YOSAKOIソーランの軌跡~想いを繋ぐ~prof.3田中亮輔(たなかりょうすけ)さん(第30回学生支部長)

インタビュー日:2021年9月7日

 北大の、チームは北海道大学”縁”¹⁾で学生支部の²⁾の何代目だろう(笑)。多分十何年目じゃないかな。その学生支部の支部長の田中亮輔です。それで、あだ名もいる?一応伝えるとみんなからはのーかんって呼ばれてます。

1)北海道大学”縁”:北海道大学のYOSAKOIソーランチーム。
2)学生支部:YOSAKOIソーラン祭りの発展をめざし、地域ごとにチームが所属する支の中で唯一、"学生"という繋がりで構成されている支部。学生チーム同士の親睦と交流を図り、学生の力を集結させ、YOSAKOIソーランを通して元気と感動を地域に届けるべく活動している。

YOSAKOIソーランとの関わり

 もともとは青森だけど生まれたのは札幌の病院で。生まれて1ヶ月札幌にいてそこから青森行って北大入学のときに戻ってきた感じ。母親がこっち(北海道)の人で夏休みとかには遊びに来てたりしてた、ってのもあって北大にしてさ。YOSAKOIソーランはまあ、知ってたっちゃ知ってたけどね。
 はちのへYOSAKOI³⁾てのがあって。見に行ったことはなかったんだけど幼稚園の時に1回やったことがある。だけどそれくらいで別に縁に入る気は全然なくて、1年生の時のツイート見返したら「縁には入らないけど新歓行ってきた」ってつぶやいてたわ(笑)。

3)はちのへYOSAKOI:はちのへYOSAKOIまつりのこと。公式ホームページ

北海道大学”縁”との出会いとその後縁の副代表として感じること

 なんか、よくある演舞に感動したりとかではなくシンプルになんか返事くそデカかったりとか謎の文化たくさんあるから。それは縁に限らずYOSKAOIソーランの文化なんだろうけど。「これは無理だな」と思っていたけどガチャピンみたいな先輩が「俺も苦手だったから気持ちわかるよ」て言ってくれて、「そうすっよね」みたいなことを話すうちにその先輩の家に遊びに行ったりして。結構軽いノリだったんだけど縁チケっていう仮入部のチケットがあって「書くだけ書かない?」とか言われて「入らなかったらもう家に遊びに来れないすか?」みたいなこと言ったら「そうだね~」みたいな(笑)。そんな感じのノリで縁チケを書いてそのまま入った感じかな。
 新歓ではYOSAKOIソーランの体験練習なんて1回もやらずに遊びの企画ばっかりやってて入ったらほぼ練習だったから「まじか」とは思って。体育会系だな~って。もちろん練習あるけどほかの学生チームに比べたら全然少ないっていうか、うまくないと出れないとかいうのはないから、隊列に関しても上手いと前とかいうのは一概にそうとは限らないから、うまくなくても前の人もいるし、練習でも「手の角度は何度だよ」とかいうよりも「もっと気持ちぶち上げようぜ」っていう感じの練習。YOSAKOIソーランをちゃんとしている人からしたら怒られそうな団体だけどね(笑)。

 YOSAKOIソーランだけの話でもないけど、YOSAKOIソーランの審査基準というか祭りのコンセプトがさ感動で測る⁴⁾じゃん。俺はほかのチームの人を見てても踊りがめっちゃうまいだけで感動するんだよね。ちゃんと「こうした方がきれいに見える」っていう風にちゃんと考えて相手を感動させられるように踊ってるんだな、っていうチームもあれば「俺らは踊りが下手でも全力で踊ることで感動を届ける」という方で勝負してるんだなってのを縁は見せたいね。

