2023年正月にHiGH&LOW THE WORSTを初めて見たオタク


これは「HiGH&LOW THE WORST」を見てしまったオタクの備忘録です。公開から3年ちょっと経っていますので、しっかりネタバレしています。


はじめに

 そもそも、私はそこまで映画を見るタイプではありませんでした。映画が嫌いなわけでは決してないのですが、ほんとなんとなく見ず。せいぜい年1か2です。
 俳優さんにも詳しくなく、いまだに山崎賢人さんを区別できていない。テレビ無しの生活を5年以上続けている+実家時代も放送大学を流し見するくらいでした。全然関係ないんですけど、放送大学の天文系の授業でカメラさんが天文台の階段を昇って行ったら教授が「お待ちしておりました」と巨大な天体望遠鏡を背景に待ち構えていてすごく良かったです。

 そんな私ですが去年の夏より日曜昼間から酒を浴びつつ映画を見る楽しみに目覚め、旧作中心に色々と見るようになりました。そして「カルト」と言う最高映画に出会ってしまい、Twitterで思いをブチ撒け散らかした結果、10名を超える方にカルトを見てもらえました。本当に感謝です。

 私は自らのTwitterのタイムラインを心から信頼しているわけですが、「色んな人がカルトを見てくれたし、私もフォロイーが錯乱しながら愛を叫んでいる映画を見たいな」と思うようになったのです。
 具体的にはブレット・トレイン(ブラピがなぜ人気か思い知った。愉快なトンチキ日本)やエターナルズ(かっこよすぎ。圧倒的映像美。初めてNL小説を書いた。)など。普段見ないジャンルの作品ですが、さすがフォロイーが情緒を乱しているだけあって本当に面白かったです。

そして2023/1/9、その日はやってきてしまった。



1.「ハイアンドロー?そいつ強ぇのか?」

引用:相席食堂

 オタクはハイアンドローがわからぬ。オタクは、三次元の美男子が数多集まる舞台や映画に触れてこなかったオタクである。夢小説を書き、同人誌を読んで暮らして来た。けれども暴力を伴った群像劇に対してはちょっとだけ敏感であった。きょう夕方、オタクはHiGH&LOW THE WORSTを焼酎片手に再生した。

 予備知識はほぼ無しなんですが、唯一轟洋介くんという人だけは知っていました。

 どえれぇ作画の良い、完全に勝ちに来ているビジュアルとキャラ設定の男の子です。その轟くんを楽しみにしていたわけですが、開始10数秒で目が行ったのは彼ではありませんでした。

 いきなりいかついスキンヘッド集団が地下鉄からワラワラ下りてくる……え、なんか金髪でハーフアップでチェーン付き薄色サングラスでニットをゆるめに着こなした男の子いる!目立つ!河原で黒軍団vs白軍団が抗争を始めようとしてるよ!?みんな誰!?さっきの男の子なんて名前!?行くぞテメーら!景気良😁🎶🎶🎶🎶

 今思えばすでにこの時点で私は嵐のさ中に突っ込んでいたのです。無防備に舐め腐ったオタクほどすぐ死ぬという良い事例です。

 どうやら主人公が転入する鬼邪高校(オヤコウコウ。通称オヤコー。ヤオコーみたいですね)は札付きの不良高校で、定時制と全日制に別れているようです。定時制はきっちりアタマが決まっていて、全日のゴタゴタには関わらないと断言しています。一方の全日制は色んな派閥があり、主人公は全日制に無類派として入る、と。

 この作品、これまでにドラマや映画が何作品もあるようで、その潮流を汲んだ数世代目のお話ということをようやく知ります。大丈夫かなあこれだけ見て……と不安になりましたが、MCU無知でもエターナルズが面白かったので、「そもそも十年単位で続く人気シリーズなんだからちゃんと面白くしてるだろ」とそのまま見ました。結果その通りでした。一応ナレーションも入っているので、なんとなくの全体像はわかりやすいです。

 各派閥の関係を説明しつつ話は進み、轟くんは割とすぐ出てきました。そんでアメリカの刑務所で囚人がバスケやってる広場みたいな体育館でタイマンします。喧嘩に彩りを添えるドラム缶ややたら積みあがった廃材も取り揃えています。
 愚かにも私はここで「思ったよりアクション良いけどやっぱRRRと比べると物足りないな。顔の綺麗なチャンニーだからかな」とちょっと斜に構えていました。ていうかRRRと比べたら100%物足りないに決まっています。RRRはほぼ神話の世界なのですから。

 なんか轟くん負けちゃったし、全日制は結局誰がアタマか大混戦を極めてるし、主人公の楓士雄くん早く来て~~~!



