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YOSAKOIソーランの軌跡~想いを繋ぐ~prof.7外山重雄(とやましげお)さん、奥瀬健治(おくせけんじ)さん、村井優美子(むらいゆみこ)さん(平岸会場¹⁾担当)

以下
外山重雄さん→外)
奥瀬健治さん→奥)
村井優美子さん→村)

平岸会場の歴史

ーまず、いつからお祭りに関わっていたのかというところからお話を聞かせていただいてもいいですか?
外)何、平岸会場かい?

ーはい。
外)10年前からかな。

ーそうなんですね。
外)うん、俺はね。10年だね。
奥)俺はそのあとか。
外)5年くらいだね。

村)何について聞きたいのさ。
ー平岸会場の皆さん個人の、お祭りに関わってきたことやその経験の話を伺いたいんです。

外)各会場こうやって歩いてるの?
ーそうですね。会場の担当者さんだったり、支部長さんだったり、学生実行委員会のOBOGさんにも話を聞いていて。やっぱり色んな方が携わってはいなくなってっていうことを繰り返していくと思うんですけど、そういう中で今この段階で何か未来に残していけるものだったり、改めてお祭りについて見直す機会だったりを設けていて、お話を伺いたいなって思っています。

奥)やっぱり会場のことったらね、お金集め。始まる前から僕ら4人で、企業とか、だいたい5万から3万以上の人が全部回るの、案内状もって。
村)平岸会場ではね。
奥)あと人集めはだいたい100人以上の人が集まるの。その集めた人をどう使うかが僕の仕事。もう当日は時間に従って規制が4時までだから、きっかり終わるようにしなきゃなんない。だから一番気をつけなきゃいけないのは、453号線の国道だからなんか事故あったら一切使わせませんよって言われるから。警察から。だからうちの中井会長がピリピリしてる。

ー事故っていうのは外の人との事故ですか?
奥)そうそう、平岸会場はこの人(外山さん)がうまく処理してるんだ。
村)昔は一所懸命だったね。ほかのチームもね。いいものを作ってお客さんに楽しんでもらうっていう欲があったよね。また、企業のチームも多かったの。景気が良かったから。スポンサーついて。今企業ってあんまりつかないよね。だからあの時代は派手だったよね。やっぱ企業がついて、衣装にしても何にしてもみんな派手にできたから。今企業もつかないから派手さはないよね。いい時だったのかもしれないしね。今はこれで行かなきゃいけないんだろうね。だからほんとに考えていかなきゃいけないだろうね。継続って難しいからさ。
外)大変だよな。
奥)30年だもんな。
村)懐かしいなあ。
外)どこの市町村にしてもさ、札幌にしても、地方の田舎にしても一つは何かというとまず商店街。一つは町内会。町内会と商店街がふたつが仲良くなってね、うまく転がっていけば、まだ魅力が作れる。だけどどっちか片方なくなったらね。商店街だけでもあれだもんね。また町内会だけでももちろんできない。この二つが合わさって、協力し合って町おこしできる。これが魅力だ。それはどこいってもそうなんだ。町内会と商店街は仲良く協力し合ってね。攻めあってばっかりいてもダメなんだ。やっぱり許しあうことが大事なんだ。その方が平和でいいんだ。だからどっちか先に許すことが大事。そうじゃないと喧嘩ばっかするんだ。すっかりそれで髪の毛抜けちゃったんだ。
村)いやいや。
外)喧嘩しようと思ってもできないけどね。
村)攻めないの?最近
外)や、攻めるのは攻めるよ。是々非々でいかないとだめさ。
村)やっぱり地方も一つにまとまらないとね。スポンサーっていうか、町で応援するって形でね、町おこしかなんかで出てくれればうれしいんだけどね。参加してくれたら嬉しいけどね。なかなか人間関係とかあってね。

外)昔、5年前かな。苦情が入って。電話も10時から3時まで30なんぼ入って。
奥)苦情苦情。騒音の。
外)だけどここ5年ピタっとなくなった。なしてかって思うくらい。確かにあの時徹底してたからな。プラカードでも「音量下げろ」って言って。前は野放しにしてたから。バンバンきてたんだ。
村)でもこういうのって音大きい方がいいんだけどね。
外)ピタってこなくなったのさ。多分苦情来るってなったら、国道なのに何百メートルまでやるのと。バスまで止めてるんだから。バスも止めてるしょ。なんでそこまで国道でやるのと。車の運転する人なんかものすごく迷惑なんだ。でも最近ここ5年で無くなってきた。
村)あ、よかったね。
外)正直前はほんとひどい目に遭った。
村)ちゃんときちっとわかってきたんだね、1日だもんね。
外)そういう人ってね、住所と名前教えてくださいっていえばピタッと切るんだ。こっちから行くからってな。昔はやっぱり苦労したんだ。
村)お祭りでも何でもあそこ来たもんね。
奥)うん、来た。

