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なにもない誕生日

誕生日の3日前に新型コロナウイルス・インフルエンザ・溶連菌のトリプル感染を引き当てて、クソ忙しい繁忙期の最中に5日間家で過ごすことになり、誕生日の今日は在宅療養の4日目。

有休を消化しているわけだけど日中は会社からどんどこメッセージやら電話やらが来るので気は休まらない。出社してから片付けなければいけない仕事がどさどさと積み上がっていき、代わりに対応してくれている同僚への申し訳なさも膨らむ一方で、しかし今日は一日窓からさす光が優しく、わたしの誕生日にぴったりの天気だ。

熱は下がり、頭痛や吐き気もずいぶん良くなった。どうせ日中は気が気でないのだからと諦めて確定申告を片付ける。スマートホンだけで完結するはずが、贈与税の申告だけはなぜかスマートホンでは出来ずパソコンで登録する必要があり、しかも結局追加資料を郵便で提出いけないとのこと。ありったけの呪詛をe-taxのアンケートボックスに送って、パソコンを閉じる。

社用携帯で連絡を済ませて一息ついて、年末年始休みに読もうと買ったっきりだった群像を開いた。
「休むヒント」という特集で様々な人が休むことについて書いておられるが笑ってしまうほどみなさん自分が休むことを苦手だと言っている。この連休中のわたしもおなじ、おなじだ。カーテンをあけて、ふかふかの布団にくるまって読むくどうれいんさんのエッセイがとても良くて、ほくほくしたきもちで昼寝。この数日の中でいちばん心地よい休息の時間。

1時間ほどで目が覚める。隣の部屋で隔離生活を送る夫は朝からまだ一度も起きていないようだ。
夫がなぜかわたしの誕生日だからと仕事を休んでいた。示し合わせたわけでもなく、当人は仕事なのに(結果的に休みにはなったけれど)。何か準備する計画でもあったのかと嬉しく思うも、彼はずっと寝ていて起きる気配がなく、具合が悪いのか、うつしてしまったかと一瞬心配になるもそういうわけでも無さそうだ。当のわたしよりもずっとしっかり休みを満喫していて、ただかこつけて連休にしたかっただけではないかと無性に腹が立ってきた。
マスク越しに起こして買いに行かせたケーキは老舗の真面目な甘さ、気分も少し丸くなった。

今はただただ外を歩きたい。たくさん歩いて夜のマクドナルドで揚げたてのフライドポテトが食べたい。

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