2.「生殺与奪の権を他人に握らせるな。こんな治安が終わった世界で。」

引用:「鬼滅の刃」より

 まず主人公や周囲の不良たちの出身が"絶望団地"ですからね。そこから更に"首吊り棟"、"殺人棟"、"放火棟"とか出てきますから。出てくるシーン大抵、ジェットセットラジオのステージでもそんなにないよってくらいグラフィティが描かれています。

 そして当然出回るドラッグ。ドラッグはご法度の鬼邪高ですから、全日の問題ではありますが、実質学校を仕切っている定時制番長の村山くんもブチのギーレェです。この非常に危険なドラッグは通称レッドラム。楓士雄くんの幼馴染アラタくんや近隣女子高の生徒もこれに関与しているようで……。


 私が大好きなのはここで入るライバル高校・鳳仙学園の幹部会シーン。柔道場と思われる場所に高校生らしからぬ風貌のスキンヘッドたちが会しています。半裸に灰色の学ランを松方掛けの男児、岸和田でだんじり引いてそうな男児、年間150日は神輿を担いでいそうな男児。様々です。
 この鳳仙学園は番長と幹部以外はスキンヘッドがルールのド縦社会。しかし上への信頼は強固という激アツ学校です。ピンポンの海王学園しかり、スラダンの山王工業しかり、こういう学校大好きなんですよ。規律は厳しいが恐怖政治ではない、みたいな。 


引用:シネマトゥディより

 冒頭シーンから気になっていた金髪ハーフアップの彼は小田島有剣くん。轟くんと並んでハイローファン諸姉から絶大な人気を誇る人物のようです。
 小田島くんのほか、沢村くん(アタマの妹を体を張って守る漢)、仁川くん(だんじり引いてそうな兄貴)、志田くん(武闘派切り込み隊長)の頭文字を取って四天王・小沢仁志と呼ばれています。本物の小沢仁志さんも出演されています。迫力ヤバ。声かっこい!

 そしてそんな幹部&スキンヘッド集団を束ねるのが見た目は優男な上田佐智雄くん。妹思いで、無益な争いは好まず、常に冷静に全体を見回す優秀なリーダーです。
 でも彼、妹を救いに行くのに容赦なく人の頭をブレーカーに叩きつけるし、ダーツの矢を高速投擲するし、小型ナイフを逆手に持ちます。信頼できますね。暗闇で小型ナイフを間合いの計りにくい逆手に持つ男は信頼できます。そんな佐智雄くんですが大切な妹がドラッグに関わっていて、しかも脅されていると知りどうにかしようと考えます。

 ほんとにこの世界治安悪いんですよ。警察は出てきません。教師も出てきません。多分行政も終わってるし病院のICUの文字剥がれまくってますからね。そんな世界で、それぞれが警戒心を張り巡らせてやられまいとプライドを掲げるわけです。高校生だろうが手前のシマは手前で守ってカタつけんぞ、の精神なんですね。



3.「不運(ハードラック)と踊(ダンス)ってるねえ!」

引用:「特攻の拓」より

 鬼邪高と鳳仙それぞれがレッドラムの出所を突き止め排除したいと考えている頃、二つの襲撃事件が起こります。

①鳳仙?→鬼邪高の泰志襲撃
鬼邪高の王道ヤンキー派閥のリーダー泰志くんが謎のハゲ軍団に襲われます。ハゲ集団は「俺らは鳳仙だ」と名乗りました。宣戦布告状まで届いちゃいます。
②鬼邪高?→鳳仙の幹部襲撃
鳳仙四天王の一人である沢村くんとサバカンくん(あだ名。彼も強いです)が見知らぬ制服の集団から暴行を受けます。彼らは「俺らは鬼邪高のもんだ」と告げます。