¹⁾平岸会場:札幌市内会場の一つ。唯一国道を使用しているパレード会場である。
²⁾中井昭一さん:「平岸天神ソーラン踊り保存会」の創設者。現在は平岸中央商店街振興組合の相談役を務めている。

YOSAKOIソーラン祭りにおける学生の立ち位置

外)今学生の立ち位置でやることっていうのかな?会場作りに限らずYOSAKOIソーラン全体に…ベースはまず学生なんだから、後にも先にもね。そこに社会人が乗っかってきてるんだから。やっぱり学生がまず色んな企画考えてこうやってやるのはいいけども、今この時期に考えるのは俺らちょっと無理かな。もう上層部の考えだけどさ、一会場の担当者として考えるのはね、会場がこのままどんどん減ってくと思うんだ、正直言って。ものすごい危機感を持ってる。来年の6月にやろうとしてもさ、どのくらいの会場まで行けるかさ。もしかしたら実質10会場もできないかもしれない。大通だけで4つくらいだね。ワオドリ³⁾もやってね。あと新琴似⁴⁾とうちと色々あるけどさ。今回だめだめでしょ?するしない別にしてもさ。会場作り全体のこととかそういうこと考えるんだったらさ。やっぱり会場はこれ以上減らせないしさ。どうやって増やしていくか考えたほうがいいと思うけどな。まあそれの一環としてこうやって聞くのはいいよ、各会場行ってな。今までどうだったのと。今どうなのと。これはどう考えているのか。それは問題ないと思う。いいことだと思う。そういうことを何か、冊子にして文字にしたりね。そういうことは構わないけども、そういうところじゃ今言ったように、会場作り?札幌市内全体のね。これからどうするのと。これは別に上の人が考えてくれるんじゃなくて、あなたたちが考えなきゃいけないとだめなのよ。どの程度考えてるか。今はすごく懸念してます。だから段々各会場が自力になってる。それこそ素晴らしい祭典なんだけど。ただ10年前の話をしたって、そんないいことの話だけしたって仕方ないんだ。ここ5年前後はずっと何とか維持してきてるからね。今の数字っていうのかな。全体的にね。これがどこまで行けるかさ。今回2年もやめたんだからガタッと下がるのを俺は危惧してる。もうそろそろ可能性は強いと思う。だからそれをどうやって、昔の100%は無理にしても、7割8割くらいに留めることはできるかなと。私はそう思ってるんだけどね。全体のこと考えたらだよ?一会場のことじゃなくて。全体のことを今言ってるんだけど。それを皆さん学生たちがどう捉えて、どうやって発信していくか、考えていくか。それをもうちょっとしっかり考えてほしいとこだけどな。
村)難しいとこだね。
外)うん、難しい難しい。あんたたちだけでね、どうのこうの考えることもないけども。YOSAKOIソーランのベースって言ったら学生なんだから。それだけの自信と誇りを持って取り組んでいってほしいと思う。後輩にも伝えとくべきだと思うよ。ちょっと大きな声で言って悪いけどな。ほんとそう思う。率直な気持ちとしてね。

ーやっぱり会場数が減るのって観客動員数が原因なんですか?
外)そう。200万、180万、150万、100万ってなっていく。やっぱ200万っていうのが魅力なんだから。札幌市にどういうふうに捉えられてるのか知らんけどね、200万だったら匹敵するんだから。あなたたち素晴らしいことしてるんだよ。観光においてな。それもあんまりピンと来てないかもしれないけどね。これがほんとに150万、100万ってなってたらね、それは寂しい話だ。昔の栄華を追うわけじゃないけどさ。何とか今の180万くらいには、留めたいけどね。減ってもだよ?やっぱり会場が減らなくても、今度増やすことも考えなきゃならない。組織委員会としてはだぞ。考えてはいると思うけども、これからどうやってどこの会場作りができるか、できないか、考えてほしいよな。頑張っても減ってくから。減ってく一方だ。何でもそうだけどね。維持していくったら大変なんだ。だから、維持するためには新しい会場をどんどん作っていかないと。一か所でも、二か所でも。増やしていかないとだめなんだ。ちょっと的外れなこと言ったかもしれないけど、今はちょっとそうだな。
奥)ここ(平岸会場)もね。学生さんやってるしょ?やってるけども、各会場には入ってこないんだもん全然。あなたたち誰も。大通とか、他のとこだったらどこに学生は入ってるの?大通がメインでしょ?

