少しでも女性じゃ無くなるために。

私の友人の中に女性である事が嫌な人がいる。
私もそのひとりだ。
だが、その気持ちは私よりも何倍も大きい。

彼女は、学校の帰り道にこう言った。
「子宮を切除したい」と。

この話を聞いた時私は衝撃を受けた。
猫や犬等の動物が避妊として手術をすることは知っていた。人間で言うならば、子宮がん等の病気で取り除く例。

だが、彼女は違った。
「私は結婚したい訳でも、子供が欲しい訳でもない。体の関係を持つことも。月一で来る生理も…もう全てが嫌。私は、男として生きたい。」

そう話してくれたのだ。
この話は、タブーで話しずらいことだっただろう。家族に言うのも理解されない確率の方が高い。それでも、家族や私に伝えてくれた。

彼女は本気だと思った。
私は、無知で全く何も知らなかったので手術に興味を持つことも多くなった。
2人で色々調べて、メリットもデメリットも沢山見て知った。

その中で彼女は、手術をすることはやめた。
彼女は笑顔だった。なにか振り切れたようなキラキラ輝いた顔をしていた。

「私は、女としてここに生まれてきた。今女として生きていることが出来ているのは両親のおかげ。
みんなから見れば中身は女かもしれないけど、外見で男性っぽく見せることも出来る。だから少しずつ見た目を男性らしくしたい。」

そう言った。
彼女は、自分の体と個性を活かして新しいスタイルを磨くようになった。
なかなか理解されることではないが、とても前向きに生きる彼女がかっこよく見えた。

そして、1.2年経ち私達は再開した。
時間が経つのは、あっという間で見た目がガラッと変わっていた。とてもかっこよかった。
相変わらず細身のスタイルだったが、服はかっこよくスキニーのパンツを履いて耳にはピアス。そして首には大きな十字架の付いたネックレスを付けていた。少し長い髪も切ってスッキリした顔だった。
メガネもコンタクトに変え雰囲気は全く違っていた。ビジュアル系バンドのメンバーの格好に似たファッションだったが、とても似合っていてかっこよかった。

その日はいつもと違う彼女を見ることが出来た。
また、これからも男性らしく見せる為に努力していくのだろう。
私はそんな彼女。いや、彼を応援したいと強く思った。

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