 こうして鬼邪高と鳳仙はお互いに「レッドラム絡みの襲撃か?ふざけやがってあの高校ブッ潰すぞ」と敵意を露わにします。

 しかし、しかし!これはドラッグ斡旋グループの牙斗螺(きどら)が仕組んだことでした。力のある二つの高校に商売を邪魔されてはかなわんと鬼邪高生徒/鳳仙生徒に扮して襲い、お互いを潰し合うのが目的でした。こいつらわかりやすくゲスなグループなので思いっきりヤジを飛ばして良いです。なんだお前ら。セロトニン足りてねえだろ。ちなみに主人公楓士雄くんの幼馴染のアラタくんはお母さんの入院費を稼ぐために不本意ながらここで案内役をしています。
 お金でしか愛を示せない悲しきオタクは思わずアラタくんに「250万くらいなら貸せなくもない!」と非常にリアルな金額を提示してしまいました。

 対鳳仙のために内紛を一時休戦した鬼邪高全日制は楓士雄くんを筆頭に決闘の地である河原へ向かいます。鳳仙も士気爆上げ状態で、でもちゃんと交通機関を使って河原へやってきます。これが冒頭のシーン。そんないっぺんに来たらスキンヘッドが改札で詰まるでしょうが。

 相対峙した二つの不良校。それぞれのアタマである楓士雄くんと佐智雄くんはお互いの顔を見て息を飲みます。彼ら、ちょっと前に神社で知り合っていたんです。おばあちゃんを助けた楓士雄くんと、楓士雄くんの怪我を手当てした佐智雄くん。
 最近知り合ったばっかだけどマブダチになりそうと好意を抱いていた相手が敵だったなんて……(誤解)!戦いたくはないが仲間がボコられてる以上やらなくてはならない(誤解)!でもどう考えてもお前はそんな奴じゃないだろ(真実)!?

かくして両校、真正面からぶつかり合う決闘が火蓋を切ります。



4.「テーマパークに来たみたいだぜ テンション上がるなぁ~」

引用:「野原ひろし昼メシの流儀」より

 こっからの大乱闘シーン、ほんと凄いです。長尺でどこみてもケンカ。武器なんて使いません。本気のステゴロで思い思いにぶつかり合っていて貧弱オタクくんのテンションも上がる上がる。
 前半では孤高の一匹狼だった轟くんも、襲撃された泰志くんもその相棒の清史くんも、楓士雄くんの右腕である司くんも派手にドンパチ。

 対する鳳仙も負けていません。チームワークのスキンヘッド集団に、火力が強い四天王。そして抜群の反射神経と鋭い攻撃、隙のない防御を誇るアタマの佐智雄くん。
 顔のいい男子高校生がガスガスに殴り、ボコボコに殴られる様を360°で見られるなんて素敵なエンターテインメントだなぁ。序盤の轟vs村山in体育館では物足りなかったアクションの憂さを晴らすように物凄くかっこいいアクションが続くんです。川にまで入って掴み合い蹴り合い、とうとうアタマ同士の対決。

 でもこんだけ盛り上がってもこの大決闘、意味がありません。だってキドラが仕組んだことだから。仮に鬼邪高が鳳仙を下しても、もしくはその逆でも、キドラはドラッグ商売を続けます。両校の関係は悪化していくでしょう。

そこに思わぬ救世主が。


 |ヽ∧_    
 ゝ __\   やめなよ
 ||´・ω・`| > 
/  ̄ ̄  、ヽ _______
└二⊃  |∪=| |─── /
 ヽ⊃ー/ノ    ̄ ̄ ̄ ̄´ ̄
定時制番長村山

 ハイローファンかつこのネタが通じる人、どれほどいらっしゃるかわかりませんがクラウドさんに敬意を表して。村山くん、そう、定時制は全日制の騒動に首を突っ込まないと断言、以前から轟くんから執着されている村山くんです。