ーあと少し四番街ぐらいですね。
奥)だけど新琴似会場もあっちにしても誰も入ってこない。
外)それだけの人間しかいないんだもんな?
村)各会場に分かれればいいのか。
外)分かれるだけの人材がいたらね。
奥)学生さんのあれでやるならいいけども、会場の方もっと学生が企画したりしてくれればまた違うんじゃないかなと。僕ら平岸会場は二人でやってるからほとんど。人を集めるとか何するとか、機材とか全部そういうの。今回コロナになって初めてじゃあどうしたらいいんだっていうので、ちょっとこうしたらいいんじゃないかって聞いたけども、今までそういうの学生さんから聞いたことない。各会場のこと。やっぱ全体を見るならば、今言ったように学生さんが各会場行って現状見て、こうしたらいいんじゃないか、ああしたらいいんじゃないかっていう参考意見でもあれば、また違うかな。
外)まあ現状では西8丁目⁵⁾をメインにな、大通で精一杯だもんな。だからもう少し人員が増えてね、各会場に5人でも10人でもね。それが理想だよな。いいことだよね。各会場にとってね。皆さんにもね。意外とやりやすい部分が出てくるかも知らん。
奥)頑張らないといけないよ、学生さんは。
村)まあ人がいないんだよね。
奥)まあいないのもあるけどさ。やっぱし各会場の現状を見てさ。「こうなってるんだ」、「じゃあこうしたらいい」とかさ。そういう意見でも、全体的にね、学生さんがまとめてるんだから。いつもそれ思うわ。まあ俺らが遠いってのはあるけどな。平岸で。

ー以前は、学生が入っていたことはあったんですか?
奥)あったぞ。
村)いや、初めの方はね。
外)北海学園生⁶⁾が20人ぐらいね。
奥)そう、手伝ってもらってたんだ。
外)応援に来てくれるんだ。プラカード持ったり。これは毎年来てもらってるんだ。誘導してもらったりね。まあ学生と言えばそれさ。
村)でも初めの頃は学生も手伝ってたよ。
奥)あ、ほんと。
村)ここ、平岸会場は何人か入ってたんだけど、段々来なくなってね。慣れてきたっていうのもあるんだろうから。各会場に任せるしかないんじゃないの?方法は。
奥)まあそれはそうだけどね。いやどうしてもそうなっちゃうんだ。
外)まあ現状はどうなのか知らんけど、正直本部⁷⁾でね。女性何人で、男性何人で、職員が何人かわかんないけどさ、あなたたちが主体なんでね。話戻るけど、あくまでもベースはな。始まりは、第一回、第二回のこと考えたら皆さんが主役なんだからね。そのことを忘れないでやってほしいと思うよ。気後れしないでね。自信と誇りを持ってやってほしいな。会場作りとかな。
村)そうだよね、学生って謳ってるもんね。だって、おぎゃって産まれたときからYOSAKOIソーランあったんだからね。やっぱり先輩方がきちっと伝承していかないとわからないんだよ。どこもそうだよね。
外)後輩に語り継いでかなきゃなんないからな。みんなもこうやって引き継いでね。そういう責任はあるよな。
それからどこの地域の人もそうだけどね、街作り、町起こしってみんなそういうの考えてる。それにはね、学生のパワーとか絶対必要なのさ。65歳以上が3人に1人なんだから。みんな年寄りなんだから。そうするとね、やっぱり頭も鈍くなるしね、身体も悪いしね。この町をどうしよう、企業をどうしようってね。皆さん学生さん若いんだから。心身ともに若いんだから。一番欲しいとこなの、学生ってのは。ものすごくみんなあてにしてんだよ、皆さんの力を信じて。お願いしますと。やっぱり学生がパワー出さないとね、どんな市町村もダメになっちゃうぞ。4割5割、札幌圏内、燦燦(さんさん)たるものだけど、地方の魅力っていうのは絶対あるはずなんだから。そこにYOSAKOIソーランもあるはずなの。結構あるの市町村。だからそこは常に大事にしてほしい。
村)あんまり流されないことだよね。若いんだから斬新な勢いを出していったほうがいいんじゃないの。
外)YOSAKOIソーランに限らずみんなはあれだな、力出してほしいな。
村)やっぱり学生の斬新な意見だとかYOSAKOIソーランを新しくするだとか、そういう意欲が欲しいよね。組織委員会があるから、右ならえになってるんだろうけど、あれもどうなんだろうって常に思ってることだよね、だから開拓するにもしようがないっていうかまあ安定感っていうか、だから伸びないし、チームも増えないし、私は常にそれ思ってるね。学生と言えどもっと斬新にいかないと、意見言うにはやっぱりきちんとまとめとかなきゃいけないのさ。どうしようかなって迷ってたら絶対だめだもんね。

