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白飛び撮影は駄目

動画初心者には難しい内容であり、現場でも手間暇がかかり過ぎる結果になりかねない内容を書きます。動画撮影に慣れてステップアップする人が読むべき内容です。

初心者は色々諦める場面がありますが、諦めたくない中級者は知るべきことが有る。

基本
シャッタースピードは速いと動く物を静止します。光量を下げます。
シャッタースピードが遅いとブレが出ます。光量を上げます。

自然に見える映像には適度なブレが必要で、高速シャッターにすれば良いというものでは有りません。

ISO感度が低いとノイズが少ない。光量を増幅しないため。
ISO感度が高いとノイズが増えますが、光量を増幅するので薄暗くても撮れます。

画質よりも観測・監視目的なら最高感度で使ってもよいでしょう。
高感度にするとノイズも増幅してしまうので、かなりザラツイた映像になりますが、撮る目的次第です。(観賞用映像には向かない)

絞り値が大きいと、ピントが合う範囲が広がりますが、光量が下がります。
絞り地が小さいと、前景や背景がボケやすくなり、光量は上がります。

ボケ味や被写界深度は、レンズ性能・仕様、そして絞り値で決まります。

絞り機構がない?
多くのスマホやアクションカメラには残念ながら絞り機構が備わっていません。
露出調整は、シャッタースピードとISO感度の2つのみでやります。

日中の野外撮影では、明るすぎるので白飛びしやすくなります。
減光して白飛びを抑えたいな思った時に使うのが「NDフィルター」です
いわば、カメラのサングラスと言えるでしょう。

NDフィルターを使用すると減光できるので、シャッタースピードを適正値に落とせます。
カメラの最高シャッタースピードで撮影しても白飛びしてしまうほどの現場なら必須
太陽が元気な夏場は白飛びしやすいですね。

曇り空でも日陰でも、NDフィルターを使う
ある程度シャッタースピードを下げないと、映像が流れない(ぶらせない)ので高速シャッター撮影では不自然さ・違和感が出ます。

シャッタースピードを遅くしすぎるとブレ過ぎるのでそこは適当に調整が必要です。写真とは違い、シャッタースピードにルールがあります(後述)

GoProや多くのスマホには絞り羽が搭載されていませんので、
露出調整はシャッタースピードとISO感度だけになります。
コレでは適正露出にするのが非常に難しい。

明るくて、最低ISO感度固定になると、あと動かせるのはシャッタースピードのみで露出を適正に近づける必要があり、これでは無理があります。

最低ISO感度固定で、シャッタースピードも最高速なのに白飛びするなら
写真でも撮影できませんね。迷わずNDフィルターを使用しましょう。

TV用(業務用カメラ)の撮影機材は、NDフィルターが内蔵されていて、屋外と屋内を切り替えやすい。
GoProやスマホの場合は、一旦撮影を止めてNDフィルターを装着しましょう。瞬時に装着したい場合は、流行りのマグネット式が良いでしょう。

可変NDフィルター
一眼レフやミラーレス一眼のレンズ用であれば、可変NDフィルターが使えるでしょう。
頻繁なフィルターの付け替えが不要になる可変NDフィルターが、ねじ込み式フィルターでは便利。

可変NDフィルターは調整に時間がかかります。街ブラ撮影には向きません
固定濃度NDフィルターなら、現場の明るさで判断して慣れで一瞬で選べます。固定濃度NDフィルターならアクションカムのレンズにも簡単に着脱できますね。

NDフィルターは絞り機構ではありませんが、入射光を減らせます。
写真撮影の場合は、超スローシャッターも使えます。
動画撮影でも、減光してシャッタースピードが有効に機能する範囲(後述)に収めてくれる事でしょう。

中華の安物よりも国産フィルターを選ぶべき
安かろう悪かろうです。
安価なフィルターは寿命が短かったり、汚い着色や色ムラがみられます
後処理での色補正が面倒なので、安すぎるNDフィルターは使わないようにしましょう。

色が変わるだけなら調整も可能ですが、大きく画質が落ちるのも安物フィルターの特徴です。
安物を買うと損します、結局、高級品に変更する羽目になる(安物買いの銭失い)。

フィルターには寿命がありますし、画質も低下します
これは高級品でも言えることです。
性能が購入時より落ちてきたら買い替え時。
車の塗装が色褪せるのと同様です。
重ね重ねになりますが、安物フィルターは色ムラもありますから画質が大きく低下します。

色褪せが進まないよう使い終わったらケースに戻しましょう。

カビ対策
汚れやホコリを除去して調湿されたケース内で保管しましょう。レンズ同様です。

フォルダー式やマグネット式なら簡単着脱や変更がしやすいので、固定濃度のNDフィルターで良い。
プロは固定濃度の超高価(数万円)なNDフィルターを複数枚持っていて選んで使う。

固定濃度のNDフィルターにはハーフNDフィルターがあります
特に、朝焼けや夕焼け、ご来光を撮る時に便利ですね。
水平線にハーフの境界を合わせて使用します。(空を濃い方で)

可変NDフィルターの濃度が変化する仕組みは、二枚の偏光板が原理となっています。前側が回転します。
PL(偏光)フィルターが2枚重なったような構造になっていて、フィルターの一枚目は光の偏光方向を変え、二枚目はその光の通過する量を調節(減光)します。
可変できるといっても、一番濃いところはオススメしません。