 縁の活動としてはスタッフと踊り子というのがいてスタッフが活動を作る人たちだから会議とかして活動を作り、スタッフと踊り子が全体活動として活動する感じかな。スタッフはほぼ毎日会議しているかな。(いい体制ではないので最近は改善されています。)全体活動は基本週4で活動しつつ帰省ウィークを設けてそれ以外は活動している感じかな。
 本祭の間みたいに「ちゃんと練習して演舞を見せるぞ」という時とかはきちんと週4で練習するけど、そうじゃない時、夏とかは例年だと毎週末いろんなところのお祭りに行ってたから練習があまりできない時もある。基本土日は練習か演舞披露だから土日は休みが基本ないね。活動は夜とか深夜になるからね(笑)。

4)YOSAKOIソーラン祭りの審査基準は、「心動かされ 感動するような演舞・表現であったか」となっている。

学生支部に入るきっかけとその後

 学生支部では例年4大企画をやっていて、3daysと本祭企画と1・2年生交流会とみちのくYOSAKOIで北人っていうのを作って、その北人は学生から人を集めて1ヶ月くらい練習して仙台に行って演舞披露するみたいなイベントがあるんだけどこの4つが大きな企画かな。1年生の時にみちのくYOSAKOIと3daysに、交流会と本祭企画は参加者として参加して3daysのときはスタッフで週3くらいで準備してたりしてたな。
 3daysを説明すると、道外の学生たちも集めて0日目は札幌の学生の家にホームステイとかして、初日に北大に集まって合宿所に行って2泊3日で合宿をして、3日目に雪まつりで3日間で練習した演舞を披露するというもので。
 その3daysに1年生の時に参加したことで縁の中だと学生支部にかかわりがあった方っていうのが1つ。
 学生支部ってもともと諸説とかはあるんだけど、「学生が集まって楽しいことしようぜ」みたいな感じで始まって、一緒に集まって練習も頑張ってみちのくYOSAKOIに行ったらめっちゃ歓迎してくれて騒いだりしたりして感動してそこから始まったのかな。そこからどんどん規模が大きくなっていって、学生支部が正式に誕生した感じかな。去年の学生支部の次の代を決めるときに「縁で誰行く?」みたいになって、元々関わりが多かったから俺が行くことになったかな。学生チーム同士だから顔見知りが多いと安心できるからね。

