勉学は光であり、無学は闇である
唯一の善は知識であり、唯一の悪は無知である

中層、上層には資金がある。資金があれば学びの場を設けることができ子供たちに平等に学びを与えることができる。
では資金がなければ?
学びを得ることができなければ、その地が繁栄するための基本的な知識を得ることもできない。
資金がなければ、教養がなければその地は衰退していく一方であろう。

「足し算の考えかたな。食べ物がここにひとつ、こっちにもう一つ。この食べ物を両方合わせるといくつになる」
「0だよ!あったら両方俺が食べるもん」
「そういう考え方じゃなくて。今は計算の考え方の話をしてるんだよ。っておいそれもってどこに行く」
「こんなのつまんないからもう行く!それに食べれるもん探しに行かないと行かないし、遅くなると母ちゃんに殴られるから」
「ったく。明日もちゃんと来るんだぞ」

「・・・なぁお前さあ」
「なんだよ。教えてるときは口出ししないで突っ立てるだけのお前がなにか言いたいことあるのか?」
「いつまでこんな無駄なことする気?」
「無駄?」
「無駄だろ。こんなことしてたってあいつの生活がよくなるわけじゃないだろ」
「何言ってんだよ。こんな生活から抜け出したときに最低限のことぐらいできないと困るのはあいつだろ」
「だからその最低限のことを生かす機会なんか来ることないって言ってんだ」
「抜け出すために俺ら働いてるんじゃないか。上のやつらの言う通りにしておけば金はくれるんだし」
「・・・はぁ」
「言いたいことが終わったのなら俺はもう行くぞ。上のやつらが捨てた本ないか探してくるんだ」
「ごくろうさんなこって。まぁ無駄だって気づく時がそのうち来るよ」
「はいはい。それじゃあな」

今日は様々な本を手に入れることができた。
どこぞの地域の考え方の本や、水に溶かすと色が変わる粉についてやら、いろいろな分野の本を見つけることができた。
上のやつらはどうしてこんな面白いものを捨てるんだろうか。

「ぶっ殺すぞこのクソガキが!」
市場から怒号が聞こえてきた。
見に行くと昼間、計算を教えていた子供が屋台のおやじに馬乗りにされて殴られている。
「おい!何してんだ。やめろって」
「お前にゃ関係ないだろ。このガキが数をちょろまかして持ってこうとしてたからお仕置きしてんだよ」
この地じゃ、間違えただけで傷を負わされる。
「だからってやりすぎだろ。おい大丈夫か」
返事は聞こえないが息はちゃんとある。とりあえず安静にさせないといけない。
「ほら足りない分。こっから持っていけ。それでもう終わりだ」
おやじに金を渡し、子供を連れ、市場から離れた。

「本当にこの地は終わってるよ」
子供を横にさせ、目を覚ますのを待つ。
後ろから声が聞こえた。
「あぁ、終わってるよ」
「なんだお前か。ちょうどよかった。きれいな水ないか探してきてくれないか?炎症起こしてるとこを冷やしてやらないと」
「計算が好きなお前に俺から一つ問題を出してやるよ。この地で未来に希望を抱ける可能性は?」
「は?そんなことよr」
「答えは0だ。未来のことじゃなくて今生き抜くためにどうしたらいいか考えろ。」
そう答え。彼はこの場から去っていった。

よくこの地のやつらは「上がすべて悪い」「上のせいで」と中層、上層のことを言っているが。
本当の闇は、悪は一体どこなんだ。

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