³⁾ワオドリ会場:大通会場の一つ。チームに所属していない人でも飛び入り参加をして一緒に踊ることができる。
⁴⁾新琴似会場:札幌市内会場の一つ。北区唯一の会場である。
⁵⁾西8丁目会場:YOSAKOIソーラン祭りのメインステージがある会場で、参加全チームが演舞を披露する。
⁶⁾北海学園大学:札幌市内に位置する4年制の私立大学。平岸会場である平岸街道沿いに位置している。
⁷⁾本部:ここでは組織委員会という意味。

新たなYOSAKOIソーラン祭りの創り方

村)やっぱりさ、会場としての魅力がないとチームも増えないし、YOSAKOIソーランに対して、やはり学生たちが主体なんだから、たくさんいいアイデアを出して、何か新しいことをやっていかないとチームも増えないと思うよ。
外)そうだね。
村)どうしてチームを増やすにはどうしたらいいんだろうって考えないんだろうかって、いっつも思う。投げっぱなし。まあやってるんだろうけど投げっぱなしっていうかさ。なんか、その辺がね。もっとそっちのほうに力を入れたほうが会場も増えるだろうし。

ー会場だけあっても何もないですもんね。
村)チームあっての会場でしょ?そして、あなたがた学生さんは、やはりチームがないと成り立たないから、と私はいつも思ってる。ほんとに主体になってやるならそっちから始めないと、そんな話を聞きに来たってね、昔の話聞いたってね。
奥)そうだよな。
村)新しいアイデアを持ってきてさ、「こういうのがあるんですけどどうでしょうか?」みたいなさ、ならまだ話もわかるけどさ。だって30周年だからって昔の話聞いても…
外)チームの構成ったらだいたい、いつも思ってるけどさ、札幌市内が3割、道内が3割、それから道外が3割くらいのね、だいたいそんな均等なんだ。だいたい3,3,3、くらいできてるから。
外)それが今度、もうむしろ市内と道内は知ってる。向こうのほうが増えてるはずなんだ。道外のほうが。だからそれを、まあ6月に行って踊りたいって気持ちもわかるけど、もう少しやっぱり道内と札幌市内?今言ったようにね、チーム作りしてほしいよな。
村)チーム作りをするか、魅力がないとさ。YOSAKOIソーランの魅力を、考えて出していかないと、チームを作ろうなんて気にならないしょ。それは勝手だっていうのかもしれないけど、そうではないのさ。
外)とりあえず、やっぱり毎回気にするのは、来てもらった以上はさ、「平岸会場で踊れてほんとによかった」と思って帰ってもらうことなの。それが一番大事なことなんだよね。喜んでもらって、帰ってもらう、そういったステージ作り?舞台作り?それを意識しないとダメなんだよな。常に。ただ来て踊ってもらう、「はい、踊って」、「はいどうも」じゃなくて、ここに来てすごい気持ちよく踊れたと、そういう環境作り?それがやっぱり大事だ。どこの会場作りにしたって。それがもう一番大事なことだ。ただ黙って返さないでね、帰られたら寂しいしょ。やっぱり、「ああ、いいとこに来た。来年もまたここで踊りたい」と。そしたらどういうことをしたらいいの?と。会場作りとしてね。これはいつも思ってるよ。具体的なこと何なんですかって言ったら、やっぱり公園に集まってもらったときから、「エイエイオー」じゃないけどさ、「みなさん頑張ってやりましょう!」って笑顔で迎えたら、みんな気持ちよく入って来られる。特に町内会の人たちに頼んでるんだけども、ものすごく笑顔でいて下さいと。受付からね。それはもうすごく評判が良い。いつも喜んでる。一番言えるのが熊本のチームが来た時だな。
奥)あの地震の後にチーム来たんだ。
外)横断幕作ったんだ、公園に。「ようこそ、肥後真狗舞⁸⁾」ってね。感激してもらって。あと今度、A4判で応援メッセージ書いたんですよ。そしたらみんなもう踊り子さん泣いてるの。泣いて踊ってるの。嬉しくて。
村)そうそう、そういうのって各会場大事だよね。
外)したら本当に感激しましたってな。そういうちょっとしたことがね。こうやって皆さん、チームに思いやりできるかってね。まあ全部が全部のチームにはできないけどさ。たまたま、前の震災で大変なチームだったからね。北海道まで来てくれたんだから。何かしなきゃだめだと。やっただけの話ですよ。そういう気持ちっていうのが大切だと思うよ。
村)そうだよね。