 その村山くんと定時制のお兄さんたちが止めに来てくれます。大型トラックで。河原につっこんで。そして襲撃を受け病室にいたサバカンくんもやってきて、みんなは全て誤解だったこと、憎み合う必要はないことを知ります。
 村山くん及び定時制のお兄さんたちは全員成人ですし、かつてクソガキだった連中なので絶妙なタイミングで然るべき措置を取ってくれます。みんなかっこいいんですよ。ワイン(既に焼酎は飲み干しているので)片手に「良い眺めだねえ」とコロッセオで愉悦に浸る最悪王みたいな視聴しててごめんね。



5.「ボクのオーラは暴力(バイオレンス)と平和主義(ラブピ) 両方の性質を併せ持つ❤︎」

引用:「HUNTER×HUNTER」より

 ハイローを見るにあたり、なんや美人のチャンニーがぎょーさん出とるやないか、生ぬるいドンパチすなよ。男塾くらいやってもらわんとな!ガハハハ!と思っておりましたが、システムとしてはまあまあ男塾です。それぞれの学年に筆頭がいて、派閥があって、喧嘩→仲間になる→新たな敵→喧嘩→仲間になる→新たな敵の倍々ゲームです。そのうちアメリカの不良と対戦するんか?関東豪学連とか出る?出そうだな。

 と言うわけで、鬼邪高と鳳仙は手を組みキドラグループを潰しに掛かります。舞台はアジトになっている絶望団地(廃墟)。楓士雄くん、最初は一人でカチコミきめようとしてたようですがそこは人類にモテるスーパー光属性の主人公です。続々と仲間が集まってきます。今までたった二人の仲間とストイックに伸し上がってきた轟くんも、力を貸してくれるみたいです。

 あ~んみんな喧嘩しないで仲良くして😨!嘘🤗!バチバチに喧嘩して😂!そのあと仲良くなって😉!そんでまた殴り合って😙!嘘🥳!平和🥰!愛😍!拳👊💥💥💥!喧嘩して😁😁😁😁😁😁!
 

 とうとう最後の大決戦。キドラグループは若年層もいれば大人もいます。基本武器を持っていますし、レッドラムをキメたジャンキーとか服がメラメラ燃えてんのに襲ってくる奴とかもいるんです。おっそろしいですね。

 ここでも360°で大規模な喧嘩をお楽しみ頂けます。もーね、ここのアクションも手に汗握るかっこよさなんです。ダイナミックに突っ込んで吹っ飛んでまた立ち上がってかかっていく。鬼邪高&鳳仙共通の目的はキドラのボスを引きずり出すこと。佐智雄くんは妹が脅しに使われている動画を手に入れて消すこと。楓士雄くんはアラタくんを連れ戻して説得すること。
 炎上、投石、脚立、なんでもOK。全員が「オレはやるぜ オレはやるぜ」状態。轟くんのハンドボール選手が如き美しい投石は一見の価値ありです。

 でも一番好きなのは何といっても鳳仙による脚立アクション。大きな脚立を盾に突入、合図とともに横倒しした脚立を蹴るスキンヘッドたち。半円状に滑った脚立で腹部を強打した敵ごと仁川くんが持ち上げて、団地の壁にドーーーーーン!!!!

①こう蹴って ※脚立は電柱みたいなやつで代用
②こう。あとは仁川さんがこのまま持ち上げて壁にぶつけるだけ。

 伸ばした脚立、どう見ても5m近くありますし敵が2,3人乗っかってるのにすごい剛腕。三下に生まれたからにはこういうやられ方をしたいものです。楓士雄くんも団地内に突入成功し、勝負は団地の屋外と屋内に別れます。


 さて、ここで言及しなければ気が済まないのが小田島有剣くん。開始数秒で私の目を釘付けにした金髪ハーフアップにチェーン付き薄色眼鏡の彼です。この場面は既に沢山の方が言及されていますし、公開から3年少し経った今、新参オタクが口にするのも烏滸がましいのですが……。新参者の悲鳴が力になる、というケースも経験上否定できませんので失礼させていただきます。