フィルターを回転させると偏光板の角度が変わり、光の通過量が増減します。減光効果を細かく調整できるので、長時間の収録にも対応できます。

通常、NDフィルターを付ける前にピント合わせをしておきますが、最も薄い濃度でピント合わせも可能な場合がある。
NDフィルターを使用するとAF速度が遅くなりピンボケしやすい。
写真撮影時の超低速シャッターではないので、動画撮影では被写体は適正露出で捉えられる濃度にします。
AFが効かなくなるということは少ないでしょう。フィルター無しよりはAFは遅くなります。

動画のフレームレート:30フレーム
日本のテレビはコレ
1秒間に30枚の静止画が入っているイメージです。

動きに合わせて発生する自然なブレを「モーションブラー」といって、違和感ない美しい映像になります。

フレームレートの2倍のシャッタースピードに設定すると、モーションブラーが発生します。
30フレームであれば、1/60秒になりますね。
西日本では何の問題も有りません。

東日本では、1/50秒に設定すべき時があります、それは人工的な明かりが有る場合です。
室内の照明、街灯、信号機、電光表示板などが人工的な明かりですね。
ロウソクやガス灯は明滅しないので大丈夫

東日本では発電所が50Hzの交流で電力を供給しているため50Hzで人工的な明かりが明滅します。それに合わせないと、フリッカーと言って明滅でチラつく見づらい映像になる。
東日本は1秒間に100回明滅しています(人間の目には感じない)
西日本は1秒間に120回明滅しています(同上)
撮影は明るい方だけで良いのでその半分、50回と60回の明。

人工的な光源下では、東日本のみ1/50秒に切り替えるべきですが、それ以外は東日本で有っても1/60秒で撮りましょう。太陽光は明滅しない。

東日本だからといって、25フレームで常時撮ると、動画編集時に30フレームに変換され、5フレーム分をアプリが無理に作って嵌め込むことになります。これは出来れば防ぎたい、減らしたいですね。

1/60秒というシャッタースピードは、ISO感度を最低値に固定しても、日中の屋外では白飛びしてしまう。其の為、NDフィルターが必要になるわけです。

夏の日中なら写真撮影でもシャッタースピード1/4000秒でも白飛びする部分があります、それほど太陽光は強い。

撮影の基本
写真を撮る時の基本は撮影者が太陽を背にして撮りますね
被写体と背景の明るさの差を少なくして撮るという基本撮影法です。

被写体が太陽を背にする逆光の場合は光を被写体に当ててやる必要があります。
日没時の動画撮影ならそのまま撮ることも可能です、良い雰囲気になるでしょう。動画と写真は違うので。

動画では白飛びしやすいので、斜めやサイド光を利用するのも有りです。
のっぺりした写真にしたくない場合にも斜めやサイド光を使って撮るのは有効です。

写真で発展してきたHDR技術が動画にも導入されました。
簡単に言うと、白飛びや黒つぶれを少なくする映像合成技術です。

GoProのHDRは過信すべきでは有りません。絞り機構が無いからです。
絞り機構が備わるカメラでは有効な撮影方法です。
エントリーモデルの場合、HDRにも限界が低いという但し書き有り。

HDRの技術を簡単に説明しますと、ほぼ同時に2つか3つの露出で撮影しています。
3つの場合は、アンダー気味で撮影しているデータと、オーバー気味で撮影しているデータと、適正露出のデータの3つを、映像エンジンで良いとこ取りして画面全体をバランスよく合成して1つの白飛びや黒つぶれが少ない映像に仕上げて画面に表示しています。
再生する側でも同じ方式を再生できるモニター・テレビが必要になります。
HDRには方式が違う数種類が有るためですが、最新のテレビやモニターならほぼすべてのHDRに対応できることでしょう。

撮る時に黒つぶれしやすい部分にはあらかじめ、照明やレフ板で少し明かりを足してやると潰れにくくなり、後処理で色を復元することも可能です。

しかし、白飛びしてしまう部分は後処理でもどうにもならない白なので
白飛び対策の知識は撮影者が身につける必要があります。

それから、撮影を止める度に正常に記録されているかデータ確認をする事も重要です。

写真と動画で違うのは、映像や被写体が常に動いているということ。
動いているということは明るさも常に変化しているということになります。

高級カメラでは多くの場面でAIアルゴリズムによってキレイに撮れても、
安いカメラでは同じ様な映像が撮れない事もあるのは仕方がないことです。(地獄の沙汰も金次第)

常用するなら良い物を買いましょう
ただ、カメラやレンズは資産です、困った時には売れます。
また、新型に買い換えたいときにも下取りに出せます。
カメラとレンズはけっこう高く買い取ってもらえますが、アクセサリ類やアルミ三脚は二束三文になります、売らずに使い続けましょう。三脚でもカーボン製の軽い物は価値が高いです。

カメラやレンズも予算が許す限り高級(フラッグシップカメラかハイエンドカメラ、プロ仕様のレンズ)を買うのが良くて、最初からカーボン三脚を選ぶべきでしょう。総重量が軽くなると撮影者の疲労度も違ってきます。

あまり頻繁に撮影しない人はレンタルしたほうが良いです。

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