ー私がこの団体を知るまで、北海道出身なのでYOSAKOIソーラン祭り自体は知ってたんですけど、学生がやってるって全然知らなくて、札幌に出てきて初めて知ったんですけど、学生がやってるからの魅力とかってありますか?学生のことって周りから見てどう思われてるのかなって気になって。

村)やはり、なんでもそうだけどさ、一番先に始めた学生の意欲と、おぎゃって産まれた時からあったYOSAKOIソーランとの差ってのはかなり違うと思う。だから、学生がどうのこうのっていうより今の子たちに合わせてね、私も30年YOSAKOIソーランに携わってるけど、やはりその差っていうのは大き過ぎて、だから会場も狭くて、でも一生懸命やってるのはわかってるんだけど、この差異はやっぱり大きいんじゃないかな。

ー熱意とかそういう面ですか?
村)それはあるよね。時代も変わってきてるから、身も蓋もないけど。

⁸⁾肥後真狗舞:熊本市内の大学生を中心に活動しているチーム。公式ホームページ

学生実行委員会の活動について


奥)今どうなの、前は長谷川岳⁹⁾がいたときは主体でやってたんでしょ?組織委員会じゃなくて。最初学生やってたでしょ?
村)長谷川さんのとき?そうそう。
奥)その時はまだ組織委員会できてなかったでしょ?
村)できてなかった。
奥)組織委員会ができて、組織委員会が全部まとめてるしょ?組織委員会に学生が入ってやってるのか。
村)入ってやってるよね?
ー入ってはなくて、一応別の団体というか組織体として存在していて。ただメインとして学生実行委員会は会場の運営を担当する、それを組織委員会が取りまとめる一つっていう感覚ではあると思います。

村)じゃ学生は学生で独立してるんだ?
ーはい、独立してます。

奥)だから各会場の整備とかその誘導とかさ、それしかやってないんでしょ?企画ってのはやってないんでしょ?
ーワオドリとかパレードの企画だったり運営っていうのはやっています。

奥)運営はやるけどさ。
村)西8丁目もでしょ?
ー西8丁目も、運営と企画はしています。

村)そういうのは関わってるよね。
奥)関わってるったって流れだもん。
村)流れだからね。
奥)だからそういう感じで前みたく最初から学生がどんってやってるわけじゃない、組織委員会がやってるから。
村)そこはね、やっぱり色々ね、もっと組織委員会と学生が密になってるんだろうけれども。もっともっと本祭っていうか6月に向かって新しい企画とかって聞かれないの?組織委員会から。
ー大通公園とかでやる企画っていうのは学生のほうで考えて組織委員会にアドバイスもらったり。

奥)西8丁目は、順番とかさ調整、そういうのは学生がやってるんでしょ?
ーはい、調整も一応してます。

奥)どういうチームが来るから、じゃあこれをどうしてくれとかか。
村)今出来上がってるものにはめ込んでいってるだけさ。西8丁目も、学生の時間を設けて踊ったりなんかしてるんだけど、後はもうタイムスケジュール、はめこんでいって…
奥)独自のものってないのかな。学生の企画…
村)私は思うんだけど、学生が立ち上げたって言ってるんだからさ、学生の斬新な企画っていうか、私たちの来年31年か、何するかわかんないけど、新しい企画っていうよりも、本当にYOSAKOIソーランを広めたいんだっていうのをもっと前面に出して、学生動くんならね、やっぱり普通関心もたれるけどね、従来通りの流れだったらね。
奥)hitaru¹⁰⁾とカナモトホール¹¹⁾でやったやつは、これは学生がやってるやつなの?
ー企画は組織委員会で進めます