まいど~。殺し屋鳳仙だす
や~っておしま~い
クスリ、ダメ、絶対!
※最後のセリフはどう聞いても「クスリダメゼッタヤー!」なのですが、彼の魅力の前では些末なことです。

 こんなん好きになっちゃいませんか?好きになっちゃいますよ。
 堅物、質実剛健、仁義が如実に表れた鳳仙の中ではかなり異質な、軽妙洒脱という言葉がよく似合う小田島くんです。先陣切ってと言うよりは後方支援や精神的なサポートの上手い印象。ただし喧嘩では泥臭く殴り、殴られに行く。既に相当魅力的なのにクライマックスでこんな茶目っ気を出してくるなんて。
 いや、まあ、「およよ」「じーんかわぁ~~」「はいしゅっぱーつ!」等、茶目っ気自体はずっと小出しでしたけども。書き出すと幼女のセリフみたいですね。そりゃあスクリーンのでっかい画面でこんなセリフを連発されては数えきれない程の人が落ちるに決まってる。

最後に持っていきやがったなぁこの男……。



6.「やはり暴力…!!暴力は全てを解決する…!!」

引用:「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」より

 鬼邪高&鳳仙もキドラグループの屋外大乱闘に、とうとうキドラのリーダー(DbDのトリスタ感ある兄とオネエの弟)が車数台で乱入。楓士雄くんの幼馴染のオロチ兄弟もバイクで助太刀。さらには村山くん率いる鬼邪高定時制のお兄さんたちが再びトラックで突入。
 スマブラの例の参戦画像みたいにどんどん入ってきます。ちなみに村山くんはキドラのリーダー兄を過去にブッ潰しているので「俺のことよく覚えてんね。まあボコられた相手は忘れねーかあ!ギャハハハ!」と煽ります。い~い煽り、おかわり。

 団地内では楓士雄くんがアラタくんを愛の説得で助け、佐智雄くんも妹の仇を取り……というか仲間に取らせ、キドラのリーダーは二人ともあっけなく撃沈。つええやつが一番つええ、バイオレンスあたりまえ体操。果たして鬼邪高&鳳仙の勝利に終わります。
 この時小田島くんのサングラスの片レンズが外れていて、小田島くんがそれを探しているような描写があります。そのレンズ、工房に持ち込んで吹きガラスのコップに組み込んで酒を飲みたい。轟くんの眼鏡は割れません。残念です。割れてたらまとめてガラスコップにしてました。

 この後、仲間のもとに戻ったアラタくんに楓士雄くん含む幼馴染が入院代のカンパを渡すのですが全貯金の入った口座手帳と印鑑を惜しげもなく渡すオロチ兄弟、最高にかっこいいです。後述する後日譚でもオロチ兄は不言実行のステルス有能サポートを繰り出します。

 で、鬼邪高と鳳仙は友好関係となり、村山くんと仲間たちは鬼邪高を卒業と言う名の中退。いや、中退と言う名の卒業?新たな夢へ。
 楓士雄くんは念願叶って佐智雄くんとのタイマンへ。このタイマンを結果だけ見せるというのがまたオタク心を擽る演出でして、ちょいちょい入っていたタイトルのアイキャッチがよく効いています。そして負けてしまった楓士雄くんに轟くんはかつて自分が村山くんにそうされたように手を差し伸べるのでした。ドラマ版と前日譚を見てから再視聴すると轟くんの人間的成長ぶりに驚きます。

 上記の楓士雄vs佐智雄以降はエンドロールの横で後日談的に進んでいます。オロチ兄弟の兄に彼女ができたり、佐智雄くんが妹と沢村くんのカップル成立に白目をむいて倒れたり、村山くんの卒業シーンもここ。そして最後の最後は佐智雄すら勝てなかったという近隣高校への偵察→見つかってひとまず逃亡で終わり。



7.「瞬間オタクの脳内に溢れ出した、存在しない記憶───」

引用:「呪術廻戦」より

 初回の視聴でもかなり満足度は高かったのですが、続けてHuluにあるドラマ版の一部と前日譚と後日譚を見ることに。前日譚・後日譚はしっかり各2時間。これ、見といて良かったです。キャラが多い作品はどうしても中心人物以外がよくわからなくなってしまって。解像度の補填におすすめです。

