クイーンズエリザベス

【有料】 | 豪華客船クイーン・エリザベスが横浜ベイブリッジを通る!?航海士の視点から裏側を語る | 【2,520文字】

■■ベイブリッジの壁を越えられない豪華客船■■

横浜ベイブリッジは1989年に建築され、建設当初から横浜のシンボルとして存在し、本牧埠頭A突堤(中区)と大黒埠頭(鶴見区)間を結んでいる。この橋は一見便利に思えるが、実は客船にとって厄介な存在となっているのをみなさんはご存知だろうか? 

 その問題とは、【高さ制限】である。

橋を建てる際、橋の高さは重要な項目であり、揉める要因の一つでもある。このベイブリッジも例外ではなく、設計の段階から、海面からの橋の高さ設定が問題となっていた。橋を大きく作れば、それだけ通れる船の制限が緩和される一方、巨大化に伴う予算面や強度に問題が発生するといったデメリットがあったからだ。そこで当時の横浜港に入港していた船で一番高さのあった、帆船・日本丸を基準に設計することになった。その結果、残念ながら現代の客船のスペックに対しては小さすぎる橋となってしまった。そして今年に入り、ベイブリッジの高さ制限にクイーン・エリザベスが餌食となり話題となった。テレビ等で報道されて久しいので、記憶にある方も多いとは思うが、実はクイーン・エリザベスの入港には【高さ制限】の他に、いくつかのハードルがあった。そのハードルとは、横浜港の港長による入港条件である。

それでは今から、それぞれの項目を詳しく解説していく。

※ここまでは様々なメディアで取り上げられていることなので、知っていた方も多いと思われる。しかし、ここからは航海士視点から裏側を語るので、マニアックな内容となっている。要は運航の視点から見た裏話である。

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