奥)やっぱり組織委員会だもんな、仕方ないんだよな、今そうなんだよな。
村)仕方ないんだよね、抜け出せないもん。いやあ力だね。難しいのよ。
奥)こういうの聞いててどれだけ学生が反映するかさ。
村)きちっとしたもの持って行って、パターン的になんか斬新なものそれだけやってこれがだめだっていうものをやってかないと、一つのことに絞られてさ、じゃあ次のことをこれがだめだったら次、そこまで考えないとさ。いつまでもしがみついてさ、なんにも始まらないんだよ。
奥)流れが来たらどううまく流すかって考えられないんだ
村)道路だって、片側だけやろうって考えたよね。状況に応じてさ。協力するってなった時においての、色んなことを考えて、だめでも色々考えてやろうってなったんだよね。これがだめだったら違う方法がないかって考えながらさ。物事って動くんだよね。企業だってそうだよね。新しいものを発表するまでにいくつも協議してね、じゃあこれがだめだったら次こういう考えで行こうとか考えるもん。だめだ、ずっと同じ波に乗ってきて。ここで少し学生の力を出して。組織委員会に何言われても私たちはこう思いますって感じにならないとさ。なんぼインタビュー来たってさ。進歩がないよ。過去のこと聞いたって始まらないよ。今の世の中、過去の話なんてどうだっていいわけ。過ぎ去ったこと。前向き前向き。コロナも少しずつ収まってんだから前向きにいかないと。
外)コロナこれ収まんねえど。ずっとwithコロナっていうけどさ。おそらく来年6月やったとするべ、前の7割もできればいい方と思うよ。あと3割留めるのと。そこでまた知恵絞ればいいんだよな。前みたく100万近くするには。7割以上は無理だから。3か月しかないんだから、6月まで。だから6割、7割で上出来でね。6割もできるかなと思って。正直言って。我々平岸会場もそう思ってる。あとはどうやって埋めるかさ。違いを。やっぱ知恵絞らなきゃだめだよ来年は少し。
村)来年は、ほんとそうだよね。もう6月にやるんだと。日にち伸ばすってことは大変なことだから。ありえないんだから。やっぱり決めた日にちに、どういう状態でやったらいいってことを考えないといけないよね。日にち伸ばすとか、延期するとかってことの難しさっていうのはわかってないよね。それではだめさ。絶対日にちは変えないってことで、やっぱりそこまで信念持ってないと。難しいよね、こういう大きな行事はね。やるには、やっぱりどうしたらいいかっていったら学生の考えだよ。そういうアイデアを出していかないと。あんたがた若いし頭いいんだからさ。そうだと思うよ。若いうちに頭使わないと。好きで入ってるんだろうから。そうだよね?違うの?
村)好きで入ってるんでしょ?好きで入ってるんだからね。
奥)尚更だよ。
村)YOSAKOIソーランを見ててね、いかに低迷してるのかなっていうのがわかってたら、私たちの力で何とかしてあげましょうってやっぱり学生が持たないと。
外)みなさん踊ってんのか?チームに入ってるのかい。
ーいや、違うんですよ。

外)あ、違うのかい。それは別か。
村)大学に入って、学生実行委員会があるっていうので入ってきたんだもんね。
外)そっか、入ってないんだ。
ーそうです。

外)踊りたくねえか?

ー私1年生の時当日運営してたので、それを見てたり、あと遠征とか支部大会とか見てると、やっぱりかっこいいなってっていうのは思ってました。
村)やればいっしょ。実行委員会よりよっぽど面白いよ。まあうちぐらいだったらまた別なんだろうけど、でもね、私いっつも思うんだけど、いかにしてチームを増やしたらいいのかなって。

⁹⁾長谷川岳さん:YOSAKOIソーラン祭りの創設者。現在は参議院議員。
¹⁰⁾札幌文化芸術劇場 hitaru:札幌市内にある劇場施設。
¹¹⁾カナモトホール:札幌市内にある市民ホール。祭り会場で唯一の屋内会場である。