○鬼邪高校
→定時制‐村山良樹一派。というか他グループが存在しないっぽい?みんなしっかり成人。

→全日制‐楓士雄一派
    (元リーダーの司くん含む3年多数)

    ‐轟一派
    (ここは轟くんと辻くんと芝マンくんだけ。3年)

    ‐中中チュンチュン一派 
    (1年中岡と2年中越で中中。のちに楓士雄一派へ)

    ‐泰清一派
    (泰志と清史率いる正統派ヤンキーグループ。3年)

 ザワ本編では楓士雄くんと轟くん中心に描かれています。前日譚のHiGH&LOW THE WORST EPISODE.Oでは司くん、後日譚の6 from HiGH&LOW THE WORSTでは楓士雄くんとその幼馴染5人をメインに据えています。


★HiGH&LOW THE WORST EPISODE.O

 家庭の事情により鬼邪高入学から数日で引っ越すことになった楓士雄くん。相棒とも言える高城司くんは一人鬼邪高に残ります。
 ザワ本編ではあっさりとリーダーを楓士雄くんに譲り、よき理解者と言った印象でしたがまさかのドデカ感情ボーイでした。要は120分使ってたっぷりと、「楓士雄!お前がいないとつまんねえんだよ!!!」を描いているわけです。ふふ。基本ずーっと眉間に皺寄せてますからね。ザワのちいかわ枠・ジャム男くんの成長も見もの。

 司くんも佐智雄くんと同じタイプで、無駄な喧嘩はしない。集団を引っ張る者として最良のあり方を考え続ける……良いリーダーです。だからこそ楓士雄くんが居ないと張り合いがなかったのでしょうね。周りは司にバシッッと〆て貰いたいと思っているし、実際司くんならそれができる。でも目に見えて戦意が落ちています。
 そうこうしてるうちに校内では泰清一派と中中一派が揉めてるし、清史はハニートラップにかかるし。定時のお兄さんたちは新入生で賭けしてるし。関ちゃんはかわいいし。街の抗争で高校はボーボーに燃えてるし。高校は燃やすな。超えちゃいけないライン考えろよ。

 そんなこんなで我々視聴者を焦らして焦らして焦らしまくって、ようやく司くんと楓士雄くんのタイマンが始まります。もうちょっと違うところでやったら!?と心配になってしまうほどドロッドロの沼地みたいなとこで殴り合うので二人ともずぶ濡れ泥だらけ。撮影順序の関係と思いますが、その後畦道を歩くシーンではそんなに濡れてないしビッッショビショだった髪も軽く乾いてる。
 「全然起きない眠れる獅子」みたいな扱いだった司くん、思いっきり喧嘩できて嬉しそうです。よかったね……。それにしてもお顔が大変綺麗でいらっしゃる。
 
 かくして司くんの胸のつかえも取れました。自分を望んでくれる仲間や、いつか帰ってくるであろう楓士雄くんの居場所のためにも己がリーダーとなって一派を守り立てる決意を固めます。そして楓士雄くんの鬼邪高カムバックも決まり、本編へのプレリュードも幕を閉じます。

★6 from HiGH&LOW THE WORST

 本編後、楓士雄くんを探し回っている怪しい人物が……?そして正也(オロチ弟)の恋の行方、アラタくんの見つけた夢、事故にあってしまった誠司くん(進学校に通う幼馴染)など、普段は別々に暮らす6人の友情がメイン。ベタなんですけどほっこりする友情ストーリーで良かった~。
 オロチ一家は女を見る目がありますね。全員女傑。マホちゃんに付き纏うやつ、最初辻くんかと思いました。ドレッド?が似ていて。

 アラタくんが夢に向かって歩みだせたのも嬉しいですし、楓士雄くんに重すぎる感情を抱いていた基晃くんが救われたのも安心しました。あとジャム男くんが相変わらずちいかわ。ジャム男くんをいじめるな😡
 楓士雄くんはどうやら女の子にはモテないようですが、不良からはモテモテなんですよね。いや女の子からもモテないはずないだろ。

