見出し画像

あと4日の日常

あと3日で仕事、あと4日で学校が終わる。

ワーキングホリデーという1年という期間があらかじめ決められたフランス生活が終わりに近づいている(あと2ヶ月)

仕事を辞め、これからは残りの期間を使って旅をする予定なのでパリからは離れる。つまり、パリでの生活は今週で終わる。

1年なんて本当にあっという間で、海外という今までの生活とはかけ離れた異文化に慣れるのに私は半年くらいかかってしまった。半年経った頃、やっと精神が落ち着いたなと感じた。引っ越しを5回くらいしたせいかもしれないけれど、語学学校に10月から通い始めたせいかもしれないけれど、とにかく慣れた頃には折り返し地点だった。

学校に通ってから仕事へ行く、という生活がようやく自分の中で日常になり始めた矢先にぷつっといきなり停電するかのように日常が終わる。

10時に家を出てバスに乗る。
バス停までは5分くらい。
途中のお肉屋さんにはいかにもお肉屋さんって感じの割腹の良いおじさんがいて、そのお肉屋さんで何かを買ったことはないのに、いつも笑顔で挨拶をしてくれる。すごく嬉しくなる。

バスが来るのは毎日バラバラで同じ時間に家を出ても学校に始業15分前に着くこともあれば、ちょっと遅れることもある。

バスの1番前の席に座れるといい1日になりそうな気がする。
一度乗り換える。乗り換えの駅にはとっても大きくかっこいい時計があり、晴れの日には、バスを待つ場所から見えるビルに、反射して映るその時計がとてもかっこいい、なんどか写真を撮ろうと思ったのだけど、私の見えているようにかっこよく映らなくて断念した。

午前中の授業が終わるとお昼ご飯を食べる。

近くのスーパーに買いに行くか、近くのパン屋に買いに行くか、おにぎりを持っていくことが多かった。近くのパン屋は安くて好き。スーパーではバナナとか1番安いサンドイッチをよく買った。スーパーで買うサンドイッチはあまり美味しくない。日本の卵サンドがめちゃくちゃに恋しい。お腹がすいてしょうがないときはチンして食べられるパスタを買った。4種類のチーズのパスタを食べた時は教室に入ってきた友達にすごい匂いって言われた。

おにぎりを持っていく日は学校にあるレンジでチンして食べる。

中華街で前日に買った肉まんを持って行ったりもした。お菓子で済ませるときもあったし、日本でもし会社員だったら恥ずかしくてもっていけないようなお弁当とも呼べないようなランチを食べた。こんなの日本じゃ食べられないよねって友達と笑いながら。

学校に行くようになって写真家の友達が出来た。彼らは自由で自然ですごくかっこいい。写真の世界に片足の小指をちょこっと触れたくらいの自分にも色々なことを話して教えてくれた。彼らの話を聞くと楽しくてワクワクした。かっこいいな〜っていつも思ってた。仲良くしてくれることがとても嬉しかった。もっと対等に話がしたいと心から思った。
もっと仲間になりたいと思った。

午後の授業が始まる。月曜日には必ず先生が「どんな週末だった?」と聞いてくれる。過去形の練習も兼ねてなんだけど、決まり文句ではあるんだけどこれが結構好きだった。私は大抵の場合、働いてたって答えてたけど…


学校が沢山ある地区だからか知らないけど
とにかくクマが沢山いて
クマ写真コレクションは20枚を超えた

デモでメトロが封鎖された時のクマたちには笑ってしまった


学校が終わるとメトロに乗って職場に行く。

お腹が減っている日は、途中のパン屋さんに寄ってアップルパイを買うのがお気に入りだった。フランスではパイ生地系のパイは本当に本当に美味しい。勝てない。バターが違うのだろう。

そこのパン屋のお兄さんに
フランス語で話しかけても英語で返されてしまうのがいつまでも悔しい。

そのアップルパイに出会う前はスーパーによってクッキーを買うことも多かった。いろんなクッキーを試したけど、まだまだ食べられてないクッキーがたくさんある。
クッキーの種類がえぐい。授業で頭を使った後はやっぱり甘いものが欲しくなる。

職場に着くまでの道の途中にレトロで素敵な文具店がある、そこを眺めるのが好き。途中にあるパティスリーの横を通るとすごくいい匂いがする。

職場につくと、始業までに時間があるのでコーヒーを淹れて買ってきたお菓子かパンを食べながら宿題をする。この時間で宿題を終わらせようと思うので集中できる。

仕事が終わると真っ直ぐ家に帰る日も有れば
時々仕事仲間と飲みに行く日もあった。

近くのビールバーのビールがすごく美味しくて大抵そこに行った。
ビールはすぐ変わってしまって
おいしくてもう一度飲みたいビールは大抵なくなってしまっていた。
どんなビールか飲むまでわからない。
名前がお洒落で満月の夜にはPLEINE LUNE(満月)という名前が付いたビールを飲んだ。

時々ワインバーにも行った。
一杯15€の赤ワインを飲んだ時は値段に酔っ払った。

早く帰れた日は少しギターを弾いた。
前の家は楽器を弾くのは10時までって言われてたから夜弾けなかったけど、今の家は上の階にいる男の子が夜でもガンガンにトランス系の音楽を鳴らしている。でも近所迷惑にならないように少し。下手の横好きかもしれないけど、好きな音楽を自分で演奏出来ることは、どう考えても楽しい。

バスタブがない家が多い中
ここのお家はお風呂が3つもある上にバスタブがある。私と同じお風呂を使うママは大抵朝入るので、時間がかぶることもない。
時々お湯を溜めて入った。
これが本当に最高なのである。最高of最高。

家には猫が2匹とウサギがいて
2匹目の小さなネコとウサギがよく私の部屋に遊びにきた
ウサギが淋しいと死にというのは本当かもしれない
撫でてほしいって私の足をぐるぐる回る時があった

毎月第1日曜には美術館に行った。有名な美術館も無料になる日だからだ。世界的に有名な絵画にこんなに簡単にアクセスできるパリは本当に贅沢だなぁと思う。
オランジュリー美術館でモネの睡蓮の前でバレエを踊っていた女の子が素敵だった。


月曜日は仕事が休みなので、学校が終わると
よく美味しいご飯を食べに行った。
トリュフのパスタとか餃子とかハンバーガーとかラーメンとか、あんまり外食しなかったけど時々自分にご褒美だと思って食べるご飯は嬉しかった。

パリは散歩が本当に楽しかった。

お気に入りがたくさんある。

バス停近くのカフェでカフェラテを持ち帰りで買うとsuper!って気持ちよく接客してくれるお姉さん。

職場の近くのケーキ屋さんの洋梨のチョコタルト。

前の家にいた時に通ったコインランドリーの待ち時間。

中華街で買う安くて大きい肉まん。

職場の賄いで作る鍋とビール。

おうちのママが持ってきてくれるケーキや料理。

ああ、淋しい、じんわりとじわじわと淋しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?