チーム数を増やすためには


外)チームを増やすにはね、一つの方法としてはね。やっぱ学生が、地方のYOSAKOIソーランしてない大学に行って、作ってくださいと。まず、10人でも20人でもいいから。最高は40人以上いればいいんだ、本当は。それにしてもチーム作ってくださいと。ビデオでも写真でもなんでも持って行っていいから。実際にやってるとこ。そうして地方から増やしていかないとダメだ。地方の大学に出向かなきゃだめ。
村)出向いてんだよね?
外)それこそ、初心者はどうするか知らんけども、チームを増やすならそこひとつだ。とっかかりとしてはね、組織の方としては。地方の大学に学生チーム作ってもらわないと。社会人は無理だから。もう疲弊しちゃってね。学生チーム増やしたらいい、地方行って。
村)そうだね。そしていかにして魅力を、市町村なんかも、町長とかさ。やっぱりよさこいの魅力を伝えて、町をあげてってね。
外)大学でも高校でもいい。チームを作ったらそれ自体が町おこしになるの。彼らがイベントあるときに、留萌¹²⁾でもいい、小平¹³⁾でもいい。踊ってくれるわけよ。イベントはね、活性化なの。そこからチーム作りしてほしいわけさ。だからチーム作ってくださいって地道に歩かなきゃダメ。組織委員会でそういうことやってるかわかんないけどな。
奥)それこそやっぱりね、あんたら踊らなきゃだめだ。楽しさをどんどん教えていかなきゃだめだ。
村)地方はね、低迷してるっていうけど。YOSAKOIソーランに魅力がないんだろうね。一時とはいえさ、他にやることはいっぱいあるんだろうけど。
外)やっぱ地方行けば、もう最後の町の活性化?田舎っていうのかな。活力があるかないかって言ったら神輿があるのよ。そこで、お祭りでも秋祭りでもね、神輿担いで出てると。出てるとこはまだいいさ。まだ何とか活性化に繋がってる。だけどね、もう神輿もない何もないって言ったらね、全部疲弊してなんもない。正直言って。だから神輿とYOSAKOIソーランのチームと、2つあったらまず町おこしの魅力になる。地方の活性化の力になってればいいんだ、YOSAKOIソーランが。
村)そのためには魅力を作らなきゃいけないから、やはりいかにして宣伝していくかってことだね。やっぱり長谷川さんはね、始めたばっかりだったけどほんとにコツコツ地方を回ってたから。まあ30年前だからできたんだけど、ほんと地方に宣伝してね。まあ何もなかった時代だからみんな飛びついたってのはあるけどね。
外)でもそれだけじゃないからな。
村)しないんだって今の子なんて。やっぱりね、おぎゃって産まれた時から上に立つったってね。よっぽど好きじゃないとできないんだろうね。

¹²⁾留萌市:北海道北部に位置する市。
¹³⁾小平町:北海道西海岸の町で留萌郡に属する。

YOSAKOIソーランの魅力・平岸会場の魅力


村)まず魅力だよね。何かないかな、YOSAKOIソーランの魅力って何なの。何なのあんたがたは。いや若い人に聞かないと。
ー私はコミュニティというか、参加してる人たちがすごく魅力的なひとばっかりで、そういう人たちが踊っていると、見てる人も一緒に踊りたくなるっていうところが、熱くて素敵だなって思ってます。

ー普段、別々のことをしている人たちがYOSAKOIソーランの時に、プロのダンサーとかじゃないのに、YOSAKOIソーランになった瞬間、大人がみんな本気で踊っているのがすごい熱いなと思って。普段の顔からは想像つかないような、踊りになると人が変わる瞬間がかっこいいなって思います。

村)そうだよね。
外)音響からさ、衣装からさ。携わる人がものすごい多いんだよな。そういう環境で、人間関係もあるだろうし。やっぱり沿道のお年寄りなんか見てるとみんな泣いてるんだよね。なぜ泣いてるのかというと感動してるんだよ。その踊り見て。あの人たちにとって涙流すほど感動するくらい魅力あるのかなと。その人たちにとっては魅力なんだよな。踊りで感動してるんだよな。だから涙流す。それで元気なったらいいんだ。沿道の年寄りはね。なんか目に見えないものがあるんだろうね。
村)若さをもらうっていうか、みんな一生懸命だから。
外)あれだけの振りで踊るんだから。音楽とか光だとかさ。ものすごく好きな人が魅力感じてるんじゃない?
奥)平岸会場は福祉の席って設けてるの。車いす席。それが一番いいとこなの。
村)平岸会場はほ本当に頑張ってると思う。
外)来年座らせてくれってな。まだ早いってな。 
村)早くはないよ。
外)もうそろそろだ。