コロナ禍での活動

 対面禁止の期間はオンラインでやって対面OKになったら体験練習を3回くらいしたり、北大の中を探索したりしてたかな。その時に連絡先をもらうからラインの友達春だけで200人くらい増えたかな。去年は新歓は全然できずに連絡先だけでも30とかだったから難しかった感じだね。「YOSAKOIソーランやりたい」って言って縁に来る1年生は少ないからオンラインだけだとやっぱ弱くて。北大のように道外からの人が多いと「YOSAKOIソーランやりたい」って人がやっぱり少なくてね。まずは知ってもらって母数を集めなきゃいけないから大変だったかな。(自分から「YOSAKOIソーラン」と検索しないから難しい。)
 例年はビラ配りとかすることできたけど今年はできなかったからSNSやっていないと勧誘できないというのも大変で。母数も少ないしそもそもYOSAKOIソーランがどんな活動するか想像つかないうえで、今こういうご時世だから「活動できなかったら何もなくない?」みたいなイメージが多くて。
 踊る方も目の前に人がいるかどうかで違うというか、縁の場合、他のチームもそうかもだけど演舞は表現物であってチームによっては地域を伝えるという特徴がある作品(伝統芸能)を創ったりとか、日本のお祭りとかをテーマにして作品を作るところもあるし。縁の場合は年によるけど演舞を見てこういうのを感じてほしいというものを元に演舞とか作品を作るんだよね。縁は曲作りからやっていて、作曲するわけではないんだけど、「こんなのがのがいいです」っていうのを細かく伝えて作曲家の人に作ってもらっているんだよね。学生チームの振り付けは半々くらいだと思うんだけど。振付師に頼むところと、自分たちで作っているとことあって縁は自分たちで考えているんだよね。
 前提として誰かに伝えたいというのがあると思うから目の前に人がいるかいないのか、リアルタイムで反応がもらえるかもらえないかというのがやっぱり違うかな。3年生の代は普通に活動できていたから1年生の時の感覚を思い出しながら1年生の時の感じを味わって来年もそうしたいってのがあるけど、オンラインだとどこにいても見れるというのがいいところだと思うけど実際に現地でリアルタイムで伝えることができないっていうのがね。
 見る側からしても「生で見たいです」っていうのがスーパーライブ⁷⁾の時とかテレどまつり⁸⁾のときとかも結構コメントあったから見る側も踊る側も対面を望んでいるよね。
 「周りを巻き込みご機嫌な流れを作るサークル」っていうコンセプトのもとずっと活動しているからさ。縁は他のチームに比べてもいろんな地域との関わりが多いからさ、毎週1個とか2個とかお祭りがあってその地域でしか会えない人とかがいて、それもオンラインだとランダム性とかもないし。普通にお祭りに来てご飯を食べている家族のところに演舞していない時間に行って「お邪魔していいですか」って言ってその家族と話したりするみたいなたまたまな出会いが今は限られてきているし。
 それこそオンラインになってから自分の好きなチームが減ったりしていると思うんだよね。対面だと知らないチームとか見て好きになったりすることもあると思うしさ。偶然性とかもオンラインだと限られちゃうしZoom飲みとかしてても少人数だと楽しいんだけど大人数となると難しいからさ…。打ち上げの飲み会とかできなくてすごい寂しいんだよね。
 でもやっぱり対面の魅力ってたくさんあるしYOSAKOIソーランと対面はずっと結びついているものだと思うからさ、というよりもYOSAKOIソーランとオンラインの相性がめっちゃ悪いよね。(個人の意見です。)オンラインのメリットもあるけどオンラインでも生放送とオンデマンドがあってさ、オンデマンドはいつでも見ることができるけど同じものしか見れなくて、生放送はその時にしか見れないものが見れるから対面に近いものは感じるかな。対面の貴重なところはその瞬間でしか見れない表情とか動きがあるからやっぱりスマホで繰り返し見るよりもその瞬間しか見れないから見る側も踊る側も大事にしようとしてその現場にいるお客さんに届けるからこそ本気で踊るし見る側も本気で踊っているんだなと気づいてくれるからね。

8)テレどまつり:名古屋で開催されている日本ど真ん中祭りのリアル開催の代替策として実施したもの。

作る側としても祭りに関わることから感じること

 昔と比べたら作品のレベル自体がめちゃめちゃあがっていると思うし、それもあってコンテスト感もあるんだと思うんだけどね。コンテストなのか市民に愛されるお祭りで町を舞台に感動を届けるお祭りなのかだよね。コンテストにして切磋琢磨した方がいいという人もいるし、順位はつけるものではないだろって人もいるし。そこは俺も悩むこと多いんだよね。
 俺が悩んでいるのはチームで大賞取ることを目標にするのか違う何かを目標にするのかとか悩むこと多いな。
 縁はYOSAKOIソーラン(演舞の上手さ)を極めようチームとかではないから悩んでいるんだろうね。他のチームは部活みたいな感じでファイナルとか大賞を目指して作品を作っているところもあると思うしいろいろあると思うな。今年審査やるかやらないかってのも去年大通公園で開催できなかったからこそどうするかって話もあったしね。俺も参加者でありお祭りを創る側だからさ。難しいよね。参加者の声をもとにお祭りを作っているとも思うし、同時にお祭りを作る気持ちで参加してほしいというのもあると思うし。(参加者(踊り子)がいて祭りが成り立つという意味です。)
 もともと学生が始めたお祭りだし、長谷川岳さん⁹⁾がはじめとしたものだし「学生の力を届けよう」ってのがもともとのコンセプトにあったと思うから、今こうやって実委のみんないると思うからさ。前にZoomで学生を集めて話をしたことがあって内容をいうと何のために踊っているかはチームで話してほしいと。ただ踊れればいいのかというか何のために本祭で踊るかってところだよね。ただ踊れればいいなら自分たちでステージ借りてやればいいじゃんってなるし。去年今年できてないからそれで十分ですっていうチームもあるかもだけどもっと学生のできることというかパワーね。
 昔はさ、学生が発案したイベントでさ第1回とか全然チームもなくてだんだんチームとか地域の人が参加して持ったりして今のお祭りがあるしさ。新琴似天舞龍神¹⁰⁾⁾とか平岸天神¹¹⁾の人とか岳さんより10個以上歳が離れている人も参加してくれているからさ、そう考えるとすごいよね。普通に同年代が集まりそうじゃん。なのにここまで市民のお祭りになってきたからさ。昔と今の学生のパワーがさ、昔のことをやろうとすると難しい気がするのよね。昔と比べても大人のパワーが強いからね。

