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ボカロが無駄に詳しい人生

 ボカロというものを最初に知ったのは小一の頃。初音ミクという存在を知って別に驚きはしなかったが、片っ端から見つけたボカロを聴くようになった。ほとんどの人間はボカロというものを知らず、友達は千本桜以外知らなかった。自分だけが知っている世界。中学生になるまでは自分の精神安定剤だった。

 小学校低学年の頃はよくアニソン好きの友達に「ボカロの方がいい!」と常に言いまくる、まさに迷惑なボカロ厨そのものだった。友達も頑張って反論してくるが、そもそも当時の自分はアニソンという言葉の意味すら知らないためその主張は通らない。大体最後は殴り合いの喧嘩で相手を泣かせ、その後自分も泣き始めるクソガキムーブをかましていた。

 一緒に登校する人間が一人もいなくなる頃。自分は朝6:00の夜のような暗さ中、ただひたすらボカロを歌いながら登校するようになっていた。人間ともすれ違うことはない上に歌を歌える貴重な時間だったので、一人は少し寂しいが自分は好きだった。唯一すれ違うバイクに乗っている若者に聴かれると恥ずかしかったけど。

 低学年の頃は萌えキャラを知っているというだけで輪から除け物にされていじめられる。ボカロ好きがばれると何を言われるか分かったもんじゃなかったので布教的な事は一切していなかった。

 しかし高学年になるとボカロが少しずつ世に出始め、クラスの陽キャ共も有名な曲を知るようになる。自分の唯一の拠り所が穢されるようで嫌だった。サッカー以外興味なさそうな男が授業中、急にシャルルを歌い始めたり、ボカロが詳しいとか言い始めたと思ったらボーカロイドの名前も知らない全くの新参であったり。ボカロという存在があのクソガキどもの一時の話題に消費されるあの感覚は死んでも慣れないと思う。

 自分は同年代の人達が知らない世界で一人盛り上がるのが好きなわけで。その時からちょうど界隈系の曲にハマった。そしてまだ餓鬼だった自分は変に感化されて、古参ぶってるクソガキから妙にミステリアス感漂わせるイキリ陰キャに進化した。まあ別に一人楽しんでいるだけで誰かに広めるような真似はしていないのでそこは良かったなと思う。

 中学生になったころ。ボカロをほとんどの人が知るようになる。自分は小学生の頃にイタイ事をし尽くしたので少しほとぼりが冷めた。だがこの辺りで急に女性陣が出しゃばるようになる。

 自分は人間と話せないのでその人たちの事はよく知らないが、よくクラスの隅っこでボカロについて盛り上がって叫んでいた。別にこっちに被害が無ければいいのだが、給食の時間に歌ってみたを人の事も考えずに流さないでくれ。しかも流れてるボカロがちょっと年齢的に問題がある奴なのもやばい。そしていつも給食が終わると端っこで盛り上がる。匿名で流して黙ってるけど誰がやったのかもろバレですよ…だけど男子がアニソンを流すとキモイとか言い始めるんだ。ひどいもんだね。

 高校になった今、もうボカロはそれなりに冷めてしまった。新しい曲は有名な奴か好きなボカロPの新曲以外聴かなくなった。別のジャンルを聴くようになったのもある。kawaii future bassとかゲームの曲とか。

 Youtubeのボカロを入れてるプレイリストを見たらほぼ800まで入っていた。多分自分は一般人よりはちょっとだけボカロが詳しいと思う。でも別に共有しないしする人もいないし。この知識が役に立つ機会はもう来ないんじゃないのか…

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