ー地方会場があるのもお祭りの魅力というか、まあいろんな会場が今難しいっていう話は出てると思うんですけど、そういった会場もあるからこそ踊り子さんも楽しめるお祭りなんだなって思ってます。
村)そうそう。大通だけだったらね。
外)さっきも話したようにこれ以上減らせないんだ。これからいいとこギリギリじゃないか。頑張ってるとこが減ってく可能性も十分ある。
村)やっぱり見に来れない人たくさんいるじゃない。
外)大通から南はうちしかないしょ。あとずっと新札幌の方行ってね。平岸会場しか残ってない。前は10か所以上あったんだろうけど。今うち1か所になった。南の方は。だからうちも無くなったらちょっとな…
村)いや、無くせないよ。
村)でも、まあとりあえずみんな元気なうちは、やってくれると思うので。まあ先の話はいいんだって。
外)まだ元気だといいな。
村)私?
外)元気だよな。30年もやってるからさ。石がものしゃべりだすって。化石になってるんだ。YOSAKOIソーランの化石。たいしたもんだ。何でも聞きなさい。わかるから。
村)でもそんなことはないけど、でも、難しい問題だよね。
外)いじめられてんだ。キャッキャキャッキャして。
村)そんなことないって。ただこの創り上げてきたものを、平岸天神¹⁴⁾の話だと、やっぱり守っていかなきゃいけないっていうのがひとつさ。平岸天神ではどういう形であれ、この先あろうが無くなろうが、今の状況は守んなきゃいけない。だけど、コロナで人が減ってくるから、今後どのようにしていくかが課題ね。どこのチームも一緒ね。そのためにはまず、来年は学生さんにも組織委員会にも頑張っていただいて。平岸会場も頑張るので、いかにしてできるかってことを今から考えていかないと。そんな昔の話しても仕方ないんだって、何回も言うけど。どうしたらできるんだろうってのは学生さんも考えていった方がいいんじゃないの。っていうのがまずひとつだよね。
天神はね、保存会組織¹⁵⁾だからうちは。でも2年間踊んないとね、みんなやる気ないって。すごいよ、うちなんか。人数少なくてもいいから、とりあえず踊りたい人だけ残ってもらおうって方法しかない。
奥)消滅するチームもあると思うよ。2年間やらなかったら。
村)うちは2年間ずっとイベントとかあるからね。1年通して没頭してきたんだけど、なんかぽつんと穴空いて、違うとこに何かを見つけたとか、やっぱりほかのチームもそうだと思うけど、この2年間が大きいね。
外)チームだけじゃなくて色々あるんだ。
村)来年(今年)記念公演あるから。30周年のね。でも、それはそれとしてやらなきゃいけないから。だからYOSAKOIソーランはやってもらわなきゃ困るんだけど、難しいとこだよね。だから来年はいかにしてできるかって考えたほうがいいって。話聞くよりも。あんたがたが来年をいかにして成功させるかっていうのを今からやっておかないと。付き合っていかなきゃだめだよ。そんな1か月前だからちょっとこうしましょうとかはだめで、今から地道にちゃんと考えておいていかないと。
奥)組織委員会にどんどん意見述べてほしいけどな。
村)言ってるしょ?
奥)言ってないしょ。
村)でもはっきり言った方がいいよね。
奥)意見としてさ。
村)やっぱりあなた方の立場をわかってないと、やりづらいと思うし、これから伸びないと思う。やっぱり学生をうまく利用するのがさ、本祭だけではなくてさ。まああんたがたもね、就職したりするから、まあ2年間とかそのくらいだよね。当然変わるときは変わるんだもんね。
外)1年生だったらな、あと2年3年って開催してよ。ほんとに。聞きたいことあったら電話して教えてもらいなさい。

¹⁴⁾平岸天神:札幌市豊平区平岸を拠点に活動しているチーム。過去大賞10回、準大賞10回の最多受賞チームである。公式HP
¹⁵⁾平岸天神ソーラン踊り保存会:「平岸天神」「平岸天神ジュニア」「平岸天神マスターズ」の3つから成る組織。

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