9)長谷川岳さん:YOSAKOIソーラン祭りの創設者。現在は参議院議員。
10)新琴似天舞龍神:札幌市北区新琴似を拠点に活動しているチーム。第28回では優秀賞を受賞した。公式ホームページ
11)平岸天神:札幌市豊平区平岸を拠点に活動しているチーム。過去大賞10回、準大賞10回の最多受賞チーム。公式ホームページ

地域貢献を果たすには

 YOSAKOIソーランって人づきあいが強いと思ってて。人づきあいでその人が何をやっているのかを見せてもらうのがYOSAKOIソーラン祭りだし1から話してもらわなくても4分半で見せてもらえる機会だしさ。そのために演舞があるしYOSAKOIソーラン祭りは人間関係がすごい大事だなと思うな。
 俺がチームの人と話してて「踊れたらそれでいい」って人も全然いるし代表クラスの人でもいるしね。どうしたら伝わるかなって考えたときにいくら話すよりも俺が感じてほしいことを体験してもらうことの方が早いんだけどそれを体験する機会が今ないからどうしようかなって考えているんだけどさ。百聞は一見に如かずと一緒で。「踊ることが楽しいんだけどその楽しさはお客さんがいてこそだよね」とか「かっこよく踊れたから楽しいんじゃなくてお客さんがそれを見て反応を返してくれるからうれしいし楽しいよね」ってのが最近できていないからさ。お客さんを目の前にした演舞もあまりできていないし。
 演舞をかっこよく踊れたから人とのつながりが増えるって言ったら過言だけど、そういう場を作る過程で共感してくれる人とかとの出会いもなかなかないからコンセプトでもある地域社会をなかなか実感することないよね。地域社会に貢献するためにはお祭りが愛されなければいけないし「今年も開催してほしい」という声の中開催するからこそ貢献になると思うし。反対派がいる中でやるのは貢献ではなく自己満になるからさ。YOSAKOIソーランのイメージってなかなか変えられるものではないし、反対派の人もいる中でその人たちからの印象ってなかなか変えられないからさ。なんとなく嫌いな人もいると思うしこの祭りがあったから嫌なことを経験した人がいると思うし。例えば踊り子は地下鉄で移動したりするから地下鉄の中でとかね。そういうところで嫌いになる人もいるしそういうのを挽回するのも大変だしさ。
 俺らからしたら普段生活しているところがああいう舞台になるのは日常であり非日常であるし特別な感じがするよね。踊り子からするとそういうところで踊れるし映像にも残るしで特別なんだよね。実委とか事務職の人はそれで喜んでくれるお客さんとか踊り子とかを見てうれしいんだろうなって。オンラインの場合も見ている人の反応を文字でにはなるけど受けることはできるしそれはそれでうれしいし直接言ってもらえるとより良いよねって感じだよね。

<要約>

お祭りとは、人が集まる場所であり、出会いの場、相手のことを知れる場である。特に偶然の出会いがチームや作品を作ることもあるし、チームや祭りが出会いを生むこともある。繋がりや趣味が人生を豊かにするということを各チームの拠点や、札幌市民といったまちの人に感じてもらいたい。そのためには、快く思わない人もいる現状の中で、愛される祭りでなければならない。関わる全ての人が気持ちよくなるよう、普段の小さいところから地域貢献は始まる。

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取材:YOSAKOIソーラン祭り学生実行委員会
北海道大学2年 市川裕次郎(取材時)
北海学園大学1年 勘川凌雅(取材時)




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