見出し画像

「竜とそばかすの姫」をどう評価したらよいかレビューを比較して考えてみた

私が「竜とそばかすの姫」公開翌日に見に行って思った感想は、
「いろいろ気になることあるけど、音楽・映像・演出でぶん殴られて、まあいいかという気になった」
でした。(個人的に70点かなと。)

細田監督は、90年代~2000年代にウテナ、どれみ、ナージャの演出でファンになり、時をかける少女以降の作品はすべて劇場で見ています。

ただ、バケモノの子以降に脚本を単独執筆するようになってから、正直ストーリーは私が好むものではなくなったので、もっぱら映像や演出を目当てに見に行っています。

一方で、気になるのが、個人のレビューで指摘される"ストーリーに関する課題"が、あまり一般の批評家の記事では扱われない点です。

例えばこんな感じで、絶賛の嵐です。

『竜とそばかすの姫』レビュー:仮想空間の細田守版『美女と野獣』から導かれる現代少女のリアル
https://cinema.ne.jp/article/detail/46981

「竜とそばかすの姫」が"ネット第一世代"に響く訳
https://toyokeizai.net/articles/-/442240

「国内で“快進撃”の映画『竜とそばかすの姫』 世界でも大ヒットの“予感”が期待できる「ワケ」」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85579?imp=0

最近これは、批評する側が業界に近いから、業界の立場の裏返しではないかという話を聞いたばかりで、ちょっとうがった見方をしていたのですが・・・

ここにきて、ストーリー上の難点を指摘する批評も増えてきました。

竜とそばかすの姫 - レビュー
https://jp.ign.com/ryu-to-sobakasu-no-hime/53430/review/
⇒ 立場が内面を抑え込んでいるという指摘は、一部自分の想像とも一致して、なるほどと納得しました。

「竜とそばかすの姫」レビュー 危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥
https://news.yahoo.co.jp/articles/4b891bb5f4d703e0ef096f7c90532a0cdc45a9df
⇒ 社会問題に意識を持っている方であれば、こういった感想を持つだろうと思っていました。私はファンタジーと割り切りましたが・・・


私が映画を見ていて、「あ、そうなるんだ・・・」と思った部分はだいたいこちらで触れられています

一方で、ヤフーのレビュー評価は、3.5点代から毎日0.01ポイントずつ伸びていって、7/26時点で3.69点になっています。
(未来のミライが3.3点、バケものの子3.64点を超えています。)

私も記事の冒頭で「もっぱら映像や演出を目当てに見に行っている」と書いたのですが、その理由は「バケものの子」のレビュー点数が想像以上に高かったからです。

自分の中でいろいろ考えた出した結論は、多くの観客が細田監督作品に求めているのは、考えさせるストーリーではなく、エンターテイメント作品なのだろうということでした。
実際に日本人向けの社会問題を扱ったストーリーよりも、歌と映像のわかりやすいお話のほうがグローバルにも受け入れられやすいと思います。

やはり自分のスタジオをもって、スポンサーを集めて長編映画を作るということは、その期待に応えて数字を出すのがプロの仕事だと思います。

一方で、このストーリーの賛否は作家性の表れとの指摘の記事も出ています。

『竜とそばかすの姫』解説|細田守作品が賛否両論になる理由が改めてわかった
https://cinema.ne.jp/article/detail/47108?page=1

「最後はひとり」。細田守映画を貫くリアリティとは。
https://somethingorange.biz/archives/6903

「誰もが認める、映像と演出力、賛否が渦巻くストーリー」これこそが、私の中で細田監督の作品であり、「竜とそばかすの姫」はその到達点の1つなのだろうと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?