磯野ー!TinkerCADで遊ぼうぜー!

「TinkerCAD」なるサイトがあります。
サイトですからソフトをダウンロードする必要はありません。
しかも、無料です。

3DCADなので、立体物の設計ができます。
しかも、電子回路だって作れちゃいます。

夢がある!ようにみえて、正直何作ればいいのかわからんもので、
やっぱり簡単に手出しできないものです。

が、これで電気・電子回路をラクに学べるかもしれません。
ちょっと例題とか作ってみました。
これを真似して電気工学のエッセンスを得れるかちょっとやってみてください。

因みに電気電子工学コースでは「工学演習Ⅰ」、「工学演習Ⅱ」で課題として使用されますので、否が応でもやらされます。

公式サイトはこちらから。

また、ログインの仕方などはこちらのブログを引用しました。



<初級編>回路を組んでテスターを使おう!

早速開けましょう。

回路を作る画面です。右に部品がたくさん。

まず電源を持ってきます。
乾電池にしますかね。

単三の1.5V(定電圧電源)です。
右上の設定に「何個直列にするか」、「単三か単四か」選べます。
単三を2個直列接続すると、1.5V×2=3Vとなります。

次に抵抗を持ってきます。

右上で抵抗の値をいじくる。今回は1kΩ。

これらを導線で繋ぎます。

始点と終点をクリックするだけ。上の欄で色とか変えれる。
線を引く途中に何もないところをクリックすると、
線を曲げることができます。

出来ました。
最後に「シミュレーション開始」ボタンを押して、電流を流すだけ。

何が起きたかわからん

ホントに電流流れてるんですかね?
これを確かめる方法は二つ。

〇LEDを直列接続
〇テスター(マルチメーター)で計測

まず、LEDを繋ぎましょう。

さっきの線を消そう。
LEDは極性(+,ー)があるので注意!

じゃあ流しましょう。

なんか暗い

パワーが弱そうなので電圧を上げます。
乾電池をクリックして4個直列にします。

で、シミュレーション開始。

さっきより明るくなりました。

次にテスターで測定。

こんなやつ。

ここで注意!教科書で書いてた電圧、電流の測定方法を思い出してください。

★電流計は直列接続!
★電圧計は並列接続!

電圧計は並列接続だからこうします。
マルチメーターのモードは電圧に。
抵抗にかかる電圧は1.5V。乾電池まんまです。


電流計なら直列接続。マルチメーターのモードはアンペア数に

電流計での測定値は、1.50mA.
オームの法則より、$${I=V/R}$$,
つまり、$${0.0015 [A]={1.5 [V]}/{1000 [Ω]}}$$
ぴったり合います。


<中級編>抵抗の式をやってみる

マルチメーターで抵抗の合成式が再現できるかやってみます。

直列接続の場合:合成抵抗$${R=R_1+R_2}$$
並列接続の場合:合成抵抗$${\frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}}$$
        すなわち、$${R=\frac{{R_1}{R_2}}{R_1+R_2}}$$

という式でした。

抵抗1kΩを用意します。
抵抗の端子にメーターの正の端子、負の端子を繋げます。
マルチメーターを抵抗のモードにしてください。

マルチメーターの値はちょうど1kΩです。

この抵抗をふたつ用意し、直列、並列にします。

直列:$${R=1000+1000=2000}$$[Ω]
並列:$${R=\frac{{1000}\centerdot{1000}}{1000+1000}=500}$$[Ω]

確かになりました。
シミュレーションだからなるっちゃなるんですけど。

<上級編>トランジスタを”スイッチ”にする。

最後にトランジスタを使います。電電コース2年後期の範囲です。

まず、以下のような回路を持ってきました。

トランジスタはNPN型バイポーラトランジスタとかいうやつ使います。
動作原理はこれを見てください。

つまり、

〇端子<コレクタ>と端子<エミッタ>間だけに電圧かける
 ☞電流は流れない

〇端子<コレクタ>と端子<ベース>間だけに電圧かける
 ☞コレクタとベースの間だけ電流は流れる

〇どっちにも電圧をかける。☞どっちも電流は流れる。

といった動きになります。

この回路で
コレクタとエミッタ間に予め電圧をかけ、
コレクタとベース間に電圧かける・かけないで、
コレクタとエミッタ間に電流は流れるか確かめます。

TinkerCADで組むとこうなります。

それぞれの電位差を測ります。
スイッチはボタンを押すとONになります。

さて、電流は二つの方向に流れていきます。
キルヒホッフの電圧則(電圧の合計)より、

2つの電流の流れをそれぞれA,Bとします。
それらで見る電圧則はこんな感じ。

と考えます。

スイッチをON・OFFしたらそれぞれの電位差はどうなるでしょう?

★スイッチOFFだったら(何もしない)

スイッチOFFのとき
LEDは真っ暗。つまり電流Aはほぼ流れてない。

ルートA:8.46V+0.00V+0.534V=8.994V(≒9.00V)
ルートB:1.67V+7.33V=9.00V
ぴったりキルヒホッフ電圧則と一致しますね。

最も電位差が高いのは、スイッチとトランジスタのコレクタ・エミッタ間です。
そしてルートBの抵抗は0Vです。これはスイッチ、トランジスタの抵抗に比べ、とっても小さいことを意味します。

ということは、これら2つはほぼ絶縁に近い「大きな抵抗」となっていると言えます。てか、絶縁です。

という訳で、双方ともに電流はほぼ流れていません。
だからLEDも消えてます。

電流計で見るとやはり流れてません。

また、ベース・エミッタ間はダイオードと仕組みは一緒です。
すなわち、そこの電圧降下は約0.6Vくらい。まあまあ一致します。


★スイッチONだったら(黒ボタン押してみた)

スイッチONのとき
なんかLEDがちょこっと光ってるでしょ?

ルートA:0.00V+8.29V+0.701V=8.991V(≒9.00V)
ルートB:8.97V+0.0199V=8.9899V(≒9.00V)
これもぴったりキルヒホッフ電圧則と一致しますね。

最も電位差が高いのは、AとBの抵抗です。
そしてスイッチは0V,
トランジスタのエミッタ・コレクタ間は19.9mVしかありません。
これはスイッチ、トランジスタの抵抗が通常の抵抗に比べ、とっても小さいことを意味します。

すごい逆転現象が起きました。
当然双方ともに電流は流れてますからLEDも光ってます。

確かに電流が流れてます。

因みにベース・エミッタ間の電圧降下は先ほどより若干大きい気がします。
電流がより多く流れたため、V-I特性で電圧値が引っ張られたのでしょう。


ここではスイッチでトランジスタをスイッチにしてるので、これだけでは有益な気がしないでしょう。
しかし、押しボタンスイッチの代わりに光センサーを使ったらどうでしょう?
光センサー(Cdsセル)は周りが暗いとスイッチがOFFになりますが、周りが明るいとスイッチがONになります。
これで人の手を離れ、自律的に機能し始めます。
壊れてないか電源が切れない限り、よほど触る必要はありません。
これは主にトランジスタでしかできない技です。
※ホントはリレーとか色々ある。



例題は以上です。
かなり基礎的な類だったのでつまらなかったと思いますが、
これらを習得すればけっこう面白く使えると思います。

電気の授業に活用するも良し。
工作の事前準備に使うも良し。
これで組んで「いける」と思ったらモノホン買って、
実物作るのもいいですしね。