですが
感染症や自分のスキルを考慮して
無理をしないようにしてください。

そして必ず
動物病院に連絡して指示を仰いでくださいね!

大切なわんちゃんを守るために
心肺蘇生法を覚えておくと安心ですね。

最後に解説動画も添付しておきます。
今回の記事とあわせて見てもらえると
よりイメージが具体的になると思いますので
是非ごらんください!

という事で
今後も愛犬のためになる情報を
発信していきたいと思います。
これからも応援よろしくお願いします!

最後まで読んでいただき ありがとうございます。 これからも一緒に わんちゃんの勉強できたら嬉しいです😊 もしサポートいただけましたら すべてわんちゃんのために活かしていきます!