 ドラマ(これは初期轟くんのクッソ生意気可愛いご機嫌煽りからの敗北を見たくて)、エピ0、6ザワどれも見て正解でした。そのあとザワ本編見返したら全然違う!色んなキャラに目が行って細かい行動にも様々な発見が。
 あと解像度が上がった結果、存在しない行間を読むのが大得意なオタクの脳内には色んな想像が膨らみました。

 モテたいけどいざ同世代女子やお姉さんにモテると緊張してわけわかんなくなっちゃう楓士雄くん……高1くらいからマドカちゃんのこと好きだった真也くん……楓士雄くんに近づく脂ギッシュなオタクくん(私です)を目で殺す司くん……轟くんの音読するスーホの白い馬で号泣する辻くんと芝マンくん……。そんなシーン一つもないのに全部見てきた気がするよ…………。



8.「オタクこじらせ三銃士を連れてきたよ。」「オタクこじらせ三銃士?」

引用:「美味しんぼ」より

「キュートすぎる光属性ヤンキー、花岡楓士雄。」
「うっす、よろしく。」

「冷静と情熱、アンバランスの美、轟洋介」
「がんばります、よろしく。」

「魅惑の肩チラと抗えぬ色香、小田島有剣」
「よっす、どうも。」

 楓士雄くんは桜木花道くんや東方仗助くんタイプの情に厚い、可愛らしさと男らしさを兼ね備えたヤンキー少年。いくらでも経済的援助をしたい。轟くんは裏主人公と言えるかもしれません。品行方正潔癖敬語キャラっぽいのに歩き方は不良だし初手回し蹴りするしその癖口調が可愛い。小田島くんは上で散々語ったので。
 みんな魅力的なんですけどね、ベタにこの3人を見てしまいます。でも関ちゃんもすごくすごく愛らしくて、村山くんの気持ちがわかる。早く肩幅300mになって全員担ぎたいです。肩幅はPOWERの証。



9.この映画の何が凄かったのか?

・わかりやすい話の流れ、展開の緩急、キャラクター、アクション、カメラワークの五項目が揃っている。

・喧嘩シーンでの勢力図が視覚的に親切。黒い制服vs白い制服・白黒制服vsカラフル私服など。あと喧嘩シーンが多いわりに痛そうなシーンや悲惨でむごいシーンはあんまりないと思います。まあ全員免疫力がすげえ高そうなので殴られても蹴られても割とすぐ治癒しそう、という安心感もある気がします。

・なんか全面的に色々太っ腹。エグザイルグループの惜しみない後押し。でも他事務所の人にもキーマンやらせたり。

・オタクのツボをわかりすぎている。「轟洋介に眼帯させませんか?」って提案した人と「ポムポムプリンにベレー帽被せませんか?」って提案した人は同じくらい偉い。

・顔面偏差値が高すぎる

・顔面偏差値が高すぎるだけのエグザイル系映画でしょ?と舐め腐っていたオタクを瞬殺した。



おわりに

 続編にあたるHiGH&LOW THE WORST Xはまだ見ていません。早くサブスクに来てください、課金して買うので。フォロイー情報でまたバラエティ豊かな男前が沢山出るらしく大変楽しみです。既に高橋留美子先生の漫画ばりに属性取り揃えているのに。私のキャパは持つのでしょうか。個人的にガンジーくんとマーシーくんを楽しみにしています。
 あ~も~楓士雄くん司くん辻くん芝マンくん属するエグザイル系ユニットの歌もかっこいいしよ~。こんな顔良くてスタイル良くて演技出来て歌上手くて踊れるもんなんですか。轟くん役の前田さんのインスタとか見ちゃってさ~~もぉ~~~~。なんちゅうもんを食わせてくれたんや……なんちゅうもんを……。

引用:「美味しんぼ」より

 長すぎる文章を最後までご閲覧いただきありがとうございました。「HiGH&LOW THE WORST」をぜひ。

 もうとっくに見たが?という方はドタバタホラーギャグ「カルト」をどうか宜しくお願い致します。ほんとに。

アマプラでは無料で見れます
https://www.amazon.co.jp/カルト-あびる優/dp/B08B53TXTH


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